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200w REVIEW '14 「第27回東京国際映画祭」コンペティション『神様なんかくそくらえ』

NYの路上で、日々を物乞いとドラッグで浪費し、 あえて破滅的な道を邁進する自傷的な若者たちには 安直な共感など無用というように、 映画はぶっきらぼうなまでに刹那的だ。 「愛しているなら死ね」と足蹴にするイリヤに縋り付きつつ、 男たちを渡り歩くハーリーの、 「翌朝、貰えるなら今、欲しい」とドラックを強要する“屁理屈”には 唖…
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200w REVIEW '14 「第27回東京国際映画祭」コンペティション 『1001グラム』

路地裏のいびつな喫煙コーナーで、 厳めしい社交辞令を交わす老人がマリエの実父だとは。 ハーメルは空撮で捉えた北欧の原風景や 青い電気自動車といった独特のミニマムな様式美で、 測量さながらの厳格さを遵守するマリエの単 調で孤独な日常生活を淡々と炙り出す。 「父が恋しいわ。人生の基準が崩れてゆくよう」。 父のベッドのくぼみに頬…
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200w REVIEW '14 『ブルックリンの恋人たち』

フラニーにとって、ヘンリーの足跡を辿り、 街にあふれる音楽や喧騒にじかに耳に触れることは、 病床の弟への回復の祈りとなり、 大学を辞める彼と喧嘩別れしたままの後悔を癒す。 ヘンリーのストリートミュージシャンの意気が、 70年代のパリの気風を満喫した両親の魂なら、 フラニーにとっては自立精神だ。 「いつも自分が正しいと思って…
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200w REVIEW '14 『ラブストーリーズ コナーの涙|エリナーの愛情』 Part.2

夫妻のアパートには『女は女である』が、 エリナーの実家の自室には『男と女』のポスターが貼られ、 エリナーの両親は叶わなかったビートルズの再結成コンサートで出逢い、 コナーの父のレストランはストーンズが常連客だ。 橋から投身し、骨折したエリナーを実家は腫物に障るように受け容れ、 客の“注文”に暴力で応じるコナーは、 店の経営悪…
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200w REVIEW '14 『ラブストーリーズ コナーの涙|エリナーの愛情』

「あの子の顔を忘れちゃった」。 赤ん坊の死が夫婦の関係に影を落としたことは間違いない。 しかし、彼らは大人になりきれない子供のようだ。 父母としての喪失の痕跡は銀幕に宿らず、 蛍や金魚も“記号”の域を出ない。 再会した雨中のドライヴで、エリナーの場合、 かつて夢で囚われ、コナーに勧めた浮気を、彼が実践したと聞き、 コナーを…
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200w REVIEW '14 『フェイス・オブ・ラブ』

プールサイドでブランデー片手に意識を混濁させる ニッキーの悪夢さながらだ。 亡夫と生き写しという超常現象の張本人が、 トム・ヤングというありきたりな名前の違和感。 「過去は振り返らない」とサニーに誓ったニッキーは、 トムを夫との思い出の地に誘い出すのに、 知人に彼を「紹介する覚悟」を持てない。 しかし、戸棚に仕舞った家族写…
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200w REVIEW '14 『ドラフト・デイ』

冷静に考えれば、ブラウンズがボーを採るメリットは少ない。 再起を賭けるQBの意気に水を差し、 入団を熱望する2人の若手選手の夢を挫く。 個人の能力より、連携と団結がチームスポーツの面白さだ。 「時は容赦なく流れる。けれど優れた選手には余裕がある」。 それはGMも然り。 わずか10分の心理戦はポーカーさながらであり、 余裕な…
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200w REVIEW '14 『パンク・シンドローム』

反社会的メッセージこそパンクだ。 「俺たちを施設に閉じ込めるな」「約束を破る政治家たちは大嫌い」。 誰の胸にも等しく渦巻く不満を 堂々と公言する彼らが“特別”なのは、障害者というだけだ。 涙もろいペルティはうまく演奏ができないと悔し泣きし、 マネージャーの赤ん坊誕生に嬉し泣く。 情緒不安定な彼らは感情のコントロールが難しく、…
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200w REVIEW '14 『さらば、愛の言葉よ』

「見えているのに見えていないものを描く」。 ゴダールの3Dは、ミレーのこの言葉の実践だ。 同じ川のせせらぎや風にそよぐ木の葉を、 角度をつけて撮り、観る者の視線を混乱させたり、 一方のキャメラは女に固定し、 もう一方は彼女から身体を離す男へ移動する二重写しの映像は、 再びひとつに戻る。 前面の男の角度は異なるのに、鏡に映る…
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200w REVIEW '14 『深夜食堂』 Part.2

孤独を紛らわすようにみちるが軒に下げた風鈴を、 彼女の“独り立ち”にマスターが譲り受けたとき、 盛夏から晩秋へのうつろいが情感豊かに香り立つ。 震災で時が止まった謙三はあけみのカレーライスに希望を見い出し、 かおりはボランティアに失恋を忘れる。 上京した知人にさえ絡む謙三と、 “ずるい”自分を赦せたかおりは、 マスターの“…
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200w REVIEW '14 『深夜食堂』

マスターの左頬の傷痕が、 彼もまた訳ありな男だと察せられる。 かつて地獄を見ただろう無頼の彼だからこそ、 深夜に「めしや」に集う客の心身を朴訥に満たせるのだと。 「はじめちゃんは私じゃダメなのよ」と、 たまこはナポリタンにしたたかな大人の女を背負う覚悟を括り、 みちるは食べること、食べさせることの歓びに、再生する。 食堂の…
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200w REVIEW '14 『日々ロック』 Part.2

開巻早々の流血まみれの乱闘から、 次々と男たちを蹴り倒す咲の泥酔カンフーアクション、 炎上するライヴハウス、そして嵐の中、病院の屋上でのギグと、 全編に横溢する常軌を逸した激情の奔流が圧巻だ。 ザ・ロックンロールブラザーズ解散の危機に、 「高校生の自分に言ってやりたいよ、 こんな奴らとバンド続けても無駄だって」と吐き捨てる草…
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200w REVIEW '14 『日々ロック』

「日々沼、あの時の眼だ」。 ラジオから流れる咲の闘病の報に、 右手に魚、左手に書き下ろしたばかりの譜面を握ったままの拓郎は、 乱闘の最中、それを目撃した浜橋に指摘され、 静岡から東京へ疾走する。 拓郎のそんな前後不覚の情熱が、映画の原動力だ。 ザ・ランゴリアーズとのライヴ決戦での拓郎の“あの眼”は、 新庄の白目など足許にも…
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200w REVIEW '14 『オオカミは嘘をつく』 Part.2

容疑者が被害者に、法の番人が加害者に立場を変える。 ギディの父はドロールとミッキを取り違え、 「刑事のほうが悪人顔だ」とうそぶく。 張込み中の居眠りをドロールに起こされたミッキが、 署長の息子に生意気口を利かれ、 ギディの父が睡眠剤入りと知らずケーキを食する笑いは許容範囲だが、 ドロールの愛犬を電気ショックで昏倒させ、 ギ…
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200w REVIEW '14 『オオカミは嘘をつく』

“第一容疑者が真犯人”は推理劇の鉄則だ。 しかし、ドロールを拷問する前に、 被害者の体内に残る精液のDNA鑑定等で、 彼が加害者だとミッケたちが実証しなければ、 それは思い込みの衝動にすぎず、 残虐にいたぶられるドロールの無力ばかりが際立つ。 そんなユダヤ人の過剰な偏見を、 神出鬼没の馬上のアラブ人は 「俺たちを時代遅れ…
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200w REVIEW '14 『毛皮のヴィーナス』

サドとマゾの関係のように、支配と服従も裏表だ。 クシェムスキーはワンダに支配を強要することで、 服従の悦楽を得る。 豪雨に打たれ、オーディションに“遅刻”したワンダに 当初、けんもほろろに相対したクシェムスキーは、 俗悪なメイクを落とし、髪をシニョンにまとめ、身づくろいするや、 声音まで一変させる彼女の演技に、 足許に跪か…
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200w REVIEW '14 『メビウス』

『嘆きのピエタ』に男の身体から切り取ったある部分を “母親”が呑み込むシーンがあった。 ギドクは続くこの監督作で、その正体を明らかにした。 母にとって夫と息子は究極の相似形だ。 夫に蹴り倒された憎しみの眼差しで、息子の制服を正した彼女は、 未遂に終わった夫の代わりに息子の性器を切り奪う。 性器を失って、なおエクスタシーの獲得…
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200w REVIEW '14 『マップ・トゥ・ザ・スターズ』

亡母の性的虐待のトラウマもあやふやなまま、 心身衰弱状態のハヴァナは母の当たり役を熱望し、 ドラッグを断てないベンジーは、子役スターの気取りで 装填した銃を安易に振り回し、悪友の愛犬を誤射する。 スタッフォードとクリスティーナは 我が子の出生の秘密をひた隠す人気セラピスト夫婦と、 この街は今も“虚栄の都(バビロン)”だ。 …
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200w REVIEW '14 『薄氷の殺人』

1999年の夏、石炭の黒が埋め尽くした中国華北地方の町を、 2004年の冬、雪の白が一面を覆う。 闇の底へ蹴り飛ばした空き缶のように、 事件の真相は謎のまま、ジャンの心身の傷は癒えない。 「やるべきことを探さないと、負け犬のままだ」。 ジージェンが路肩に埋めた夫の“遺骨”や プレートナンバーを記した紙片、 クリーニング店に…
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200w REVIEW '14 『美女と野獣』

「見るな、喋るな」と横暴な野獣に、 「躾がなってないわ」と怒りを爆発させるベル役セドゥには、 意志あるヒロインこそ似あう。 清貧な田舎生活を満喫し、 父の身代わりに城へ向かう気概こそ違和感がないが、 古典的美女には遠く、しかしそのギャップは活かされない。 歓びのため無益な殺生を繰り返した王子だから 野獣への変貌とは現代的な…
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200w REVIEW '14 『天才スピヴェット』 Part.2

これはTSの視線からの物語だ。 レイトンを溺愛した父が出発の朝、車で彼を素通りしたのは、 少年らしい思い込みに過ぎず、 家事より昆虫採集の母の探究心こそ、TSが受け継いだ才能だ。 出発ではタピオカの声に励まされ、 道中にはレイトンが彼の傍にいる。 警官の追跡で詰め込んだ荷物が台無しになった リュックに収めた日記を読んで、母…
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200w REVIEW '14 『天才スピヴェット』

飛び出す絵本の感覚で3Dを操るジュネの無邪気が、 モンタナの乾いた大地を吹き抜ける。 「モンタナのレオナルド(・ダ・ヴィンチ)です」と 臆面もなく大学教授に自己紹介し、 スミソニアンからの電話に父の声音で応じる彼は、 世間を知るにはまだ幼い。 大陸横断の旅で、貨物列車暮らしのトゥー・クラウズや ホットドッグ屋の女店員、空中…
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200w REVIEW '14 『デビルズ・ノット』

ロンは行きつけのダイナーの女店員に励まされる。 「あなた以外に誰がやるの?」。 しかし、いくら“無実”の証拠を揃えても、 “最初から犯人は決められている”裁判では徒労だ。 ダミアンら被告の驚くべき無気力ぶりに、 弁護士陣の尻を叩くロンが逆切れされても致し方ない。 「森で何が起きたのか僕しか知らない」とアーロンは“自供”するが…
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200w REVIEW '14 『自由が丘で』 Part.2

多弁でヘビースモーカーなホン・サンス映画の 主人公たちの会話言語が英語ということで、 いつもの禅問答のような噛みあわなさが、 旅行者への“遠慮”のような 居心地悪い照れ笑いに収斂される違和感が興味深い。 カフェ「自由が丘二丁目」も、女主人クォンの自室のインテリアも、 いつになく洗練されており、 モリとクォンの縁を結ぶ彼女の…
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200w REVIEW '14 『自由が丘で』

階段に散らばった日記のような手紙が、 映画の時制を掻き乱す。 モリの愛読書「時間」は、時の概念がテーマだ。 ヒステリックな娘の号泣の理由も、 可哀想な女性のためのモリの“闘い”も、 取り忘れた1枚に綴られていたかもしれないし、 1週間前の消印の間に、 再会を望まない何かが記されていた可能性もある。 けれど、それらはすべて…
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200w REVIEW '14 『小野寺の弟・小野寺の妹』

姉弟ふたり暮らしの一軒家に、 亡き両親の残り香がもはや感じられないのは、 彼らが唯一無二の関係だからだろう。 進にとってより子は姉と同時に母であり、 より子にとって進は弟と同時に息子だ。 そんな彼らの絆に、好美はもちろん誰も立ち入ることはできない。 進は、自転車事故でより子の歯を傷つけたことが、 姉が結婚できない理由と信じ…
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200w REVIEW '14 『まほろ駅前狂騒曲』

これは自由奔放を身にまとう少年たちの “父性”を探る映画だ。 多田と行天の表情は、はるの居候で固く引き締まる。 子供時代がトラウマなのに父になった行天と、 それを望んだのに奪い去られた多田は、 ふたりで一人前のような相互関係を深める。 「お前は、母親のようにはならない」。 はるのために禁煙した多田は、 “2年間見続けてき…
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200w REVIEW '14 『あと1センチの恋』 Part.2

“死にたくなるような失敗”を繰り返すたびの ロージーの大仰が勘に障る。 グレッグとの初体験で、 コンドームが膣から抜けないままアレックスに助言を求め、 ケイティの小学校入学の朝、 警官との手錠プレイで外せなかったベッドの柵を担いで娘と初登校する。 やりすぎのコメディは鼻白むばかりだ。 薬局の店員として初登場したケイシーが、…
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200w REVIEW '14 『マダム・マロリーと魔法のスパイス』 Part.2

異文化の衝突は未知なるものへの偏見と、 ハルストレムは見据える。 敬意があれば、和解は容易い。 ハッサンとマルグリットは、 インド料理とフランス料理をめぐるロミオとジュリエットのようだ。 しかし、彼らの最大の障壁はマダムとパパではなく、 料理人のプライドだ。 ハッサンの才能は認めても、 彼の成功を手放しで喜べないマルグリ…
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200w REVIEW '14 『ザ・ゲスト』

シンセ音楽とハロウィン迷路の手作り感覚は、 80年代のサスペンス映画さながらだ。 いや、見知らぬ訪問者が 崩壊寸前の家族を再生に導く前半部は70年代的であり、 冷戦時代にはありきたりな兵士のロボトミー化も、 きな臭い今の世界情勢だからこそ普遍性を増すが、 恐怖の焦点は“国家機密”より殺人兵器の冷静沈着のほうだ。 自称デヴィ…
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