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200w REVIEW '13 『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』

白黒の映像にふつふつと沈む感情が、家族の歳月だ。 父の生家を訪ね、親戚と再会し、父の旧友と顔を合わせ、 デヴィッドは初めて両親の過去を知る。 エドは威張る。 「俺が離婚に反対しなければ、お前は生まれてなかったぞ」。 夫に不平不満ばかりでも、親戚に罵られるや母は啖呵で応じ、 デヴィッドもエドを殴り倒す。 宝くじの当選を信じ、…
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200w REVIEW '13 『旅人は夢を奏でる』

似ても似つかぬ父と息子が、 旅の過程で似た者同士となる。 35年間、疎遠だった息子との子供の頃の想い出は 音楽と結びついている。 ホテルのラウンジで「枯葉」を熱唱し、父子の距離は縮まる。 全財産をスリ母娘に盗まれても、 レオは「いいじゃないか、楽しませてもらえたんだから」と ティモに哄笑する。 ティモは人生の楽しみ方を知…
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200w REVIEW '13 『ハロー!純一』

石井監督らしいシチュエーションコントのコラージュだ。 ゆえに、ストーカーを殴り倒し、 スーパーの店長に喰って掛かるマリアが、 生徒たちのひたむきさにほだされ、 タカオに手料理を振る舞う判りやすい変貌ぶりは別人格のようで、 冒頭、台詞の聞き取れない小学生の甲高い叫び声も癇に障るが、 大切な消しゴムが前田のものではないと知った純…
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200w REVIEW '13 『ほとりの朔子』

“ガリ勉なのに受験失敗”した朔子は その夏、傍観者に徹する。 辰子の誕生日の祝宴で 大人のずるさや嫉妬を露わにする4人を屈託なく見つめる彼女は、 しかしネット中継で目撃した、 知佳への思いも裏腹に反原発デモの壇上に引っ張り出された孝史に 「可哀想と思って見られている泣き笑いが可哀想」と 彼の背中を追いかける。 しかし、夏…
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200w REVIEW '13 『エレニの帰郷』

チネチッタで幕を開け、雪舞う統一ベルリンで終わる物語に、 アンゲロプロスが辿るのは共産主義の終焉だ。 大群衆の集うスターリン像の前で“同志”の死は告げられる。 ピアノを弾くスピロスと妻の眼前に広がる窓に スリリングに接近したエレニが、 霧に浮かぶのはトロントの米国境だ。 ヤコブと3人で訪れたベルリンのバーは エレニとスピロ…
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200w REVIEW '13 『鉄くず拾いの物語』

「神はなぜ貧しい者を苦しめるのか」。 ナジフ一家の日常は試練の連続だ。 内戦で弟を亡くしたにもかかわらず、 「戦争中のほうが良かった」と呟くナジフの鉄くず拾いの収入は 一台の車を解体しても微々たるもので、 保険も未加入ゆえにセナダの流産の手術を拒絶される。 医師の信義は金に軽んじられ、 社会は彼らに救済の手を差し伸べない。…
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200w REVIEW '13 『オンリー・ゴッド』

バンコクの闇の深層に迷い込むようにたゆたうキャメラワークは、 麻薬中毒者の悪夢さながらであり、 レフンは不意打ちの暴力でそこから覚醒させる。 ビリーは娼婦を惨殺し、ジュリアンはマイに「脱げ」と怒鳴る。 植民地の侵略者を想起させる傲慢な彼らを、 チャンは背中から引き抜いた剣で天罰のごとく成敗する。 娘を娼婦に堕とした父にも容赦…
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200w REVIEW '13 『フォンターナ広場/イタリアの陰謀』

今も真相は闇の国家的犯罪を追跡する ジョルダーノの執念が銀幕に注ぎ込む情報量は、 ネオレアリズモの系譜さながら重厚だが、膨大すぎ。 主要人物を絞り込むか、 ミラノのデモで再会を果たすカラブレージとノッツァの“友情”、 あるいはカラブレージと妻ジェンマの夫婦愛を軸に、 彼らを事件の語り部にすれば、 門外漢にも理解の一助となっ…
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200w REVIEW '13 『パリ、ただよう花』

「俺の精神年齢は歳より上だ」。 年上の女ホアにこう見栄を張るマチューだが、 喧嘩っ早く、女好きなくせに嫉妬深い彼は、 友人に彼女を暴行させる手の付けられない子供だ。 既婚をホアに告白できず、「捨てられるのが怖かった」。 それでいて、列車で初対面の女に連絡先を教える。 肉体と心は裏腹だ。 別れなければ破滅だが、逢えば身体を求…
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200w REVIEW '13 『アイム・ソー・エキサイテッド!』

ビジネスクラスの乗客の誰もが欲望を剝き出しにする 一幕ものの艶笑コメディさながらだが、 エコノミー客は大人しく睡眠薬で眠らせるブラックユーモアはともかく、 熟睡中の男の膝に飛び乗り、 “処女喪失”するブルーナの執念や、 アルコール依存症のホセラがテキーラを痛飲する機長室に 乗客がやたらと踏み込む奇想天外さが、 …
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200w REVIEW '13 『ドラッグ・ウォー』

テンミンは生命に貪欲だ。 死罪を免れるためなら、仲間を裏切ることさえ躊躇せず、 累々たる死を掻い潜って掴む彼の図太さは、 大陸の活力そのものだ。 うすら寒い空笑いでハハに成り済ましたジャンと部下が、 チャンとの交渉でホテル内を錯綜するスリリングさは 『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』を彷彿させるが、 チャ…
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200w REVIEW '13 『ROOM 237』

なぜキューブリックの監督作は難解なのか。 観る者は、彼が作品に込めた暗喩を 自分だけが発見できたかのように深読みする。 『シャイニング』が暴力について言及しているのは当然として、 そこに先住民虐殺やホロコーストを重ね見ても驚かないが、 ジャックがアポロ11号の月面着陸の捏造に加担したことを 妻に知られたキューブリックの分身と…
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200w REVIEW '13 『ビフォア・ミッドナイト』

「もしも、あのとき」の過去に思いをめぐらすことは、 年齢を取った証だ。 メッシーニの遺跡で呟く。「人生は移ろうもの」。 しかし、過保護な父を煙たがる息子に戸惑う米国男は、 自己中心的な少年のままだ。 さらに、セリーヌの“惚れた弱み”が、 小説家としてもてはやされるジェシーを自惚れさせる。 これでは、セリーヌは彼の“裏方”だ…
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200w REVIEW '13 『さよなら、アドルフ』

敗戦によって、ローレは彼女を庇護していた壁を失った。 逃亡の最中、重い荷物が足枷になるように、 家族との想い出は彼女を裏切り、 掌を返したような世間の冷酷さは、 “家長”たる彼女の伸びやかな肢体に容赦なく突き刺さる。 暴かれたナチスの非道を大人たちは否定するが、 壁新聞が報じるユダヤ人収容所の惨劇から、 ローレは怯えつつ目…
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200w REVIEW '13 『マイヤーリング』

比較は野暮だが、 同じリトヴァクの『うたかたの恋』とは同工異曲の意趣の乏しさだ。 生放送ゆえの制限とはいえ、 世紀の愛の悲劇は時間に追われた 一本調子な舞台劇さながらでは胸ときめかず、 ライヴだからこその臨場感や緊迫感は望むべくもない。 モノクロームに閉じ込められたヘプバーンとフェラーは ナイーヴな恋人たちにしてはすでに貫…
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200w REVIEW '13 『セッションズ』

神父への赤裸々な“懺悔”と、 シェリルの“セッション“のレポートが、 マークの多面性を魅力的に肉付けする。 アマンダは自虐的な辛辣さに潜む 彼のユーモアと率直さに魅かれるが、それは愛ではなく、 シェリルも顧客の感情面に触れることは職業倫理に反する。 マークは叶わない愛を美しい詩に託し、永遠にするのだ。 厳格なカソリックの家…
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200w REVIEW '13 『悪の法則』

ライナーに「道徳の迷いがある」と指摘された カウンセラーの軽率な“欲”は、 彼の幸福をあっけなく奪い去る。 人間関係の稀薄さが現代とはいえ、 白昼堂々、ロンドンの路上で 絞殺器具を嵌め込まれるウェストリーは、 ルースの息子で真夜中のワイヤーに首を切り落とされる 黒づくめのバイカー程度の存在感でしかなく、 プールサイドでロ…
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200w REVIEW '13 『ウォールフラワー』

高校入学時に卒業までの1385日を指折り数えるチャーリーと、 中学まで仲の良かった異性との間に生まれる壁は、成長の過程だ。 教師の真似をして“Nothing”と仇名されるゲイのパトリックも、 愛と肉体関係を混同していたサムも、 過去の痛みを乗り越えたからこそ、逞しく開き直れる。 サムはチャーリーをこう誘う。“Let’s go …
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200w REVIEW '13 『セブン・サイコパス』

マーティの脳内脚本と現実の境界線を揺さぶり、 “俺流”の結末を目論むビリーの狂気、 自らの脚本を読み解くロックウェルの独り芝居的独壇場が圧巻だ。 ハンスはうそぶく。 「サイコパスは映画なら面白いが、慣れると厄介だ」。 ハンスとザカリアの妻がともに黒人なのはマクドナー監督の拘りにせよ、 カーヤとアンジェラがあっけなく表舞台から…
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200w REVIEW '13 『氷の処刑人』

デメオに命じられたククリンスキーは、 親しげに路上生活者に話しかけ、 煙草を分け与えた刹那、躊躇なく彼を射殺する。 ククリンスキーにとって、暴力は日常の平穏と表裏一体であり、 そんな彼の“才能”を見い出したデメオは 慧眼のスカウトマンさながらだ。 結婚前、デボラとの仲を揶揄した男を絞殺する 彼の手際の良さは天性だ。 幼少…
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200w REVIEW '13 『スティーブ・ジョブズ』

金も技術も持たないジョブズは、 マークラのような目利きのビジネスマンにはなれず、 ヴォズのような優れた技術者でもない。 中退した大学キャンパスを裸足で闊歩した頃から変わらない、 ただ強気なハッタリを貫いた理想主義の夢追人だ。 そのためにはエゴイストでなければならなかった。 彼の視線の脇を、ダニエル、パーツ店主人のテレル、 …
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200w REVIEW '13 『愛しのフリーダ』

「ファンだったから、ファンの気持ちが判る」。 フリーダの仕事ぶりは初心を忘れない。 「ファンから始めたから、当然、忠誠心が芽生えるわ」。 信条は「プライヴェートは個人のもの」だった彼女が 沈黙の時を破ったのは、 “売れる”との確信の現実が桁違いだった彼らとの日々を 「孫に伝えるため」というのも市井の人の微笑ましさだが、 今…
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200w REVIEW '13 『グランドイリュージョン』

タロットカードを“招待状”代わりに、 “フォー・ホースメン”を顔あわせさせるプロローグから それぞれの個性を際立たせるレテリエの監督ぶりは快調で、 豪奢なヴェガスのショウでは 観る者を瞬時にイリュージョン世界に誘い込む。 「エゴに目が眩み、騙されていることに気づかない」。 NYとパリを神出鬼没に、 長期に渡って“ターゲット…
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200w REVIEW '13 『ブリングリング』

「友人じゃなければ、僕の家も襲う?」。 マークはレベッカに尋ねるが、 彼らの現実はセレブとブランドだけだ。 欲しいものがあれば、奪えばいい。 「親友でしょ」。 レベッカは気後れするマークを焚きつける。 ネットで留守を調査し、豪邸に忍び込むその手口は用意周到のわりに パーティ感覚の無邪気さで、SNSで仲間にも筒抜けだ。 逮…
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200w REVIEW '13 『ファイア by ルブタン』

高いピンヒールを履いたダンサーのふくらはぎは逞しく、 露わにされた上半身は体脂肪の欠片さえまとわない。 しかし、そんなアスリートさながらのストイックさが、 私の官能を素通りする。 「お客を愉しませるのが歓び」「照明を当てられると興奮する」。 彼女たちは口々に クレイジーホースのダンサーに“生まれついた”ことに胸を張るが、 …
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200w REVIEW '13 『モンティ・パイソン ある嘘つきの物語~グレアム・チャップマン自伝』

“嘘つき”を公言して憚らないチャップマンが “宇宙の彼方”から独白する、 混沌に満ちた奔放な私生活のすべてを真に受けるのは早計だ。 赤ん坊時、空襲で転がる“死”をトラウマに、 本が友だった少年時代は雨の車中で両親とヴァカンス。 ケンブリッジ大学で性の“戯れ”を体験し、 イビサ島で「ヴィーナスの誕生」さながらなアンドレとの出逢…
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200w REVIEW '13 『フィルス』

凄惨なクリスマスだ。 しかしそれは“クズ男”ブルースの 贖罪のための日々とすれば、 これ程、相応しい時はない。 “抑えが効かない”衝動に駆られるブルースは、 クリフォードの妻への悪戯電話をエスカレートさせ、 自ら仕掛ける罠に嵌り込む。 それは衝動を抑制させる薬物が 彼に見させる副作用の幻覚さながらだ。 幼時、弟を“見殺…
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200w REVIEW '13 『ポリス/サヴァイヴィング・ザ・ポリス』

時は残酷だ。 うつろう人心をありありと浮かびあがらせる。 “全米制覇”の一体感は、 スターダムとともにたちまち色褪せ、 軽薄なおふざけも、一瞬即発の諍いと表裏一体だ。 「俺たちを仲違いさせたいのか」。 マスコミの挑発に憮然とするスティングのカリスマ性を認めつつも、 それに嫉妬するサマーズは彼の脱退を怯える。 「解散したバ…
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200w REVIEW '13 『眠れる美女』

暴力的に始まる2つの恋、昏睡中の3人の女、 2人のマリア、2すじの“聖母の涙”。 幾つもの究極の対照の裡に選び択った 3つの決意までの道のりは、 熱病に浮かされたように狂気じみている。 現実に身動きが取れないのは健常者のほうだ。 「お前の母はもう自由を求めていない」と 父に諭されたフェデリコは、 それでもローサの看病で大…
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200w REVIEW '13 『ブロークンシティ』

ホステラーにいいように操られるビリーは、 浮気写真の盗撮がお似あいの三流探偵だ。 女優の夢を掴んだナタリーの銀幕のラヴシーンに嫉妬とは、 「私たちの間には死者しかいなかった」と 切り捨てられても当然だ。 なぜビリーが黒人少年を射殺したのか、 彼の禁酒の理由も曖昧に、 「罪を清算したかった」の言葉に7年の重みはなく、 持っ…
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