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200w REVIEW '16『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス空白の5年間』Part2

マイルスの視線の先には “Someday My Prince Will Come”のジャケットに映る フランシスがつねにちらつく。 しかし、歌手としての成功を断念し、 マイルスの懇願のまま家庭に収まった彼女が 夫の愛人や薬物問題に巻き込まれては、離別はやむ無しだ。 当時のスターミュージシャンの多くは、 妻に内助の功に徹する…
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200w REVIEW '16 『ショコラ 君がいて、僕がいる』 Part.2

「俺たちは一心同体、コインの裏と表だ」。 稼いだだけ浪費するラファエルは、 成功さえ手に余らせた。 失意のどん底の彼のトレイラーハウスの壁に貼られているのは、 フティットとの道化時代の写真の数々だ。 “人喰い”の頃のように無知なら無邪気なまま生きられたかもしれないが、 “抵抗”を説くヴィクトールに突きつけられた差別の現実に、…
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200w REVIEW '16 『ショコラ 君がいて、僕がいる』

今では類型的と揶揄されるであろう、 神経質で他人嫌いな白人と享楽的で女好きな黒人コンビは、 わずか100年前には特異だった。 植民地でフランス人監視官から隠れた少年ラファエルは、 密航して警官から逃れ、成功しても借金取りから身を隠す。 フティットも他人に言えない“闇”を抱えるからこそ、 偏見なくラファエルに道化師の可能性を見…
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200w REVIEW '16 『マギーズ・プラン―幸せのあとしまつ―』

「話を複雑にしないで」。 ガイから「普通の子作り」を提案されたマギーはこう拒絶するが、 事をややこしくしているのは、彼女のほうだ。 「男関係が長続きしない」を自認しながら、 ジョンと結婚し、 「彼の身勝手さは、あなたの横暴に抑えつけられていた」と ジョーゼットに復縁を勧めるマギーは、 ジョーゼット曰く「純粋だが、少しバカ」…
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200w REVIEW '16 『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間』

1本の音楽リールをめぐる奪還劇は、 カーチェイスあり銃撃戦ありのハリウッド的アクションとはいえ、 ボクシング会場に乗り込んでのクライマックスは 当時のマイルスの精神的カオスを映画的な臨場感で体感させ、 彼の脳裏で時制の脈略なく記憶が錯綜するのも、 その混沌ゆえとする初監督チードルの意気や良し。 しかし、コカインと引き換えに拒…
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200w REVIEW '16 『皆さま、ごきげんよう』 Part.2

路上でローラー車に轢かれた男が、ぺしゃんこにひしげる。 鳴り響くクラクションに、人間は横断舗道を渡れないのに、 犬たちが一列に並べば、車は礼儀正しく過ぎゆくのを待つ。 住民監視に怠りなく、娼婦を慰みものにする警察署長は、 庶民の訴えに聞く耳持たず、 そんな彼がマンホールに落ちても 叫び声が届かないのは自業自得とばかり、 汚…
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200w REVIEW '16 『皆さま、ごきげんよう』

粛清のギロチンと戦場での略奪で幕を開ける、 これは暴力と不寛容がはびこる現代社会への イオセリアーニの“怒りの唄”さながらだ。 しかし、彼はいつものオトボケでそれを軽妙に諷刺する。 兵士が略奪した指輪は恋人への婚約指輪となり、 現代ではパリの街角を疾走するスリの集団に人々は無関心だ。 断頭台から転がり落ちた首は編物女の“戦利…
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200w REVIEW '16 『トッド・ソロンズの子犬物語』

「犬は人間の最高の友」。 ならば、それは米国社会の鏡となる。 糞の始末にさえ手を焼くレミの父は、 「躾とは“個性”を砕くこと」と威張るが、 犬にフルートを聴かせる子供の感受性は、 大人の嘘で穢される。 「ここに未練はない」。 ブランドンの弟夫妻のささやかな幸福の確からしさに対して、 ドーンには居場所はない。 「アメリカ…
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200w REVIEW '16 『ミューズ・アカデミー』

「結婚は経済活動だ」と言い切る教授に、 思惑がすれ違うばかりの妻は「洗脳ね」と冷笑するように、 教授と生徒たちは文学を通じた新興宗教さながらだ。 グィネヴィアのごとく、 女性から芸術家にキスしてこそミューズと断言する教授は、 「女性ばかりがミューズとは性差別」と弾劾する女生徒を 「きみは不幸だ」と切り捨てるが、 そのほとん…
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200w REVIEW '16 『ミス・シェパードをお手本に』

時あたかもサッチャー政権下。 カムデンタウンの“富める者”は、 「良心の呵責」をミス・シェパードへの“施し”で紛らわせ、 “ミモザ色”のヴァンを舗道に停車させるのを黙認する。 ミス・シェパートは決して感謝を述べず、謝罪もしない。 「私がこんな生活を選んだんじゃない。選ばれたんだ」。 カソリックの厳格な戒律に ピアノの才能を…
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200w REVIEW '16 『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』

デイヴィスが“破壊行為”に没頭するのは、 「簡単だから」結婚した妻に従って約束された 現在の“成功”を叩き壊すためだ。 妻の事故死がなければ、舅の反感をやり過ごし、 “心臓のない”彼自身に安住していただろう。 しかし、それは自己喪失だ。 欺瞞と虚栄に覆われた妻の不貞と妊娠にも無自覚な体たらくだ。 ヴァレの力技は、リアリズム…
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200w REVIEW '16 『パリ、恋人たちの影』

「あなたはいつも“たぶん”ね」。 それは優柔不断な男の常套句だ。 不貞の直前に「俺には妻がいる」との告白は、 「男はそんなもの」と開き直るピエールの“アリバイ作り”に過ぎない。 ピエールはエリザベットに肉体のみを求め、 マノンは愛人に“生”を感じた。 母には懐疑的なピエールの才能を、 マノンは「彼は訊き方が巧いの」と盲信す…
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200w REVIEW '16 『ブルゴーニュで会いましょう』

「ワイン造りは家族あってこそ。独りじゃ虚しい」。 フランソワはマルコに漏らす。 お手軽なブルターニュ産を敵視したところで、 実家のワインを無個性と評価したシャルリは、 防腐剤を使用せず、 ローマ時代さながら足で葡萄を潰し、壺で醸造させる。 フランソワは職人気質の頑固親父だ。 家業の危機にも「当主は俺だ。破産しても構わん」と…
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200w REVIEW '16 『灼熱』

紛争そのものを描かずして、その悲劇を炙り出す。 紛争前夜、若い愛は儚く潰え、 紛争後は憎しみを愛が解く。 そして奔放な現代、見失った愛の本質に目覚める。 3つの時の恋人たちを同じ俳優が演じることで、 物語は不変の愛を説く。 91年、イヴァンは親友にアドリア海で泳ぐイェレナを 「よく見てないと見失うぞ」と忠告され、 11年…
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200w REVIEW '16 『ダーティ・グランパ』

「好きにいられる相手と結婚しろ」。 孫を巻き込む祖父の“暴挙”はグリンベレー時代、 息子の傍にいられなかった“贖罪”としても 元来、彼らが親密だったことは “筋肉コンテスト”での咄嗟の“裏技”が証明する。 「女の尻に敷かれるような男になって欲しくない」。 祖父との旅は、ジェイソンにとって 司法試験に明け暮れた青春時代を取り…
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200w REVIEW '16 『手紙は憶えている』

まだら惚けの記憶が胸に忍ばせた手紙を読んでで甦る。 何という映画的なシチュエーション。 亡き妻を呼ぶゼヴの虚ろな声には、彼女への全幅の信頼がこぼれる。 クリーヴランド行きの列車に乗りあった 少年への優しさは好々爺さながらだが、 ひとたび睡魔に襲われ、意識が錯綜するや、その瞳に狂気が宿る。 今も厳然と世に憚るナチの家をダムの轟…
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200w REVIEW '16 『ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち』

「不可能にも必ず道はある」。 ナチの脅威に、我が子を手放した両親の苦悩は計り知れない。 その断腸の想いが子供たちの生命を救ったことは、 今でこそ英断と断言できるが、 スキー旅行が転じたプラハの街での救出活動がこれ程、 大事になるとは当時のニコラス自身、思いもしなかっただろう。 私設にも関わらず英国政府と見紛う書類作成も、 …
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200w REVIEW '16 『ぼくのおじさん』

甥から小銭をせしめ、姪に舌を出す。 義姉に叱責される様をニヤニヤ眺める彼らに 「礼儀をわきまえたまえ」とムキになるおじさんは、 甥っ子たちの世話を焼いているようで、 彼らに遊んで貰っているのだ。 雪男との“思索の旅”を口実に義姉から小遣いを貰い、 コロッケカレーを食べて、クーポンの期限切れに唖然とする。「ワォ」。 ハワイ旅…
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200w REVIEW '16 『ジェイソン・ボーン』

カルーアは宣言する。 「自由は最も守られるべき」。 眼前での父の爆死の記憶が甦るボーンは、 “復讐”のためだけに闘うのではない。 彼を“洗脳”した組織が、 容易く人の自由を奪えると高を括る傲慢さに叛旗を翻すのだ。 ゆえに「ボーンの信頼を得た」と野心満々なリーに、 彼が“一匹狼”を貫くのも当然だ。 分かちがたい同志はニッキ…
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200w REVIEW '16 『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』

ダニエルに“お引き取り”願い、ジャックの登場で、 シリーズに新風が吹いた。 仕事中に携帯電話に応じ、泥酔してゲルに猪突猛進と、 43歳になっても軽率なブリジットに呆れもするが、 良くも悪くもそれが彼女の魅力だ。 ATMの暗証番号が思い出せず、 家財一式入ったバッグをブースに忘れて、締め出される。 そんな無防備さに、“2人に…
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200w REVIEW '16 『胸騒ぎのシチリア』

のべつ喋りまくるハリーの騒々しさと 声帯を負傷したマリアンの沈黙が、彼らの本音を攪乱させる。 「俺を許すな、批判しろ」。 ハリーはポールを揺さぶるが、 彼には親友の恋人を奪った負い目がある。 ポールとペンが一線を越えたかは、 露悪過多なこの映画に残された貴重な謎だ。 「私が嫌と言ったら帰る約束よ」。 ハリーはふたりの間に…
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200w REVIEW '16 『神聖なる一族 24人の娘たち』

美を願う少女が、“誕生の神”に蝋燭を捧げる。 縦貫道路を挟んだ文化の僻地のようなユートピアに今も息づく寓話は、 素朴ゆえに飽きない。 愛のために全身を風になげうつ少女や、 バグパイプに夢中の夫の股間の匂いに浮気疑惑を晴らす妻、 初潮の印を知らせるため娘が丘の上で吹き鳴らすアルプホルンは 世界平和の調べというように、 逸話の…
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200w REVIEW '16 『ディアスポリス―DIRTY YELLOW BOYS―』

赤羽界隈と思しき猥雑な ヴァイタリティあふれる無国籍空間を捨て去り、 流浪の果てのヴァイオレンスの熊切映画に徹しては、 テレビシリーズのスタイリッシュなおとぼけ感は形無しだ。 「林、撃っちゃって」。 “ダーティイエローポーイズ”への帰属意識も稀薄な周と林の、 疎外感を口実にした銃を暴発させるだけの刹那に “楽園”への渇望が…
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200w REVIEW '16 『人間の値打ち』

ジョヴァンニにファンドの参加を乞うディーノは決死の形相だ。 御曹司の恋人という娘を利用してまでも金儲けしたい 形振り構わぬ野心が、彼の足許を掬う。 「友情に免じて」と泣きついたところで、 付きあいの始まりから損得づくだ。 セレーナもすでにマッシとは破局だ。 甘やかされたマッシに接する彼女は、もはや母親同然だ。 セレーナが「…
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200w REVIEW '16 『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』

夜の闇に隠れるBFGの身のこなしが優雅だ。 ソフィーを毛布で包み悠々と海を渡る旅は壮大だが、 往年のスピルバーグなら そこでソフィーの好奇心にもっと寄り添っただろう。 悪夢を調合するBFGは昂揚感たっぷり、 演じるライランスの美声は不眠症のソフィーを鮮やかに眠りに誘う。 “チビ”と悪態をついてBFGの家に分け入り、 傍若無…
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200w REVIEW '16 『シーモアさんと、大人のための人生入門』

芸術と商売の両立は永遠の命題だ。 シーモア・バーンスタインもかつてパトロンの庇護に、 「このままの贅沢漬けではいけない」と訣別を期し、 50歳で引退した。 「音楽の歓びを知れば、名声も成功もいらない」。 しかし誰もがそう割り切れない。 監督ホークも然りだ。 「代表作はつまらないものばかり」。 演技に情熱を失い、舞台恐怖症…
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200w REVIEW '16 『世界一キライなあなたに』 Part.2

人生初の字幕付き映画『神々と男たち』を観て 「最高」と目を輝かせるルーに、たちまちニンマリしてしまう。 独自のファッションセンスとともに、 その柔軟性に彼女の裡に眠る“可能性”を実感するからだ。 モーツァルトに涙するルーは、その開花の時を待つかのようだ。 ルーにとって、ウィルはヒギンズ教授でもある。 それにしてもパトリックは…
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200w REVIEW '16 『世界一キライなあなたに』

ウィルが若くハンサムな城主の跡取り息子でなければ、 この物語は成立しない。 「あなたが健常者なら私は飲み物を運んでいたわ」。 太い眉に顔をくしゃくしゃにして両親との幼時の思い出を快活に語る ルーの偏見のない“お喋り”が、 ウィルの“元気の源”ならぬ、観る者の心をも掴む。 ウィルがルーに髭剃りを頼むのは、 彼の不機嫌の武装を…
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200w REVIEW '16 『とうもろこしの島』 Part.2

夜、薄衣を脱ぎ捨てて川に入る孫娘は、 日中、川べりで監視中の若い軍人たちの歓声を浴びる。 「お前が一人前になるまで見守られるように」。 祖父は孫娘に祈るが、 もはや人形を手放せない少女ではない彼女は、 負傷したグルジア兵に声を掛ける。 「あなた素敵ね」。 孫娘の思春期の好奇心が、砂上でかろうじて保つ平和を揺るがす。 そし…
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200w REVIEW '16 『とうもろこしの島』

コーカサスの砂を風が運ぶ肥沃な中洲でとうもろこしを実らせる。 その無から実への淡々とした営みそのものが寓意に満ちている。 孫娘に問われて祖父は言い切る。 「ここは耕す者の土地だ」。 彼らは自然に逆らわない。 朝日を浴び、風を感じ、土に寝転がり、天の采配を待つ。 手際良く祖父を手助けする孫娘も、これが初来訪ではないだろう。 …
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