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200w REVIEW '12 『世界にひとつのプレイブック』

混沌の中から真実を見つける。 パットを狂気に走らせるのは左手薬指の結婚指輪だ。 その執着が、彼にティファニーの体当たりの誘惑を撥ねつけさせる。 「前向きに生きれば希望が見える」。 躁鬱症の彼のニッキーへの妄想はストーカーさながらだ。 イーグルス勝利のために“ゲン担ぎ”に拘るパットの父も偏執狂だ。 そんなパットを気まぐれに翻弄…
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200w REVIEW '12 『テッド』

「何でも他人のせいにするのは無責任だ」。 そうテッドに“説教”されるジョンをロリーが許せないのは、 彼がテッドに振り回されるからだけではない。 そうして仕出かした乱痴気騒ぎの責任逃れをすることだ。 テッドは誘惑こそすれ、決して彼に“無理強い”しない。 幼い頃、親友のいないジョンはテッドに“自信”を与えられたが、 心の成長は止…
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200w REVIEW '12 『アウトロー』

無防備に“無差別殺人”に巻き込まれた私たちは、 真犯人を知っている。 法に囚われず、自身の正義に生きるリーチャーは、 この映画の銃をめぐる危険な誘惑さながらアンビバレントな存在で、 クルーズの超人的な佇まいに相応しい。 逆光の中での横移動の射撃、駐車場のコイン、 何よりバーは遠距離から標的を仕留める程の名手ではない。 エマ…
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200w REVIEW '12 『悪の教典』

廃屋のような自宅での日常生活を反復させながら、 「マック・ザ・ナイフ」が斬新な伴奏曲となって、 蓮実の仮面をひとつひとつ剥がして本性を露わにする 三池のサスペンスフルな語り口は刺激的だ。 教室で生徒たちを惨殺した後、 倒れた宇宙飛行士の人形を立て直す几帳面さ。 そんな彼の二面性が際立つ程、凄味は増す。 銃を連射しては顔を歪…
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200w REVIEW '12 『96時間/リベンジ』

人身売買犯の父親が“復讐”とは、 八つ当たりもいいところの物語だが、 それでも目隠しされたまま経路をカウントし、 騒音を記憶し、逆襲の時を窺う ブライアンの“プロの本能”はスリリングだ。 米大使館までのカーチェイスが、 キムの運転免許の過激な実地練習となる伏線も洒落ている。 相手が無手勝流の素人同然ではブライアンの敵ではな…
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200w REVIEW '12 『ルビー・スパークス』

「前世で会ったかも」。 夢の中のルビーはカルヴィンに靴の片方のゆくえを尋ねる。 まるでふたりは失ったソウルメイトの片割れだ。 「愛してる。ずっと離れない」。 カルヴィンが“I Promise”とタイプを打った翌朝、 その誓いを果たすべく現れたルビーは、 他者と出逢い、カルヴィンの創造から“成長”する。 「恋愛には距離が必要…
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200w REVIEW '12 『シェフ!~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~』

「俺はアレキサンドルのことをアレキサンドルより知っている」。 それでもジャッキーは敬愛する彼の料理に自分なりのアレンジを加える。 それがアレキサンドルの失った料理の“今”の感覚だ。 しかし、労働者向けの食堂に高級フレンチを提供する彼の天衣無縫が、 母となるベアトリスには不安なのだ。 「お前は自分の愉しみのために料理してきただけ…
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200w REVIEW '12 『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』

往年のハマー映画を想起させる 英国ゴシックホラーへのオマージュにしては洗練されすぎだ。 ショック描写にもおどろおどろしいケレン味が欠け、 黒衣の女”の存在感も稀薄。 死に瀕したような冷淡な村で、 デイリー夫妻だけがアーサーに尽力するのは、 亡き息子の年齢を重ねたからとはいえ、 生気に乏しい受け身の彼はまどろっこしい。 沼…
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200w REVIEW '12 『砂漠でサーモン・フィッシング』

アルフレッドの投げたキャストが原理主義者の額にヒットし、 シャイフの窮地を救う。 「唸るほど金のある人の“夢物語”」。 しかし、その冗談のような無謀が、 勤務中、上司の顔写真にダーツを投げるような 退屈さを持て余すアルフレッドを、夫婦生活の惰性からも解き放つ。 養殖の鮭も本能に従って川を遡る。 生簀を破壊された水面を跳ねる…
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200w REVIEW '12 『7日間の恋人』

車窓を過ぎっただけのサムをパリスと見間違えるクォンは、 彼女の幻影に取り憑かれた狂人だ。 激動の渦中の巨大企業に 行方不明の社長の“身代わり”を仕立てる余裕はない。 「すべてを持ってるけど幸福とは思えない」。 パリスを装ったサムが鏡に向かって 彼女自身を否定することで孕む二重人格のスリルも淡泊に、 人に対するように花に話し…
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200w REVIEW '12 『恋愛だけじゃダメかしら?』

シットコムのエピソード集のような賑やかしの “毒”はウェンディだ。 講演会直前に漏尿し、“妊娠は最悪”の本音で “ネットの人気者”となった彼女の“輝き”は、 マタニティ雑誌で微笑みつつ妊娠した腹を見下ろすのではない。 「この子が私の最高の“輝き”」。 計画出産も自然分娩も予定通りにいかない。 育児の辛さを愚痴る“イクメンの…
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200w REVIEW '12 『シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語』

大きく横揺れする“幽霊船”に重力を忘れ、 巨大鉄棒の両端に据えた円環に平衡感覚を失くす 空中パフォーマンスは圧巻、 昆虫や動物を擬人化させたアクロバットも “シルク”ならではの独創性だ。 アダムソン監督はノスタルジックなテント小屋に足を踏み入れる ミアに銀幕を横切らせて観る者の視線と重ねるが、 落下したエアリアリストが砂に…
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200w REVIEW '12 『アルゴ』

テヘランの米国大使館に押し寄せる群衆の、 ドキュメンタリータッチの臨場感に、 アフレックはハリウッドの“夢追い人”たちの本気を正攻法で注ぎ込む。 「最悪な人間だな」。 大使館員たちは“演じる”役柄に顔を歪めるが、 マルクスの「歴史は喜劇で始まり、悲劇で終わる」を 「グルーチョか?」と茶化す チェンバースとシーゲルの絶妙の丁…
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200w REVIEW '12 『渾身』

たかだか婚約破棄で、 英明が長年、島民はおろか両親にさえ “許されない”閉鎖性にもうんざりだが、 多美子まで“三歩下がった”古い女の型に嵌まるのは、 いささか時代錯誤だ。 麻里との友情で琴世の面倒を見始めたにせよ、 多美子の英明への“意志”が見えず、 その英明も彼女の厚意に甘えきりの関係性は、 純愛というより不気味だ。 …
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200w REVIEW '12 『黄金を抱いて翔べ』

幸田の「独りだけの島に行きたい」との絶望が胸に迫らず、 モモが食べたかった“バッテラ”が破滅の始まりとなる 彼らの240億円の“代償”は虚しさだけだ。 しかし、モモはそれを予感するからこそ、 下水道に黄色のテープを印す。 「焦ると失敗する」。 斎藤と幸田が図らずも吐く同じ台詞の仄めかしも実体を伴わず、 春樹の自傷癖とキング…
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200w REVIEW '12 『リンカーン/秘密の書』

大統領の若き日への大胆な妄想に、 奴隷解放や南北戦争の歴史的事実と アニメ感覚の斬新なCGが独創的に相まう。 修行中のエイブとヘンリーはカンフーアクションの師弟のようであり、 奔馬の大群の中のバーツとの死闘は 体操の鞍馬競技さながらの軽業だ。 50歳当時のリンカーンがこれ程の体力の持ち主かは疑問だが、 ヴァンパイアと化した…
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200w REVIEW '12 『マリー・アントワネットに別れをつげて』

宮殿内や運河に鼠の死骸が転がり、 ギロチンリストが死病のように貴族間に蔓延する。 4年経っても天涯孤独の境遇を他人に打ち明けない 誇り高きシドニーの伏し目がちな瞳は、 朗読係として誰よりも王妃の嗜好を熟知しているとふてぶてしく輝く。 王妃に香油を塗り込まれたシドニーの蚊に喰われた腕と、 彼女が露わにするポリニャック夫人の柔肌…
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200w REVIEW '12 『教授とわたし、そして映画』

「威風堂々」がオッキの挿話で軽やかに転調する。 正月に若い男と峨嵯山を登る彼女は、 一昨年の年末に同じ道を辿った年上の男との再会を横目に、 若い男との別れを予感する。 ジングが観客に詰問された、 彼に振られ“廃人”になった女性は誰か。 「覚えていない」。 ジングの当惑同様、3人の関係性は錯綜し、すれ違う。 酔っ払って教授…
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200w REVIEW '12 『EDEN』

派手にドレスアップした女装の集団が 白昼の新宿を練り歩く。 それを小綺麗に誤魔化さず、 “異形の愛”と開き直るのが、この映画の潔さだ。 ミロの棲むアパートにはさまざまな“ゲテモノ”たちが 当たり前に生きている。 ゲイのひとりが「差別じゃなく区別よ」と叫ぶが、 彼らの“自分らしく生きる”とはそういうことだ。 ゆえに、「お母…
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200w REVIEW '12 『理想の出産』

「赤ちゃんには誰も敵わない」。 助産婦はバルバラにこうアドバイスする。 しかし、妊娠すら母にひた隠し、母乳に固執する彼女は、 “完璧な母親”に取り憑かれ、「水中で息もできない」。 頭でっかちなのだ。 肩肘張らず、“母親の先輩”に甘えればいい。 ベビーカーが開かないなら、経験者に尋ねればいいのだ。 拘りを棄てることは、自分を…
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200w REVIEW '12 『ザ・レイド』

密室と化した廃墟の要塞で、 SWATとマフィアとの銃撃戦に累々と死体が重なる ワンシチュエーションは私には退屈だが、 ジャカと対峙したマッド・ドッグが、「これじゃ、つまらん」と銃を置き、 拳での対決を挑発するや俄然、銀幕に熱が帯びる。 東南アジア映画流アクションの 観る者の神経に障るような肉体酷使とは一線を画した 正統派の…
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200w REVIEW '12 『恋のロンドン狂騒曲』

人生は“から騒ぎ”だ。 人は抗えない運命にあがき、 巧く立ち回ったとほくそ笑んだ瞬間、虚しく足許を掬われる。 ロイが窓越しに見た赤い下着姿のティアは、彼の夢の象徴だ。 それが手に入ったとき、反対側の窓に見えるのは、 黒い下着姿の元妻サリーだ。 それを認めてロイは、静かにブラインドを下ろす。 事故死を“誤解”した友人の小説を…
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200w REVIEW '12 『映画と恋とウディ・アレン』

“人はいつか死ぬ”。 『アニー・ホール』の少年の喪失感を、 アレンは今も胸に秘めている。 衰えぬ創作欲を「量産すれば中には名作が」とうそぶくが、 「映画製作のときは恐怖を忘れられる」は あながち嘘ではないだろう。 人前が苦手で、ギャグ作家としては秀逸でも、 喜劇人としては失敗続きの彼は、 “ウディ・アレン”の仮面を被り、…
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200w REVIEW '12 『ボーン・レガシー』

前触れさえなく本質に切り込む物語は、 工作員たちが次々と不審の死を遂げる理由も不可解なまま、 アラスカでの突然の爆撃から難を逃れたアーロンと、 同僚による銃乱射の凶行を免れたマルタとの“再会”まで、 観る者を有無を言わさぬ力技で銀幕にしがみつかせる。 極北でストイックなサヴァイヴァル術を積み重ねるアーロンと、 現状を支配でき…
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200w REVIEW '12 『王様とボク』

心は6歳のままのモリオの無邪気さや、 「ミキちゃん」と呼びかける頼りなげな声音、 彼と友達になった小学生たちの不器用なリアクションは愉しいが、 「大人になんかなりたくない」と叫ぶわりには 何のあがきも示さない18歳たちに魅力を感じるはずもなく、 ましてやモリオの目醒めを“退屈しのぎ”に弄ぶ キエの独り合点が12年前に凍りつい…
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200w REVIEW '12 『ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!』

踊ることの情熱。 それゆえ、アランやミコは“限界”に挑戦し、 ステージママに強制されたジュールスはあっさり諦める。 しかし、それも幸せだ。 ジョアン・セバスチャンはホームシックに耐えつつ、 実家の期待を一身に背負い、 アキレス腱を痛めたミケーレは、 本番は踊りで痛みを忘れたと笑う。 シエラレオネの内戦で孤児になった彼女は…
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200w REVIEW '12 『キック・オーバー』

新入りは野宿で雑魚寝という 無法状態のメキシコの刑務所を生き抜く術は観察だ。 悪徳警官に“170万ドル”を横取りされた男と、 彼に刑務所の力関係を訳知り顔で教える少年は名コンビだ。 幼き頃、男が母に叩きこまれた「負け犬は去れ」を今、 少年は“人を見る”ことで実行している。 そして、息子の肝臓を守るため、 初対面の男に平手打…
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200w REVIEW '12 『白雪姫と鏡の女王』

フリーダ・カーロを彷彿させる太い眉の白雪姫が、 何歳までも従順なはずはない。 陶磁器の人形劇で紐解かれる物語の開巻、 女王が「主人公は私」と宣言するわりに、 オーソドックスな寓話に現代的な毒気は程遠く、 時代遅れのドタバタ劇が色彩過剰なプロダクションデザインを空回りする。 “高下駄”を履いた7人の小人たちの豊かな個性で、よう…
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200w REVIEW '12 『危険なメソッド』

クローネンバーグは、“外在化現象”を主張し、 絶対権威の“父”を超えようとあがくユングに思い入れを注ぐ。 実父が匙を投げたオットーに唆され、 ザビーナと一線を超えるのも象徴的だ。 「父を殺し誕生した宗教」をめぐり、師に口論をふっかけるユングは、 NY行きの船上でフロイドにひけらかすように上級船室に宿泊する。 6人の子供を抱え…
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200w REVIEW '12 『菖蒲』

マルタのボグシへの執着は、 彼女自身はまだ認識していない残り僅かな生とは対照的な 彼の若さの輝きゆえか、 “蜂起”で失くした2人の息子の面影か、 彼女はボグシに「灰とダイヤモンド」を手渡す。 しかし、恋人の交通費で全財産費やしたと嘆くボグシに、 「お金ならあげるわ」と笑うマルタは醜悪だ。 “儚い生と突然の死”にドキュドラマ…
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