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200w REVIEW '09 『パブリック・エネミーズ』

「人は来た道を気にするが、重要なのは行く道だ。 俺は望むままに」とジョニーはビリーに豪語するが、 参謀格のレッドからは「彼女に近づくな」と忠告される。 ビリーは“ファムファタル”だ。 獄中でビリー・ホリディの“Am I Blue?”を聞きながら 懐中時計の彼女の写真を見つめるジョニーのロマンティシズムが “男の結束”を地に堕…
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200w REVIEW '09 『Dr. パルナサスの鏡』

薄っぺらい馬車の扉を開けると、無限に広がる幻想世界。 しかし、パルナサスに“世界を変える”野心はない。 鏡の中で観客が悪魔の誘惑に囚われて爆死するのを、 手をこまねいて眺めるだけの無力さだ。 「語り続けることが使命」と永遠の命を勝ち取ったパルナサスが、 「物語を聴く」観客がいなくなった現代、 「不死は苦痛」と愛娘と引き換えに…
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200w REVIEW '09 『サベイランス』

「FBIにしてはいい女」。ハラウェイに色眼を使ったボビーが、 アンダーソンの意外性に満ちた下卑た凄みに対して放ったこの一言は、 クレヨンを挟んで右目と左目で視界を変えるステファニーの戯れと重なる。 映画は、異なる角度から見直すことで、事実は変容すると示唆する。 人間もそうだ。暇潰しでドライヴァーを辱める“ならず者”の警官たち。 …
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200w REVIEW '09 『ラブリーボーン』

幼い頃、スノーボールの孤独に涙したスージーは、 父が手作りする瓶の中の帆船に魅せられ、 ハーヴィが策を弄した秘密小屋であっけなく命を落とす。 父の執念が空回りする一方、 姉から“野生動物”と陰口を叩かれたリンジーの ジョギングを欠かさないアスリートとしての身体能力が、 ハーヴィの完全犯罪に風穴を開ける。 両親に甘やかされた…
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200w REVIEW '09 『オーシャンズ』

カツオドリが海中のイワシ目掛けて急落下し、 砂浜から海へ走る孵化したばかりの小ガメを野鳥が狙う。 微動だにせぬ海中生物が眼前の小魚を瞬時にして呑み込む。 そんな過酷な弱肉強食の一方、大魚の口に小魚が共生し、 ミズクラゲの浮かぶ白い世界の下を異形のコブダイが悠然と泳ぐ。 皮膚の断片のアップから巨大クジラの全長を映し出すコントラス…
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200w REVIEW '09 『渇き』

サンヒョンとテジュがあけすけに密会の約束を交わす麻雀卓が、 愛息を彼らに殺害された母の無言の瞬きによる 告発の場と化すアイロニカルな悲喜劇。 テジュが恥じ入ることなくサンヒョンとタブーを犯すのは、 娘同然にと“犬のように”育てられた鬱屈の人生への復讐のようだ。 サンヒョンが昏睡中の患者から遠慮がちに血を頂戴するのに対し、 テ…
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200w REVIEW '09 『サロゲート』

本人が持ち得ない若さと美貌は勿論、 性別さえも偽り、容易く赤の他人に成りすませる。 うんざりする程のCG横行の現代、 無機質メイクの俳優が “代行ロボット”を無表情に演じる逆転の発想が痛烈だが、 グリアーの“分身”となるウィリスの滑稽な若造りが、 そんな現実を遊び心たっぷりに皮肉る。 行き過ぎた科学の発展と、 それを悔い…
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200w REVIEW '09 『抱擁のかけら』

アルモドバルの飛躍期だった90年代に、 マテオがレナをヒロインに撮る「謎の鞄と女たち」で 『神経衰弱ぎりぎりの女たち』を再現させたアルモドバルが、 交差点で出逢った美女との刺激的な情事から紐解くのは、 ストレートな男たちの愛の情動だ。 愛ゆえに視力を失くすマテオの現在の対照のように、 エルネストは無声のメイキング映像を読唇術…
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200w REVIEW '09 『海の沈黙』

聴く者のないヴェルナーの独白が密室を満たす冷やかな頑なさは、 無表情の姪がヴェルナーとすれ違う雪の道でも揺らがない。 老人がナチの事務所でパリ帰りのヴェルナーのたじろぐ瞳に見たのは、 独仏の美しき融和を滔々と語った彼自身の恥辱だ。 それまでのヴェルナーの冗長が、 階段に軋む義足の音が留まる扉の向こうの沈黙に、深い絶望を際立たせ…
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200w REVIEW '09 『抵抗』

用意周到とは失敗の可能性を探ることだ。 囚人仲間からの「用心しろよ」が合言葉のように交わされる監獄で、 スプーンを研ぎ、羽目板を削り、シーツをロープに解す。 ドキュメンタリーさながらのその詳細な脱獄の手管は、 気が遠くなる単純作業にも屈せぬフォンテーヌの “脱獄”の決意こそがレジスタンスだと明かす。 フォンテーヌとジュストが…
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200w REVIEW '09 『ウディ・アレンの夢と犯罪』

「人生は最高だ」。 しかし、それはいつまでも続かないからこそ運なのだ。 「最後に頼れるのは家族」。母の自慢の弟の帰郷が、 窮地に陥った兄弟に安堵の微笑を浮かべさせるが、 まさかその叔父から“家族にしか頼めない”命令を持ち掛けられるとは思わない。 叔父は言う。「悪に手を染めないで金を稼げるか」。 ロンドンの雨は狐に包まれたよう…
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200w REVIEW '09 『ソフィーの復讐』

ぶつかって、引っ掛かって、転んで。 大仰なソフィーのワンパターンなドジがスラプスティックに弾けないのは、 演出センスの泥臭さのせいか。 男の犠牲になるソフィーを嫌い、男を振り回すジョアンナにも辟易する 自己愛の塊のジェフに執着する程に、ソフィーが惨めたらしい。 小手先の“可愛いらしさ”を装うツィイーには、 包丁を手に髪を振り…
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200w REVIEW '09 『理想の彼氏』

郊外の邸宅で“庇護”されていたサンディが、 独創的なデータ統計によって 少しずつ己の居場所を切り拓いていくのとは対照的に、 アラムが育児書を読み漁って、 たちまち子供の視線を獲得するのが若さの柔軟性であり、 心に秘めていたフランクへの捨て台詞を サンディに吐き出させるのもアラムのその若さの勢いだが、 子宮外妊娠で怖気づいた…
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200w REVIEW '09 『牛の鈴音』

「働くことが生きること」。 獣医から牛の余命は一年と宣告されたときの、 チェ爺さんの気が抜けて愕然とした表情が忘れられない。 初めて牛にも寿命があると悟ったかのようだ。 働きづめに働いて育てた我が子たちは、 その人生の“相棒”の老牛を売るよう口を揃えて父をせっつき、 牛小屋では若い牛が老牛の餌場を奪い取る。 老人の耳には、…
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200w REVIEW '09 『かいじゅうたちのいるところ』

話を聞いて貰えないと家族からの疎外感に苛立つマックスは、 力任せに愛犬に飛び掛かり、 無遠慮に雪玉を投げ付けた姉の友達に“砦”を壊され、 他人目も憚らず泣きじゃくる。 マックスは子供だ。 そんな彼の“かいじゅう”の世界に付きあうのは骨が折れる。 キャロルは、自称ヴァイキングの王マックスに 「孤独の癒やし方を教えて」と尋ねる…
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200w REVIEW '09 『インフォーマント!』

業界の不正カルテルを内部告発した後も、 重役に留まり、あわよくばさらに出世できると疑いもしないマークは、 弁護士に口止めされても、一言のはずがマスコミを前に喋りまくる。 007の英雄気取りの彼には、 自らの賄賂罪などはなから念頭にないのだ。 生い立ちから髪型に至るまで、 嘘を重ねて人生を渡り歩いてきたマークは、 喋り続ける…
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200w REVIEW '09 『シャネル&ストラヴィンスキー』

「春の祭典」で非難轟々のストラヴィンスキーに、 シャネルは自分と同じタブーを恐れぬ芸術家の革新の魂を感じ取ったのだろう。 「No.5」への拘りも彼の刺激ゆえだ。 だからこそ、ストラヴィンスキーの「あなたは商売人」は最大の侮辱だが、 カーチャに「良心はないの?」と詰め寄られ、 「ないわ」と開き直ったシャネルが別れを決意するのは、…
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200w REVIEW '09 『ユキとニナ』

パリの街角が70年代風の懐かしさを喚起し、 ユキが見知らぬ友に誘われる古屋敷でのカルタ遊びは、 まさに日本の原風景だ。 パリの森を駈け抜けると日本の田舎だという安直さには唖然だが、 道祖神が鎮座する別世界で、 子供時代の母が川で遊んだ村をユキが無意識に体験したことが、 大人への通過儀礼の始まりか。 大人の言い訳は詭弁だと、…
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200w REVIEW '09 『バッタ君 町に行く』

人間の捨てた空き箱やゴミで建てた昆虫の愛らしい住まいを、 宅地開発の波が脅かす。 古き良きアメリカの価値観では、人間と野生動物の共生が信じられ、 昆虫の楽園を高層ビルのテラスに約束する。 そこから虫たちが見下ろすのは、 働き蟻のように地面を這いずる人間たちという痛烈な皮肉。 ホピティの名前に相応しく リズミカルに飛び跳ねる…
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200w REVIEW '09 『クリスマス・キャロル』

棺に収まるマーレイの顔の立体感に、まず度肝を抜かれる。 クリスマスの喧騒から通りひとつ隔てた、 冷え冷えとしたスクルージの事務所は、 迫りくる孤独と貧困を締め出す彼の頑迷な要塞のようだ。 マーレイの幽霊はスクルージに唾を飛ばし、 過去の精霊は彼を故郷の空に雪と舞わせる。 現在の精霊は火の粉で床を透かし、 教会の尖塔から地面…
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200w REVIEW '09 『ヴィクトリア女王 世紀の愛』

「ゲームの規則を覚え、駒を動かせばいい」。 母とコンロイに首根っこを掴まれるヴィクトリアの運命は、 アルバートのその言葉で一変する。 彼には「私は見かけより強い」と機転を利かせたつもりが、 王太后から「強いのと強情は違う」と諭されるヴィクトリアは、 玉座に座るや「女王の命令よ」と夫に言い放ち、独裁者の悪弊に陥る。 しかし、ア…
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200w REVIEW '09 『脳内ニューヨーク』

ケイデンと彼の役、演じる俳優、 さらに共演者とそのモデルが 入れ子細工の複雑さを呈する演劇的空間は、 一貫性も脈略もない彼の悪夢の具現であり、 他愛なく転がる死も然り、 登場人物との関係性は舞台から下りた時点で消滅する。 永遠なのは、留守電のアデルの声だけだ。 妻に捨てられたケイデンの不安は、 旅行中に娘の日記を盗み読む…
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200w REVIEW '09 『ジュリー&ジュリア』

50年前のパリでジュリアが堪能した食べる歓びが、 現代のNYに生きるジュリーの 閉塞感を打破する原動力となるのは偶然ではない。 人間の悩みは50年程度ではそう変わらない。 “コルドンブルー”初の女性生徒への 同性の事務局長の冷淡さに抗する玉ねぎのみじん切りの山は、 パリの市場の主人と屈託なく打ち解ける ジュリアの大らかさの…
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200w REVIEW '09 『キャピタリズム~マネーは踊る~』

刑事劇のような勇壮果敢な音楽とともに 装甲車から降り立つムーアには、 銀行幹部の「市民逮捕」を叫ぶときも、 ウォール街を「犯罪現場立入禁止」の黄色いテープで取り囲むときも、 虫ケラ同然に解雇された薄給の労働者や、 代々棲んでいた我が家を追い立てられた国民を無視して、 民主主義であるべき政治を牛耳り、 私腹をこやした“恥知ら…
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200w REVIEW '09 『フローズン・リバー』

生活費を倹約してまでレイが“家”に執着するのは、 それが思うに任せない彼女の人生の確固とした証となるからだ。 そのためなら、不法移民の密入国にも手を染める。 しかし彼女は、母思いで弟の面倒を見る T.J.が傍にいる幸運に気づかない。 彼女の無知な人種差別の偏見によって、 一度は凍死したイラン人夫妻の赤ん坊が、 ライラの腕の…
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200w REVIEW '09 『なるしまフレンド 俺っち自転車道』

かつて鳴嶋会長を「怖い親父」と畏怖していた青年が、 彼の孫である少年の父となり、 会長を“第二の父”と慕う青年は、「愛されてます」と胸を張る。 中年メンバーからは、73歳にしてなおペダルを踏む姿に 理想の憧憬を注がれる会長は、 気風がこぼれる“八王子訛り”でレースよりも自転車の愉しさを説く。 「Eeeラン」は何よりのその実践…
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200w REVIEW '09 『新しい人生のはじめかた』

母からの頻繁な携帯電話を邪慳に切るケイトにハーヴィは言う。 「僕と話したいのなら微笑んで」。 前妻も「面白かった」と認めるハーヴィと、 痛いところを率直に衝くケイトの丁々発止は、 空港ラウンジでの不躾な“不幸自慢”から始り、 街をそぞろ歩くにつれ、彼らの頬を緩ませる。 CM作曲家の現実にジャズピアニストの夢を諦めたハーヴィが…
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200w REVIEW '09 『きみに微笑む雨』

杜甫草堂を吹き抜ける風の葉音、竹林のざわめき、 キャメラを携えた韓国からの“優しすぎる男”が 女の髪に付いた花びらに触れ、 そして愛に臆病な男女に春の雨が降り注ぐ。 ドンハは成都がメイの故郷だと意識して、 新婚の同僚の代わりに出張を引き受けたのだろうか。 彼から愛を告白されたことも、キスしたことも、 自転車に乗ることさえも…
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200w REVIEW '09 『おとうと』

夕立ちの前触れのように鉄郎が現われ、 雷雨とともに母娘は彼と縁を切る。 あるいは、玄関口で「春ちゃんが別れたと聞いて、やったと叫んだ」と 告白した亨の後を小春が追いかけ、そこに雪が音もなく降り積もる。 大船調らしいメンタリティであり、 叔父の小春への「母に挨拶するのがけじめだ」には心震えるが、 “自動車免許、歯の治療は嫁入り…
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200w REVIEW '09 『サイドウェイズ』

英語講師で脚本家、ワイン愛好家で手料理も巧い道雄が 女性に縁がないのは薄毛のせいではないはずだ。 貪欲な映画は、手垢にまみれた脚本家の愚痴、 「キャプテン・ニンジャ」の安っぽさで原典を脚色し、 大介のマリッジブルーは結婚式用のワインともども解決の兆しを仄めかさない。 小日向と生瀬の個人技が単調なカット割に適度な緊張感を与え、 …
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