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200w REVIEW '07 『団塊ボーイズ』

理想は“イージー・ライダー”の中年男たちが現実にもがき、 懸命に若さにしがみつく痛々しさ。 全裸の水浴びと肌寄せあう男たちのキャンプに、 ゲイ警官の登場も醜悪で笑えない。 暴走族“デル・フェゴス”の巣窟爆破は痛快だが、 ウディが正直にそれを告白できないのは、 これまで彼はこうしてコソコソと相手の裏をかき、 金儲けし、それが…
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200w REVIEW '07 『全然大丈夫』

他人を驚かせるのが好きなのに、 子供に「変な顔」と図星を指されると大人気なくムキになる。 お化け屋敷作りが夢なのに、幽霊に怯える。 自信満々なしたり顔で友人の批判をするそんな輝男が、 優柔不断な久信に痛罵される皮肉。 しかし、それは久信の煮え切らない自分への喝だ。 豊原に絡まれる久信の要領の悪さ。 似た者同士のあかりへの不…
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200w REVIEW '07 『タクシデルミア/ある剥製師の遺言』

頭部を撃ち抜かれて始まった生命の循環は、 頭部を切り落とされて終止符を打つ。 欲望が満ちた性器を鶏に突かれるヴェンデルは孤独の象徴であり、 彼の豚の幻影は上官の妻となる辛辣さ。 豚のような尻尾とともに生まれたカルマンは、 まさに豚のように食べては吐く大食いチャンピオンになる。 社会主義の偶像の彼は、巨漢で身動きが取れず、 …
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200w REVIEW '07 『アドリブ・ナイト』

娘にとっては、いつもと同じ援助交際の土曜日。 そんな彼女が初対面の男からの無謀な頼みを引き受けたのは、 決して“人助け”のためだけではない。現実からの逃避。 頑なに車窓を凝視する彼女の無表情を揺さぶるのは、 見知らぬ“家族”の好奇の眼差しであり、 たちまち部屋の片隅に追いやられる疎外感だ。 生死さえ定かでないミョンウンの不在…
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200w REVIEW '07 『ウォーター・ホース』

捏造写真を逆手に取る“真実の物語”とは英国的皮肉だが、 ケルト伝説のファンタジーとハリウッド的スペクタクルは水と油。 クルーソーは漫画的な愛敬を振りまき、 アンガスが姉とルイスを巻き込むバスタブシーンは微笑ましいが、 ディナーの最中の犬とのドタバタは興醒め。 根拠なく爆弾を放つ英国軍といい、悪役が愚鈍すぎだ。 アンガスのクル…
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200w REVIEW '07 『再会の街で』

突然、愛するものがすべて消えた喪失感が、 幸福だった過去を封印し、あらゆる周囲を遮断させる。 なのに、無為にリフォームを続けるキッチンに妻の面影を追ってしまう。 チャーリーは、義理の両親に何処を歩いても妻と娘が見えると叫び、 そんな彼をなぜ判らないのかと嘆くドナに感傷を刺激されるのは、 誰もが同じ孤独や欠落感を抱えているからだ…
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200w REVIEW '07 『フローズン・タイム』

開巻、怒りに任せてベンにカップを投げつける スージーの表情のコマ落とし映像に作家の意欲が漲るが、 肝心の“制止時間”の発想の幼稚さに鼻白み、 スーパーの仲間たちのバカ騒ぎがそれに拍車をかける。 内向的なベンとは対照的に、平手打ち連発のショーン、 熱血フットサルの店長と、理由もなく女に自信満々な男たちや、 露出狂の幼馴染みとの…
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200w REVIEW '07 『潜水服は蝶の夢を見る』

シュナーベルの視線は、ジャン=ドーと一体化する。 一人称の視界が、彼の生きる意志とともに広がる。 自殺さえ許されない難病下で、 唯一彼に残された左眼の瞬きによって羽ばたかせる創造力は、 崇高かつ研ぎ澄まされた遺言となる。 過去を流離う思考は、疎遠だった我が子への愛情を噛み締め、 老父への抑えがたい思慕に至る。 父の髭を剃っ…
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200w REVIEW '07 『スルース』

監視キャメラが、薄ら寒い無機質な室内で戯れる 男同士の非人間的ゲームを無感情に撮り続ける。 70年当時の英国階級社会への皮肉が見え隠れする戯曲に、 現代の物質主義を投影しても、 意味深な台詞が錯綜する二人芝居に何ら緊張感を与えない。 ワイクがマイロを苛め抜く第1幕にSMのスリルが先走るものの、 主導権逆転の第2幕が退屈なのは…
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200w REVIEW '07 『Mr. ビーン/カンヌで大迷惑?!』

あのビーンでも、陽光煌く南仏の海に憧れるとは、やはり英国人だ。 そんなビーンに仲間ができた。 ビーンの頬を引っ叩くステパンは彼の一挙一動を鸚鵡返しに真似し、 サビーヌはナルシストの監督クレイよりも彼に好意的だ。 唯我独尊のビーンに旅の道連れとは初の展開だろう。 ビーンの顔芸は健在で、ステパンとの 「私のお父さま」の路上パフォ…
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200w REVIEW '07 『アイ・アム・レジェンド』

3年間、愛犬サムとマネキンへの独り言だけだったロバートは、 あまりの孤独に苛まれ、「誰か話しかけてくれ」と嘆くが、 すでに会話のコミュニケーションを忘れている皮肉。 イーサンに『シュレック』で不器用なアプローチをするロバートは、 幾度となく愛娘マーリーとそれを観ていたのだろう。 神を捨てたロバートが、アナの首筋の蝶の刺青を見た…
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200w REVIEW '07 『明日への遺言』

法廷に漲る緊迫感が、邪気のない赤ん坊の笑顔でたちまち和む。 戦犯裁判でありながら、新たな命の誕生の歓びは、 敵味方を超えて一同の心を掴む。 岡田中将をめぐる戦時下の殺人を問う裁判が、 殺害された米空兵の無差別爆弾を問うことになる皮肉は、 戦争責任が戦勝国だけで裁く矛盾を浮き彫りにする。 その全責任を背負い込み、助命嘆願や減刑…
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200w REVIEW '07 『エリザベス:ゴールデン・エイジ』

膝を折る各国大使の前で、美女を侍らせ、悦に入る “ヴァージン・クイーン”はデカダンスの極みだが、興趣はそこまで。 許されぬ自由をローリーへの思慕と重ねあわせる類型は興醒めで、 その恋心を掠め取った同名の侍女への嫉妬と対照的な幸福も、 女王の孤独の深淵にまでは踏み込まない。 エリザベス朝の豪華衣裳はもとより 甲冑姿まで披露する…
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200w REVIEW '07 『28週後…』

見殺しにした妻への後悔と迫り来るゾンビの群れの恐怖が、 川へボートを漕ぎ出すドンの脳裏で錯綜する。 開巻早々、そんな緊迫と俗悪が表裏一体の、 一切の感情を排除したフレスナディージョ監督のゲーム感覚は、 屍を乗り越えた街の指導者となったドンが、 母を見捨てた事実を我が子に責められる不条理に、 かつての彼らの家族関係の齟齬を映し…
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200w REVIEW '07 『カンナさん大成功です!』

サンジュンは、カンナさんをアミの吹替歌手というよりも、 その才能に敬愛を寄せていたに違いない。 だからこそ、アミの嫉妬から彼女を守るため、 あえて辛辣な悪口を放ったのだ。 整形しても、カンナさんのがさつさは直らないし、 自信のない気後れはそのままだ。 そんな新たな自分に順応できず、 本来の自分自身を見失ったと後悔しても、そ…
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200w REVIEW '07 『中国の植物学者の娘たち』

ダイ・シージエの中国は、異邦人のエキゾチズムさながらだ。 映画的記憶を辿ったような、小舟なくして外界と接触できない 湖の孤島における狭量な家父長制の崩壊よりも、 監督はミンとアンのままごとのような幼い愛戯の表層を 官能の愉悦でなぞるだけだ。 白痴の茫洋をまとったミンの豊満な肉体には反抗と放蕩がたぎり、 彼女が権威主義への刺客…
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200w REVIEW '07 『スエリーの青い空』

華奢な身体を怒りでたぎらせ、エルミーラは空白の町を彷徨う。 「この町から出たい」。もはや夢というより執念だ。 一度、都会で辛酸を舐めたからこそ、 より今の退屈な現実に焦燥するのだろう。 エルミーラは、愛ゆえに厳しい祖母や、 純情青年ジョアォンのかけがえのなさに気づかない。 だからこそ、宝くじのついでに自分自身を抽選する、 …
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200w REVIEW '07 『ゼロ時間の謎』

パスカル・トマは最も疑わしきが犯人というミステリーのセオリーを、 原作同様の力技で、お得意の滑稽な群像ドラマの裡に貫く。 同級生の罪を我が身に引き受ける愛娘と 喪服の美女オードの諦観を重ね見るバタイユ警部。 酩酊のマリは鏡の中の自分に号泣し、 前妻への嫉妬を過剰に露わにするキャロリーヌは、 年上キラーのフレッドと金づる探しの…
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200w REVIEW '07 『ペルセポリス』

オルリー空港のロビーに佇むエトランジェの癒しがたい欠落感。 すっかり様変わりした祖国イランを、マルジはこれからも 愛すべき亡き祖母が胸にまとったジャスミンの芳香とともに想い起こすだろう。 公明正大に生きること。 異国で祖国を受容できない罪悪感は、自己喪失そのものだ。 そんな袋小路に陥ったマルジが“Eye of the Tige…
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200w REVIEW '07 『エンジェル』

エンジェルは真実の自分自身から目を背ける。 現実を拒絶し、虚言と誇張で塗り固められた理想こそが、 作家としての彼女の奔放な原動力となる。 それゆえお伽噺のような憧れを手に入れた代償として、 生来の創造力を失し、追いかけるほどに離れる愛の苦渋に苛まれる。 そんなエンジェルの虚実のたゆたいを、 オゾンはハリウッド・メロドラマのパ…
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200w REVIEW '07 『線路と娼婦とサッカーボール』

線路脇の暮らしは生命の危険と隣りあわせだ。 ヒモに頼らない娼婦たちは独立独歩の生活に胸を張るが、 彼女たちの稼ぎを当てにするチンピラ同然の夫もいる。 しかしキャメラの前でも仮面を被る娼婦たちが 素顔のままでいられるのは、唯一家族と一緒のときだけだ。 顔を強張らせて母への誇りを口にする子供たちは、 女性に敬意を払う人間に成長す…
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200w REVIEW '07 『ぜんぶ、フィデルのせい』

パリのアパルトマンに世界が広がっている。 「混沌から世界が始まった」。その激動の渦中で、 アンナは少女の先入観をふるいにかけ、おずおずと自我に触れる。 新しい学校の正門を潜るとき、肩で大きく深呼吸するアンナがいい。 「すぐ慣れて新しい友達ができた」。 キューバ人からギリシア人、ヴェトナム人へと乳母が変わるたび、 反撥しながら…
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200w REVIEW '07 『シルク』

厳寒の荒波に洗われた雪景色の日本は、 まさに“世界の果て”、東洋美の極致だ。 エルヴェは幕末の日本に魅了されたのか、 それとも物言わぬ美女の神秘か、滅びゆく十兵衛の武士道か。 「理由は忘れ去られ、事実だけが残る」。 旅立つエルヴェに「戻って来ないと死ぬ」と言い切ったエレーヌは、 命が潰える直前、花盛りの藤棚をエルヴェと歩む。…
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200w REVIEW '07 『かぞくのひけつ』

誰もが顔見知りの十三の商店街で、 父の浮気に愛想をつかしながらも寄り添う母を見て、 達観して育った賢治といえども、 「なんで男と女は一緒になるんやろ」と素朴な疑問を抱き、“性病”に悩む。 賢治は自分の魅力に気づかない少年そのものだ。 そんなに早く大人にならなくていい。 立花に殴り倒される賢治の脇でのた打ち回る村田の図の可笑し…
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200w REVIEW '07 『ダーウィン・アワード』

“ダーウィン・アワード”など妄想と鼻にも引っ掛けなかったシリが、 “RV車衝突事件”でそれに根拠を求めるように、 観客もいつしか奇を衒った物語の術中に嵌り、 マイケルの主張する法則に真実を見てしまう。 タイラー監督は犯罪マニアなのだろう、 “コーラ機転倒事件”の裏を衝くディテールに唸らされる。 人生はままならない、だから面白…
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200w REVIEW '07 『アニー・リーボヴィッツ/レンズの向こうの人生』

準備に完璧はないとリーボヴィッツは言う。 それでも徹底的に、撮影は十数分。 “有名人なし”の写真に半信半疑の彼女は、しかし芸術家そのものだ。 ヴィジョンが明確だから、瞬時に被写体の個性を引き出す。 質問者の「目隠しして撮れますか?」に 「私はいつも真剣よ」と応える彼女の遊び心は、 妥協を許さない厳格な視線に裏打ちされ、 そ…
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200w REVIEW '07 『俺たちフィギュアスケーター』

男同士ペアの奇想天外が下ネタオンリーで、 内輪受けコントの低レベルに辟易。 フィギュア規定のルール無視はまだしも、 30歳過ぎのトウの立ったスケーターが 二重顎のぽっこりお腹ではアスリートには程遠い。 スポ根もののパロディ“アイアン・ロータス”のスリルも、 マイケルとジミーが“熱演”するほど笑えない。 彼らの子供じみた主導…
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200w REVIEW '07 『ここに幸あり』

頭上から汚物を浴びせられ、 軽快な路上スケートでは衝突で大怪我を負うヴァンサンは、 絵に描いたような転落人生を辿る。 しかし、酒と音楽に友人と美女がいれば、 アパートを追い出した不法移民と 橋の下で寝床をともにしようと、日々は充分愉しい。 奔放な印象とは裏腹な緻密に計算された長回し映像の中で、 人は袖擦りあい、再会と別れを…
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200w REVIEW '07 『ユゴ~大統領有故』

シムの「北の宿から」が“恨”を揺さぶるように宴席に響き、 キム部長の殺意に火を点ける。 植民地時代を生き抜いた彼らは日本語で一大決意を呟き、 キムは大統領の通名を叫びながら暗殺に及ぶ。 大統領の遺体を前にしてそれが誰なのか理解できない現場の人々の滑稽さ。 それこそが彼らの“有故”だからだ。 “運命の一日”に居あわせた有名無名…
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200w REVIEW '07 『モーテル』

人気のないモーテルやスナッフビデオといった前時代的なモチーフが、 客を嘗めきったフロント係が支配する密室劇の 他人を寄せつけない緊密さで、悪趣味を紙一重で擦り抜ける。 嫌味の応酬で崩壊寸前の夫婦が、危機に瀕して同志に転じる面白さ。 公道のアライグマに悪夢に突き落とされた彼らは、 浴室のゴキブリに希望を見い出す。 暗闇のトンネ…
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