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zoom RSS INTERVIEW 「クリストフ・オノレ 『美しい人』」

<<   作成日時 : 2009/05/10 23:31   >>

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――昨日のティーチインで、サルコジの大統領選挙での演説
「『クレーヴの奥方』は時代遅れ」に異を唱えるために
映画化したと仰言っていましたが、
それでも、近年にはマニュエル・ド・オリヴェイラの同名の傑作があり、
また大胆な翻案という意味では
アンジェイ・ズラウスキの『女写真家ソフィー』がありますが、
そういう点でのプレッシャーはありませんでしたか?
「すでに僕の頭の中で、現代の若者が主人公で
パリで撮影する映画というアイディアがあったんだ。
それを暗めの深刻なテーマで撮ろうと考えていたとき、
そのサルコジの発言を聞いて、
ふたつのアイディアが繋がったというわけだね」


――ジル・トーランとは、どのように共同脚本作業を進めていったのですか?
「進行はすごく早かったね。
2007年にこの映画を撮ろうと決意して、
7月にキャスティングを決定したとき、脚本作りを始めた。
僕自身、脚本作りに何年も時間を費やすタイプではなく、
すぐに書きたいものを執筆していって、
それはジルとの仕事でいっそうスピードが加速していったという感じだった。
彼とは長い付きあいだから、一緒に仕事をするにあたって、
まずディナーをして、会話をして、その段階で脚本がどんどん進んでいった。
帰宅した後、それぞれの自宅で書きあげたものを、
またレストランで持ち寄って訂正してと、
ほとんどレストランで書かれたものといっても過言じゃない(笑)。
基本的に、ジルからこんな風に書いたよと送ってもらった脚本を、
僕がまとめるというのが大体の流れだったけど、
結果的に脚本の大部分を執筆したのは僕だね。
というのも、僕の頭の中でどのように撮りたいかというアイディアが正確にあったから。
でも、ジルとは1回逢っただけで、40ページ程も脚本が出来あがる(笑)」


――撮影現場では、レア・セイドゥ以外は演技のアドリブを許したと仰言っていましたが、
俳優に演技の自由を許すタイプの監督なのでしょうか?
「最初に細かく指導するんだ。
特に、動きに関しては振付師のように細かく指示する。
ただ、それ以降は、ある程度自由を与えて、
特に会話の部分に関しては俳優のアドリブを取りあげていくほうだね。
リハーサルの段階で充分に話しあって、指示を与え、
俳優たちに自信を持たせて、何をすればいいのか判らせる。
回を重ねるたびに俳優たちに自由を与えて、好きなようにやってみろと言ったりするね」


――ジャック役のルイ・ガレルをはじめ、
前作『愛のうた、パリ』(映画祭上映)に引き続いての出演者が散見されますが、
それは俳優との共犯関係の表れと見ていいのでしょうか?
「俳優との共犯関係は僕にとって重要で、
演劇のように一座を率いて映画作りをするのが好きなんだ。
俳優は私の映画作りの中心であり、
そのためには、お互いをよく知り、彼らの個性を知ることが大事だね。
そして、その中に必ず新人を入れるんだ」


――それがレア・セイドゥというわけですね?
「そう、他にも多くのアマチュアを起用しているが、
彼女にヒロインを演じさせるのは、ある種の賭けだった。
彼女は女優デビューしたばかりだったから」


――レアは、彼女自身とジュニーの間に
共通点がほとんどないことで不満を感じていたようだと、
ティーチインで仰言っていましたが、
そんな彼女をどのようにしてあなたのメソッドに馴染ませたのでしょうか?
「ただ、キャスティングの段階で、
レアをジュニー役に起用しようとは決めていたんだ。
彼女がジュニーとは違うということも判っていたけれど、
それは一種の再構築のような作業だった。
彼女をいかにジュニーに作り変えるか。
若い女優にそれをさせるのはとても大変なことで、僕は用心深く彼女に接した。
そして、時には専制君主のように振舞って、ある種の再構築を成し遂げたというわけさ」


――ジュニーは、(原作の)夫の死に殉じるようなシャルトル嬢とは異なり、
ラストで決して死には向かわないと思わせるヒロイン像ですね?
「たしかにそうだが、僕はこの映画の中ですでに彼女に死の匂いを嗅がせている。
オットーの死は、『クレーヴの奥方』との類似点として挙げられるよね。
けれども、ジュニーはラストで逃げるように船に乗るとき、
そこで幸福そうな顔をしている。それは若さを享受する女性の顔であり、
ルイ・ガレルを捨てて、新しく旅立つときの幸せの表情。
これがこの映画の一番、新しい解釈だと思う」


――加えて、あの有名な手紙の誤解が、
マティアスのゲイに結びつくという展開は、ラファイエット夫人も吃驚するでしょうね(笑)?
「僕にとって恋愛を語るうえで、同性愛はとても重要なんだ。
若者同士の愛の関係において同性愛はたくさんあって、
むしろそれが真の恋愛に進むための登竜門であるとも言える。
ラファイエット夫人はたしかに宮廷の恋愛を描写したけれど、
宮廷にも男女の愛のほかに、レズやゲイは存在したから、
それを取り上げたという意味では、僕のほうが自由だというわけだね(笑)」


――『愛のうた、パリ』は全編ミュージカルでしたが、
この『美しい人』では死を決意したオットーがその真情を吐露するシーンだけ
ミュージカルになりますが、その意図は?
「ご存じのとおり、『パリの中で』、『愛のうた、パリ』、
そして本作は3部作を成していて、
それぞれに幾つかの共通点を持たせている。
それらは、青春であり、恋愛であり、パリであり、
そして少なくとも1曲はミュージカルシーンを挿れるというもの。
その“掟”に則ったってことが、意図だね」


―ーそして、季節が冬というのもそうですね。
音楽に関していえば、ジュークボックスから流れる
アラン・バリエールの「Elle était si jolie」も印象的でしたが、
この曲を使おうと思われた動機は?
「映画のタイトルである“La Belle personnne”の
“belle”と“jolie”を掛けたのがひとつ。
もうひとつは、僕が子供の頃、母が良く聴いていたのがこの曲で、
でもそのとき10歳だった僕には、これが恋愛に関する悲しい歌だとは知らなかった。
今そのことを思い出すと、母は悲しい歌を聴いていたんだと、
メランコリーな気持ちにさせられる。いつも心の中にある曲なんだ」


―ー現在のフランス映画界において、
あなたは映画作家としての自由を感じていますか?
「僕自身は、作家主義としての自由を享受していると感じている。
批評家からも評価が高く、
低予算のわりに興行的な成功を収めていということでも認めてもらっているし。
実際に、自分が映画界でどのような地位にいるのかは
正確には良く判らないけど、充分に自由を享受しているよ」


―ー若者たちの青春群像の中で、
ビストロのマダム、二コールの存在が心に残りました。
「普通、若者が主人公だとその両親の存在は必然で、
けれど、僕は親と子の対立というのは、あまり好きじゃないんだ。
にもかかわらず、若者と彼らとは違う世代の共犯関係を描きたいと思ったとき、
二コールという第三者的な人物を登場させることにしたんだよ」


●Christophe Honoré
1970年4月10日、フランスのカレー生まれ。
児童文学“Tout contre Leo”で作家デビュー後、
01年に短編映画“Nous deux”を発表、
02年の長編第1作“17 fois Cécile Cassard”は
カンヌ国際映画祭ある視点部門に出品された。
04年にジョルジュ・バタイユの遺稿を映画化した『ママン』で注目され、
06年の『パリの中で』(特殊上映) はカンヌの監督週間に選出され、
07年の『愛のうた、パリ』(映画祭上映)は
同映画祭コンペティションに正式出品、国際的な脚光を浴びる。
本作ではセザール賞脚色賞候補に。

●DATA
『美しい人』
La Belle personne
2008年フランス映画
監督=クリストフ・オノレ
出演=ルイ・ガレル、レア・セイドゥ、グレゴワール・ルプランス=ランゲ
フランス映画祭2009にて上映

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