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200w REVIEW '18 『マイ・プレシャス・リスト』

キャリーの大きな瞳は、怯えた猫のように焦点が定まらず震える。 「IQが高いことをひけらかすのはやめなさい」。 飛び級でハーヴァード大学に進学した彼女が他人に辛辣なのは、 いきなり押し込まれた“大人の世界”に対する防御反応だ。 「1日中、ベッドにいても幸せにはなれない」。 渋々ながらもペトロフ医師の提案に従うのは、 彼女自身も…
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200w REVIEW '18 『恋多き女』

世に望むはひなぎく、愛だ。 印象派の絵画のようにふくよかなバーグマンを愛でる歓びが、 誰もが見惚れるエレナの艶やかさと幸福に切り結ぶ。 革命記念日、ロラン将軍の凱旋に押し合いへし合いの群衆の中を、 エレナの腕から腕への赤ん坊の右往左往は、 ベルエポックのおおらかなヒューマニズムであり、 マガリ・ノエルをめぐるジャン・リシャー…
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200w REVIEW '18 『マイル22』

冒頭、“インドカー”が架空の国と理解するまで混乱を来すが、 ノアが登場するや、そのオリジナルな存在感に眼が離せない。 手錠をかけられ、下着姿のノアの、 診察室でのアクションは機知に富み、 コンピュータや監視キャメラに従属する諜報活動の ヴァーチャルな足許を小気味良く掬う。 “オーヴァーウォッチ”のプロとしての非情と、 アリ…
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200w REVIEW '18 『ウトヤ島、7月22日』

キャメラがカヤに寄り添うワンカットの映像が、 惨劇のありのままをリアルタイムで映す。 轟音とともに銃声が響き、 得体の知れない“敵”に無防備に晒されるただならぬ恐怖を、 私たちも彼ら同様、実態がつかめない緊張感とともに 銀幕に向きあうことになるが、それは時折、単調に陥る。 惨事の最中、妹の安否に脅えるカヤが、 飄々としたマ…
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200w REVIEW '18 『ともしび』 Part.2

息子に孫の誕生会への出席を拒まれたアンナの、 駅のトイレでの号泣が胸に刺さる。 彼女が素の自分でいられるのは我が家ではなく、 この薄汚れた個室だけだ。 夫が戸棚の裏に隠した、写真の束が収められた封筒を発見したアンナは、 部屋を輝かせた白百合の花をむしり、 懐かない愛犬を手放す。 ことごとく社会から拒絶されたような絶望を一身…
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200w REVIEW '18 『ともしび』

老夫婦の食卓の灯が突然、消えて闇が二人を覆い隠す。 それは、これまで穏やかだったアンナの人生に 俄かに暗雲が立ち込める予兆さながらだ。 パラオロ監督の眼差しは冷徹だ。 観る者に一切の予断を許さず、ただアンナの日常を追い続ける。 ランプリングもまたライトの下に晒された皺だらけの横顔を掌でなぞり、 プールでのシャワーシーンでは若…
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200w REVIEW '18 『エマの瞳』

たとえ何歳であろうと、 愛する人に真剣に向きあえない男は子供だ。 母の再婚による恨み辛みに未だ拘るテオは、 女性とその場しのぎの関係しか結べない。 「自分の話は嫌なのね」。 そんなテオが“暗闇”で出逢ったエマの“ハスキーでセクシーな声”を ショッピングモールで聞き分けるとは、 好奇心に勝る魅力を感じたからだろう。 「私に…
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200w REVIEW '18 『マチルド、翼を広げ』 Part.2

この母にして、この子ありだ。 マチルドの奇妙な好奇心は、骸骨の標本に注がれる。 「生きていたのに、今は死んでる」。 学校から盗み出した“オスカル”を森に埋葬し、 自ら墓穴に横たわるマチルドの、 死に対する畏れの無垢なみずみずしさは、水のイメージに重なる。 純白のドレスで川に浮かぶマチルドは、入水のオフィーリアであり、 “命…
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200w REVIEW '18 『マチルド、翼を広げ』

「明日はやり直す。新たな一歩で」。 そうマチルドに誓う母は、 しかし自身の精神的な脆さを自覚してもいる。 「私は悪い母よ」。 そう嘆く母をマチルドの担任教師は「最善を尽くしてるはず」と励ますが、 その傍から娘を机の上に立たせる 彼女の突拍子の無さはエスカレートする一方だ。 そんな母を愛しながらも満たされないマチルドは孤独だ…
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200w REVIEW '18 『ライ麦畑の反逆児/ひとりぼっちのサリンジャー』

「現実より虚構に真実を感じる」。 変わり者の作家の“奇行”を出征中のトラウマで強調しつつ、 嫌われていたと思い込んだ父の 「生まれたときから心配していた」との和解は綺麗事に過ぎる。 「一生を賭けて物語を語る覚悟は?」。 青白い部屋で虚ろに書き綴るウィットへの手紙が空回りする。 若きサリンジャーの野心と気取りの信憑性の反面、 …
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200w REVIEW '18 『We Margiela マルジェラと私たち』

「白いスクリーンがその人を映す」。 マルタンとジェニーは常識を覆すことで自由を獲得したが、 組織の巨大化に自縄自縛に陥る。 「負けを覚悟しないと勝てない」。 “儲け”に興味がないマルタンに対して、 ジェニーは会社を売却した“数字”で 自らの実績を示す。 結果、ジェニーは会社を“見捨て”、 無私に尽くしたマルタンは仕事を“…
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200w REVIEW '18 『バルバラ セーヌの黒いバラ』

「誰が主役なの?バルバラ、それともあなた?」。 ブリジットは監督のイヴを問い詰めるが、 これはマチュー・アマルリック自身のバルバラへの愛の告白だ。 ステージ上で歌うバルバラに見つめられるイヴはもちろん、 長年、彼女に仕えたマネージャー、 「小さなカンタータ」を口ずさみアンコールを煽る聴衆たち、 「黒い鷲」を聞いて泣き崩れる男…
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200w REVIEW '18 『THE GUILTY/ギルティ』

どこまでが真実で、どこからが妄言なのか。 緊急通報指令室のオペレーターは、相手の声と漏れ聞こえる環境音から、 鋭敏に状況を察しなくてはならない。 イーベンからの電話に“取り憑かれる”アスガーは、 職務に忠実なあまり我を失うことが、 穏やかな指令室が次第に彼だけを赤色の照明で浮かびあがらせる 孤立感からも判る。 「あなたが好…
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200w REVIEW '18 『いろとりどりの親子』 Part.2

ゲイであることを両親から拒絶されたと振り返るアンドリューは、 彼らを「許すため」に本を執筆したと告白するが、 必ずしも両親に愛されてなかったわけではないことを痛感する。 身障者の親は後悔する。妊娠中にもっと慎重であれば、と。 しかし、そこに因果関係が見いだせない限り、取り越し苦労だ。 両親が愛するように、子供たちも彼らを愛して…
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200w REVIEW '18 『いろとりどりの親子』

“普通”が当たり前とされた時代があった。 しかし、人権意識が高まる現代、 “障害”も“個性”だ。 低身長症のジョセフは、その症状を治療する 新薬を研究する製薬会社に反発する。 「個性を“治す”というのか」。 しかし、誰もが彼のような強さを持ち得ない。 ロイーニは低身長症の大会に出席して、 初めて「テレビ以外で私と同じ症状…
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200w REVIEW '18 『おとなの恋は、まわり道』

フランクが不躾に喉を掻き鳴らすのも、 リンジーが枯れかけた植木鉢に息を吹きかけるのも、 芝居がかった不自然だ。 座席指定された8席しかない飛行機に 搭乗する順番をめぐって喧嘩腰のリンジーは、 神経質を通り越して異様だ。 めまぐるしく顔を歪めるライダーが演技過剰なら、 リーヴスのフランク像は腰が据わらない芯のなさでは、 リ…
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200w REVIEW '18 『マダムのおかしな晩餐会』

ヴェリブでパリを走るアンの上機嫌にボブは水を差す。 「雨が降りそうだ」。 ボブは厭世的な皮肉屋だが、 実際に雨に打たれるのはアンのほうだ。 14人の晩餐会の出席者が機能的に交錯せず、 “婚活紛い”のシングルマザーに辟易したデヴィッドの 芸術家になり損ねた鑑定士の眼が、 スペインの下ネタを嬉々と披露するマリアを見誤っても自業…
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200w REVIEW '18 『セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!』 Part.2

マリアナは振り返る。 「貧しかったが、最高に幸福だった」。 芸術家肌で夢見がちな息子に代わって、 宝石を売って家族を“食べさせる”カリダの 肝っ玉母さんぶりが頼もしい。 思いがけず生まれたセルゲイとの交流が 失意のセルジオに笑顔を取り戻させる。 自家製の密造酒を片手に、 陽気に歌い踊るキューバ人の楽天的な痛快さ。 国家…
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200w REVIEW '18 『セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!』

セルジオは生徒たちを前に、ブレヒトを引用してこう言う。 「方向転換だ」。 かつてソ連に“留学”したセルジオは、 キューバではエリートだったはずだ。 それがソ連崩壊後、社会主義国ゆえに世界から孤立し、 停電に食糧不足と日常生活さえままならない惨状に、 ウリセスの手作りボートで亡命を図る市民も続出する。 作家としても将来の見え…
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200w REVIEW '18 『へレディタリー/継承』

グラハム家を睥睨するような映画の眼差しは、 彼らを逃げ場のない箱庭に閉じ込める。 その映像スタイルは『エクソシスト』を彷彿させる 70年代米ホラー映画の系譜であり、 “見せない”ことで恐怖を煽るヒッチコック的だ。 開巻早々、祖母の「死亡広告」は、 精神を病んだ夫や息子たちと、一族は死に支配されていることを告げ、 箱庭製作家…
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200w REVIEW '18 『ガンジスに還る』

“魂の自由”を得るはずの“解脱の家”でさえ、 ラジーヴは携帯電話での会話が止められない。 いかに現代人は自分を見失っているか。 「私に無関心だった」と父に言い放つラジーヴもまた スニタの本音を知ろうとしない。 「スニタはお前を怖がっている」。 バラナシの日々が、父と息子の関係修復となる。 息子の手料理に味がないと文句を言う…
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200w REVIEW '18 『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』

「LAで尊敬されるのは、金持ちだ」。 投資勧誘に消極的だったジョーが 弁舌巧みな自信家に変貌したのは、 “狡猾”ディーンとの相性とはいえ、 “BBC”は学生の余興同然だ。 彼らは実態のないフローマネーに浮かれ、 ロンの掌で踊らされる。 「お前は俺に似た詐欺師だ」。 大金を預かったジョーは、 「子供たちの学資資金であり、…
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200w REVIEW '18 『マイ・サンシャイン』 Part.2

ジェシーに「もう引き取らないって約束しただろ」と たしなめられる程の数の子供たちに振り回され、 ミリーは限界寸前だ。 怒りに任せて銃を暴発させる隣人オビーとの関係も然り。 「そっちが何もしなければ問題は起こらないのよ」。 そんなミリーの淫夢に、 思いがけず彼女の子供たちに子煩悩の一面を覗かせた オビーが現れる。 子供は大…
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200w REVIEW '18 『マイ・サンシャイン』

店主の凶弾に倒れ、床に広がる少女の鮮血が、 サウスブロンクスの黒人の怒りの炎と重なる。 ミリーの一家は、彼女を取り巻く社会の縮図さながらだ。 彼女は血縁や人種を問わず、 親と引き離された子供たちを引き取り、 我が子と分け隔てなく愛情を注ぐ。 子供の一人は言う。 「どう思われても家族だよね」。 ジェシーは他人の不幸に対して…
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200w REVIEW '18 『ピッチ・パーフェクト ラストステージ』

オーディションで相手がライヴァルと見るや、 一方的に“リフ・オフ”で勝負を吹っ掛ける 「ベラーズ」の短絡さに唖然だが、 たちまち即興で抗され、楽器を駆使した演奏の途端、 意気消沈の自信喪失では、 夢を諦めた情緒不安定な女たちの傷の舐めあいだ。 彼女たちがDJキャレドのパーティに潜り込んでのボヤ騒ぎや、 ファーガスが首謀者の…
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200w REVIEW '18 『ライ麦畑で出会ったら』

思春期の承認欲求に空回りするジェイミーは、 ハンクやディーディーに対しても自己本位なエゴイストだ。 そんな彼が自らの戯曲をめぐる頑なさを貫くことで、 忸怩たる青春の曖昧さと決別する。 それまでジェイミーの世界は兄がすべてだった。 彼に男子校を薦めた兄の破天荒な挙動は、 戦争への抵抗だったのかもしれない。 世に重く垂れ込める…
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200w REVIEW '18 『輝ける人生』

サンドラが夫の浮気を理由に、 10年も疎遠だったビフのフラットに転がり込むのは、 空威張りを装っても、頼りの綱は姉だけだからだ。 “レディ”の称号を鼻に掛けたところで、彼女は孤独だ。 嫌味の応酬から始まったサンドラとチャーリーの交際を、 ビフがおおらかに見守るのは、 チャーリーが妻の病のためにすべてを捨てた情の厚い、 頼り…
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200w REVIEW '18 『運命は踊る』 Part.2

息子の死が誤報と知り、ダフナは安堵するが、 ミハエルはその反動からか、軍への憤懣をエスカレートさせる。 道を譲った兵士の戦死以来、 彼は死の恐怖と罪悪感に怯えている。 車中の女に見惚れ、互いに微笑を交わしたヨナタンだが、 最前線で生命とはアルミ缶程度の軽さだ。 クレーン車で“事故”が葬られた大地に雨が降り、 空には黒鳥の大…
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200w REVIEW '18 『運命は踊る』

逆上に任せて、「私には権利がある」と凄む者ほど 始末に負えない人間はない。 ミハエルは息子の戦死の報に愛犬を蹴り上げるが、 その非情は彼の傲慢さそのものだ。 ヨナタンはそんな父の虚勢を見抜いていたのだろう、 それを自筆のイラストで綴る。 軽快な“ダヒルサヨ”とともにページがめくられ、 ミハエルの過去が紐解かれるように、 …
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200w REVIEW '18 『クレイジー・リッチ!』

自立した中国系米国人レイチェルには、 シンガポール系華僑のニックの家族と資産は足枷でしかない。 噂は瞬時にしてSNSで拡散され、 親友の婚約を歓迎するコリンとアラミンタにしても 彼女とは金銭感覚は相容れず、 ホテルオーナー夫人に“成り上がった”気丈なエレノアも 姑には逆らえない。 ニックにとってレイチェルは閉塞的な因習に抗…
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