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200w REVIEW '08 『地球が静止する日』

クラトゥとバーンハードの哲学的応酬がスリリングだ。 ノアの箱舟のようにリセットするのではなく、 「破滅寸前だからこそチャンスを」。 しかし、「宇宙人は殺せ」と言い切る ジェイコブが体現する小学生並みの米国は、 大統領こそが世界の代表と情報開示せず、 “攻撃される前に攻撃せよ”の精神は 人類より優秀な侵略者に対しても容赦ない…
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200w REVIEW '08 『ヘルライド』

「お前と一緒に殺すのを待ってたんだ」。 たとえピストレロとビックスが実の父子だとしても、 そのための32年間とは何と気の長い復讐か。 老バイカーたちの沸騰するアドレナリンは、衰えゆく性の悪あがきだ。 後ろめたい隠微さはセクシーを生むが、物欲しげな露悪は醜いだけだ。 安っぽい台詞とバイク雑誌のグラビア風な 無表情のあばずれ女で…
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200w REVIEW '08 『チェ/28歳の革命』『チェ/39歳別れの手紙』

メキシコの海を渡るゲバラには理想が、 フィデルのもとに集まった男たちには連帯があった。 その熱狂がゲバラの国連演説「この革命を世界に」の夢へと駆り立てる。 「兵士にも教育を」は彼の育ちの良さの表れであり、 それまではキューバを植民地化する米国という明確な敵が存在した。 しかし、味方さえ定かでないボリビアのゲリラ戦で、 陽気な…
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200w REVIEW '08 『我が至上の愛~アストレとセラドン~』

ロメールらしい牧歌的な艶笑喜劇だが、 5世紀を舞台にした17世紀の演劇的様式を、 現代の峡谷に解き放って眼に留まるのは、 みずみずしい大地の豊穣より踏みにじられた草原の貧弱さだ。 半裸でベッドに眠るセラドンに3人の美女が恋のさや当てをする館を 女装して逃げ出した彼が、再び女性に成りきって、 その“乙女の顔だち”を疑うことなく…
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200w REVIEW '08 『戦場のレクイエム』

鳴らなかった撤退ラッパの下、“英雄烈士”は眠る。 戦後の不遇を「不公平だ」と嘆くグーは、 リウの墓の前で「いっそ俺も死にたかったよ」と嗚咽する。 地雷を踏んだチャオの身代わりになるのも、 死と向きあった彼の本音かもしれない。 しかし、ワンの妻と出逢い、生き残った者の執念で、 第9連隊の存在証明のため、彼の不屈の精神は甦る。 …
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200w REVIEW '08 『パッセンジャーズ』

突然の喪失を受容するに至るクレアの葛藤を、 実姉との確執と絡めるのは興味深い心理劇となるが、 それがラストのどんでん返しのためのプロットでしかないもどかしさ。 そもそもクレアがセラピストなら、 彼女と他の乗客を隔てるものは何だったのか。 死者の黄泉への旅の猶予期間という、 そのスピリチュアル的アプローチの安直さに唖然とする。…
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200w REVIEW '08 『きつねと私の12か月』

好奇心ではしばみ色の瞳を輝かせるリラの 「美しく野性的で、生命力ある」きつねへの憧憬が、ジャケの眼差しだ。 山ネズミの巣穴の上を跳び撥ねる光景に頬が緩むが、 その孤高の美ゆえに“ティトゥ”はリラを易々とは受け入れない。 ティトゥが彼女を深夜の森に招くのは、リラの覚悟を見定めるためだ。 樹木の葉音や動物たちの呻き声に身を固くする…
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200w REVIEW '08 『キャラメル』

奔放な欲望と保守的な価値観の衝突。 不倫に苦しむラヤールはそのことより両親に合わせる顔がないと嘆き、 ニスリンは処女膜再生のため、フランス人を装って美容整形の扉を叩く。 ホテルの予約さえ結婚証明書の提示を求められる窮屈さ。 それでも彼女たちに悲愴感はない。 ホテルの一室で男を待ちぼうけしたラヤールの絶望も、 女たちの友情で昇…
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200w REVIEW '08 『三国志』

「運命は自分で作る」と決意した趙雲の原点を、 平安との義兄弟の関係に見い出したのは新鮮だ。 趙雲の眼前で、握り飯を喰らいながら地図を広げた平安の野望が、 将軍の栄光に包まれた“弟”の“後を追いかける”日々の苦渋。 しかし、趙雲が「俺の人生は何だったのか」と漏らすとき、 「勝利には敗者がつきものだ」と終わりのない戦いに明け暮れた…
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200w REVIEW '08 『ワールド・オブ・ライズ』

「俺がアメリカだ」と言い放つホフマンが イヤホンマイクで携帯電話を続ける傍若無人に、米国の傲慢を重ね見る。 「中東に棲むなんて真っ平だ」と鼻で笑うホフマンと、 アラビア語を習得して敬意を示すロジャーの相違は、 司令官と工作員の立場の反映だ。 “嘘は厳禁”のヨルダンへ情報開示するロジャーの ハニ・サラームへの信頼が、 サディ…
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200w REVIEW '08 『ホルテンさんのはじめての冒険』

物怖じしない少年の執拗な懇願を聞いて 最後の列車に乗り遅れたオッドは、 不貞腐れたようにベッドに沈み込む。 彼が定年後も運転手の制服を脱がないのは、人生の後悔ゆえだ。 生来の臆病でスキージャンプ選手になれなかった彼の、 もしかしたらもうひとつ別の人生。 今や愛する母は彼の顔を忘れ、煙草屋の主人は故人になった。 しかし、シッ…
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200w REVIEW '08 『反恋愛主義』

いざ妊娠するための“精子”をと周囲を見渡したとき、 ろくな男がいない皮肉。 結婚を考えていた弁護士に 妊娠中の妻がいることにも気付かないドラは、 ヌードCMばかりが話題のタマスの軽薄の裡を見抜けない。 ヴァルモン役からの降板を怖れる、 見かけによらず繊細なタマスの男のプライドは、 ドラが彼の精子が目当てだと知って、崩壊する…
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200w REVIEW '08 『ワンダーラスト』

“救済”さえも地獄経由とは、マドンナらしいアプローチだ。 嘘はつかないと背徳の予防線を張るAKの矛盾こそ、 コインの表裏のごとき彼女のクリエイティヴの根源なのだろう。 日銭を稼ぐため、ホリーがバレエからストリップ転じるのも凋落願望の反映か。 しかし肝心の映画は、挑発的なわりにおとなしい。 幼少期のAKの虐待映像がライヴの背後で…
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200w REVIEW '08 『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』

ディズニー印の青春ミュージカルは健全を守り続ける。 高校生の恋のゆくえと進路の葛藤は永遠のテーマだが、 彼らには鈍い嫉妬や苦い痛切とは無縁で、 演劇でジュリアードの奨学生を目指すアメリカンドリームも、 主役のガブリエラがあっさりと舞台を降りる違和感と、 恵まれし者の贅沢さに鼻白む。 エヴァンス姉妹がイマジネーションのカフェテ…
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200w REVIEW '08 『彼女の名はサビーヌ』

ある自閉症の母は言う。「私のせいじゃないのに罪悪感が拭えないの」と。 サンドリーヌ・ボネールは1歳年下の妹サビーヌの ありのままの日常生活をとらえる。 彼女は「サンドリーヌ、明日も来るの?」と問いかけられても、 決してキャメラの後から表に出ることはない。 かつてのサビーヌは“変わり者”でも、 姉妹でニューヨーク旅行できる平穏…
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200w REVIEW '08 『ブラインドネス』

収容所から医師夫妻のマンションに辿り着いたとき、 彼らは安堵とともに今の自分の姿は酷いだろうなと漏らす。 それを聞いた眼帯の男は、「彼女はもっと酷いものを見てきたさ」。 医師の妻は、彼女の目が見えないと信じる 警護兵のからかいに中指を突き付けた。 彼女の世話を鬱陶しいと拒絶する医師も、妻がいないと赤児同然だ。 視力を失った人…
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200w REVIEW '08 『懺悔』

創造力の自由奔放な飛翔。 墓守の「酒なしの人生なんて真っ平」というグルジア人気質と、 窓から飛び降りて馬に乗る黒マントのアラヴィゼ父子の幻想性。 ヒトラーのようなちょび髭を蓄えたヴァルラムは、あらゆる独裁者の象徴だ。 ニノの悪夢で、赤いオープンカーに乗って彼女とサンドロを追い詰め、 オペラを歌うヴァルラムは、メフィストフェレス…
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200w REVIEW '08 『最強・彼女』

「愛してくれる人を大切にしなさい」。年上の婦警はジュンモに諭す。 ならばソフィにとってそれはイリョンだ。 ソフィだけが彼の心を“心読術”で聴く。 そして、彼女の涙がイリョンの催眠術を解く“音”となるのだ。 雨中、ふたりが図書館へ駈けるクァク・ジェヨンらしさに微笑だが、 ラヴコメディと武侠アクションは反撥しあったまま、 監督は…
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200w REVIEW '08 『その男ヴァン・ダム』

開巻の一大アクションの長回しのラストで、 さすがにヨタヨタとふらつくものの、48歳にしては上出来だ。 「ヴァン・ダムは無一文」「新作はセガールに奪われた」と 自虐的な台詞のセルフパロディは、彼の知性だろう。 礼儀と挨拶の武道の世界で生きてきた男が、 「騙したもの勝ち」のハリウッドで直面する不条理に、実生活の苦悩が透ける。 ア…
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200w REVIEW '08 『ブロークン・イングリッシュ』

“世界一男運が悪い”と嘆くノラは、 自分の殻に閉じこもり、ナルシスティックな自己憐憫に浸るだけだ。 「人生は魔法のように変わらない」とうそぶきながら、 “枕が変わると眠れない”ニックとの一夜の情事を ロマンスと自分に言い聞かせ、手痛いしっぺ返しを食らう。 30歳を過ぎても現実を直視できない、無いものねだりの“お嬢さま”なのだ。…
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200w REVIEW '08 『英国王給仕人に乾杯!』

人生には必ず落とし前を支払う時が来る。 ヤンは掠め取ったソーセージ代のお釣りを、30年後に行商人に返す。 人一倍金持ちに憧れ、派手にばらまいた小銭を 他人が這いつくばって拾うのを見てほくそ笑む卑小なヤンは、 激動の時代のチェコ人の象徴であり、 彼を囲む幾枚の鏡が映し出すのは、ドイツ人と生きた彼らの姿だ。 リーザとの初夜、ヒト…
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200w REVIEW '08 『シリアの花嫁』

人間が定めた規則に人間が翻弄される愚行。 中立地帯を挟み、家族が拡声器で会話する不自然さ。 写真だけの結婚に懐疑的だった憂鬱な花嫁モナは、 出国印を修正液で消すだけの入国をめぐるシュールな悪夢に、 自らの運命を委ねることを決然と拒絶した。 書類では許可されない“境界”を、 モナは強靭な意志とともに前を見据えて超える。 彼女…
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200w REVIEW '08 『DISCO』

40歳で再びディスコキングを目指すディディエの野心が、 英国に暮らす我が子との再会という小市民的幸福なのが好もしい。 それに比べれば、ほのかに相思相愛のバレエ教師 フランスとの別れなど他愛ないものだ。 所詮、彼女は高嶺の花、現実は息子のほうだ。 未練を匂わせるフランスにあっさり身を翻して、 彼は降船したばかりの愛息の手を握る…
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200w REVIEW '08 『ファニーゲームU.S.A』

幸福はタッパーから取り出した卵のように、いとも容易く落として割れる。 流麗なクラシック曲が放埓なハードコア・ノイズに掻き消されるように、 ブルジョワの豪奢なヴァカンスは 悪意ある招かれざる客によって、あっけなく破壊される。 慇懃無礼な気まぐれで虚実を漂うポールとピーターに 最初から敵意を剥き出しにしたのは、愛犬ラッキーだけだ。…
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200w REVIEW '08 『ブロークン』

ショーン・エリスはやはりワンアイディアの人だ。 突然、鏡が割れ、そこに映し出されていた自己が 独り歩きするアイディアは映画的だが、 内臓逆位のX線写真もジーナの右瞼の傷跡も 思わせぶりなディテールの域を出ず、 そのクラッシュシーンもハイスピードキャメラのスタイリッシュ優先では、 事故の衝撃がジーナの変容に必然性を与えない。 …
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200w REVIEW '08 『タンゴ・イン・ブエノスアイレス―抱擁』

「リベルタンゴ」の音色とともにキャメラが街を疾走する快活な幕開け。 これはブエノスアイレス発のタンゴの帰郷の祝祭だ。 「ドイツのタンゴに抱擁はない」と敬意を表する独カップル、 日本人参加者は出場書類を忘れたと焦る。 リハーサルから自由闊達な亡きホセ・リベルテーラの哀愁の名演奏、 前奏から拍手と熱気を煽る男性歌手の粋。 痛切な…
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200w REVIEW '08 『オリンダのリストランテ』

キッチンに貼られたセピア色の写真を横目に、 オリンダが他人事のようにペーターに語るのは、 彼女の若き日の実体験だ。 だから、オリンダは住所だけを頼りに 異国で恋人を探すペーターを見捨てられない。 運命の出逢いは、オリンダに青春の情熱を甦らせ、 忘却の過去に向きあわせる。 人当たりの良さとは裏腹に、 客の眼前で嫌がらせのよ…
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200w REVIEW '08 『アイズ』

クライマックスのタンクローリー爆破のパニックは臨場感たっぷりだが、 オリジナルに忠実なリメイクだから、 前半のコケ脅しさながらのホラー描写より、 シドニーのマリアへの心情一致を丁寧に見たかった不満は拭えない。 さらに、閉鎖的なタイのウェットな悲哀は蒸発し、 シドニーとアリシアの“友情”も通り一遍なので、 アリシアとの写真を見…
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200w REVIEW '08 『マンマ・ミーア!』

ABBAの名曲に嵌め込んだ単純な物語に、 判らずじまいの父を明かす野暮は求めないが、 ドナは20年の後悔を超えてサムと結婚し、 ソフィは“世界を見るため”に結婚延期と、 ハッピーエンドにかこつけた呆気なさ。 崖の上の教会で3人の父親が名乗り出る混沌は シチュエーションコメディの可笑しさで、 「ダンシング・クイーン」で島の女…
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200w REVIEW '08 『かけひきは、恋のはじまり』

クルーニーは、新世代から“爺さん”と揶揄される男の意地を、 泥まみれのラフプレーから、 洗練され“退屈”になるアメフトの変遷の裡で貫く一方、 ハリウッドのジャンル映画に目配せする。 寝台車の寝台の上下でのドッジとレクシーの丁々発止は キャプラ風のスクリューボールコメディであり、 もぐり酒場での警官とのチェイスや乱闘騒ぎは …
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