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zoom RSS テーマ「REVIEW〜映画祭」のブログ記事

みんなの「REVIEW〜映画祭」ブログ

タイトル 日 時
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2017」 『すべて売り物』
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2017」 『すべて売り物』 いきなりモノクロームの画面に、ひとりの男性が突然、列車に飛び乗り損ね、轢かれる姿が映し取られ、観る者の胸を衝くが、そこで銀幕はカラーに転じ、それが映画撮影中の監督自ら挑んだスタントの一場面であることが判る。危険な撮影を終えたとはいえ、しかし現場の不穏な緊張感はたゆむ気配はない。本来、このスタントをするはずだった主演男優がいつまで経っても現れないのだ。 ...続きを見る

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2017/07/19 22:28
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2017」 『エディットをさがして』
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2017」 『エディットをさがして』 女性写真家として1930年代のイギリスで活躍したエディット・デューダー・ハート。その彼女の死後、実は冷戦時代、KGBのスパイだったことが明らかになる。親族の誰一人として知らなかったその“二重生活”を、彼女の従甥であるユンク監督が、当時のドキュメンタリー、エディットを知る人物へのインタヴュー、そして当時を再現したアニメーションで辿るが、時代を追ったそれらは断片的にしかすぎず、それも証言者の立場によって相反する。そして何より、スパイ活動の真相の壁として立ちはだかるのは、今の世も変わらぬ旧KGBの... ...続きを見る

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2017/06/28 22:57
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2017」 『ナイトライフ』
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2017」 『ナイトライフ』 「この国で何かがきちんと明るみに出たことがあったかしら?」。レアの親友ターニャはさらに続ける。「犬より人間のほうが危険よ」。その彼女の言葉さながら、映画もまた深夜の路上に“犬に噛まれた”弁護士の血まみれの身体を突然、露わにした後、幾つもの証拠の周辺で真実は闇の中に葬り去られる。 ...続きを見る

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2017/06/27 20:26
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2017」 『いつまでも一緒に』
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2017」 『いつまでも一緒に』 娘がトイレに投げ捨てるのは、ジャンクフードだけではない。誰にもぶちまけることのできない両親への不満だ。そんなトイレが詰まり、部屋が汚物まみれの醜態をさらすまでに、そう時間はかからない。 ...続きを見る

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2017/06/05 19:27
REVIEW 「第29回東京国際映画祭」コンペティション 『シェッド・スキン・パパ』
REVIEW 「第29回東京国際映画祭」コンペティション 『シェッド・スキン・パパ』 父が懸命に生きたからこそ、今の自分が存在する。 それなのに、最愛の妻に先立たれ、 アルツハイマーとなった老父ヤッホンに 息子リッハンは呆れ顔で呟く。 「目の前の男のようには生きたくない」。 とはいえ、この父にしてこの子あり、だ。 男やもめとなり“恍惚の人”となった父と、 借金まみれで離婚危機に直面した息子。 そんな父は激動の時代を生き抜いた。 「“ごめん”と言うときは責任を取るとき」と断言する父と、 窮地に陥っては“逃げて、自殺する”リッハンとは、 人生に対する腹の括り... ...続きを見る

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2017/02/11 18:51
REVIEW 「第29回東京国際映画祭」コンペティション 『7分間』
REVIEW 「第29回東京国際映画祭」コンペティション 『7分間』 “尊厳”だけでメシは食えない。 しかし、労働者1人にとっては 「たかが7分」の休憩時間の短縮でさえも、 会社側にとっては「月900時間のタダ働き」となれば、 それはまさに搾取だ。 40年前には1時間あったという休憩時間は、 大企業の“上から目線”の短縮によって、 感謝とともに労働者たちに徐々に受け入れられ続けたのだ。 解雇よりはマシだと。 ...続きを見る

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2017/01/07 16:45
REVIEW 「第29回東京国際映画祭」アジアの未来 『ブルカの中の口紅』
REVIEW 「第29回東京国際映画祭」アジアの未来 『ブルカの中の口紅』 監督のアランクリター・シュリーワースタウは、 ロマンス小説のヒロイン「ロジ」を、 インド社会で自由を求める女たちの欲望の象徴として 物語の核に据える。 女は“夢見る”ことは許されても、 それを実行に移すと“ふしだら”と断罪される。 それはボパールという町が 保守的な地方都市だからというわけでなく、 今もインド社会に深く根差す悪しき因習だ。 ...続きを見る

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2017/01/06 20:29
REVIEW 「SSFF & ASIA 大阪」 「フランス映画祭2016〜短編作品集」Part.2
REVIEW 「SSFF & ASIA 大阪」 「フランス映画祭2016〜短編作品集」Part.2 『スピーディー』 浮気の発覚に身の危険を察知したとき、 人は超人的な能力を発揮するらしい。 男の場合、不倫直後のホテルの窓から、 疾走して10分ほど離れた自宅の窓に置かれた 妻の赤い電話帳をズームで見つけるのだ。 その劇画タッチが、この映画のコメディのトーンを引っ張る。 ホテルの一室での妻からの電話に、 愛犬の鳴き声をアリバイ作りのため、 あらかじめ用意している彼の浮気は、一度や二度ではないのだろう。 妻が自宅に電話を掛けると宣言した10分間の猶予に、 自宅へとひた走る... ...続きを見る

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2016/10/19 03:17
REVIEW 「SSFF & ASIA 大阪」 「フランス映画祭2016〜短編作品集」Part.1
REVIEW 「SSFF & ASIA 大阪」 「フランス映画祭2016〜短編作品集」Part.1 『映画館の女たち』(写真) 失恋した親友シルヴィーを慰めるために 映画に誘い出す。 そんな女性ふたりの浮世離れした友情関係が、 彼女たちの夢見がちな心を観る者に印象付ける。 シルヴィーは男関係が長続きせず、 ジョセフィーヌも息子程、 年下の恋人と別れたばかりだ。 そんなジョセフィーヌがオフリュスの 『忘れじの面影』を選んだ理由が、 失恋したばかりの親友には“非現実的な恋物語”が相応しいという思い込みも、 いかにも彼女らしい。 だから、シルヴィーが映画に感激して号泣した... ...続きを見る

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2016/10/18 23:01
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2016」 『ロストックの長い夜』
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2016」 『ロストックの長い夜』 早朝、前夜の騒乱の瓦礫の中から空き瓶をカートに詰め込む子供たちは、まるで大人たちの暴挙の後始末をしているかのように映るが、果たして彼らは将来の希望となるのか。監督のブルハン・クルバニは、92年にロストックで起きた人種差別事件を見つめつつ、そこに現在にも蔓延る移民排斥の不寛容の根の深さを炙りだす。 ...続きを見る

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2016/07/14 22:14
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2016」 『壁』
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2016」 『壁』 「時は止まり、私だけが動いている」。そう嘆く女が今、囚われているのは、 過去と現在を彷徨う彼女自身の思索の壁だ。 ...続きを見る

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2016/07/10 02:57
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『フル・コンタクト』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『フル・コンタクト』 ドローン技師として空爆の遠隔操作をしていた男が、 格闘技による“フィジカルコンタクト”を通して、「生まれ変わる」。 世俗から隔絶したネヴァダ州の基地から中東の実戦地は、 あまりにも遥か彼方、ひりひりするような戦争のスリルとは無縁だ。 しかし、その現実感覚の喪失がアイヴァンの感性を麻痺させる。 バイクを駆使して繁華街に向かう彼は、 ストリッパーのシンディにこう告白する。 「俺はインポテンツだ」。 それは、取りも直さず彼自身の“不感症”に陥った心であり、 親密なデートを重ねなが... ...続きを見る

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2016/05/05 23:08
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『スナップ』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『スナップ』 「最近は誰もが物語の主人公になりたがる」。 SNSはまさにそんな時代を体現する。 のべつまくなしにスナップ写真をネットにあげ、「いいね」を貰う。 恋人のスイーツを撮影して、 にもかかわらず「太るから」とそれを口にすることにしないプーもまた、 そんな“理想のヒロイン”を夢見る現代的な若者のひとりだ。 ...続きを見る

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2016/05/01 22:28
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」ワールド・フォーカス 『少年班』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」ワールド・フォーカス 『少年班』 “天才”とは、往々にして社会規範から逸脱した 唯一無二の強烈な個性を有するからこそ、そう認められるのだ。 とはいえ、かつて中国全土でそういったエリート少年たちの選抜が 実際に実施されていたとは驚きを禁じ得ないが、 監督のシャオ・ヤンはそれを少年漫画さながらの 情熱たぎらせたひたむきさで描写し、 その粗削りなパワフルさが、 天才たちが一堂に会した常軌を逸したキャンパスの青春物語を、 愛すべきキャラクターが粒立つ群像劇へ昇華させる。 ...続きを見る

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2016/04/04 23:55
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」ワールド・フォーカス 『パティーとの二十一夜』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」ワールド・フォーカス 『パティーとの二十一夜』 世間から隔絶されたようなピレネー山脈の山あいに暮らす、 愛すべき“土着民たち”の何とおおらかで野放図なことか。 それはラリユー兄弟ワールドといいたい無邪気な狂騒だが、 都会育ちのキャロリーヌにとっては畏怖でしかない。 ...続きを見る

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2016/03/02 22:31
200w REVIEW '15 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『ガールズ・ハウス』
「サミラが死んだ」。 たとえそれが真実でも、 一方的に携帯電話を切る理由にはならないだろう。 彼女たちには、往々にして事実確認の前に 自身の“妄想”で周囲を顧みず突っ走る軽率さがある。 サミラの父は婚約者マンスールに 「お前のせいで娘は死んだ」と暴言を吐くが、 遺族たちには突然の死に取り乱した素振りは見えず、 死因も「路上で倒れた」「転落死だ」と煮え切らない。 妹が、遺言のようにサミラの携帯電話からメールを送ったり、 姉の友人たちに「最近、おかしな電話が掛かってくるのよ」と告... ...続きを見る

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2016/02/01 01:01
200w REVIEW '15 「第28回東京国際映画祭」アジアの未来 『俺の心臓を撃て』
院長の甥の愚劣な虐待は、 時代錯誤な精神病院の凄惨を強調し、ただあざとい。 なぜチェ看護士は、 スミョンが「世間や自分から“逃げる”病気」と認識しながら 電気治療を施そうとするのか、 スンミンと家族との面会になぜ無関係なスミョンを同室させるのか、 相次ぐご都合主義に意気粗漏する。 スンミンの芝居がかった自己韜晦もくどく、 低下する視力でボートやミニバンの運転とは現実味に欠ける。 理不尽な世界で暴力は何の解決にもならないと、 スンミンが“正常”なら悟ってもよさそうだが、 「一... ...続きを見る

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2016/01/30 21:22
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」ワールド・フォーカス 『土と影』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」ワールド・フォーカス 『土と影』 背の高いさとうきびの草叢を縫うような1本道にトラックが走り抜けると、 そこには一面の土煙が立ちのぼり、視界はたちまち塞がれる。 その殺風景な道の先に佇む一軒家に辿り着いたアルフォンソを 玄関口で出迎えたのは、孫のマヌエルだ。 ...続きを見る

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2016/01/27 23:11
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『ニーゼ』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『ニーゼ』 “無意識”の飛翔は、誰にも予測がつかない。 健常者とは異なり、精神的に常軌を逸した人たちだからこそ、 自らその苦悩の深淵を覗き込んだとき、 むしろそれを芸術という空に より自由に羽ばたかせることができるのかもしれない。 ...続きを見る

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2016/01/25 22:29
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『スリー・オブ・アス』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『スリー・オブ・アス』 政治犯として収容された刑務所で、 “国王のお菓子”を食べるのを拒絶して独房で拷問を受けた イバットはまさに抵抗に生きた筋金入りの反骨の人であり、 ゆえに人々の団結こそが揺るがしがたい巨大権力に抗する 何より大きな武器であることを、身を以って痛感しているはずだ。 ...続きを見る

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2016/01/14 17:23
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」アジアの未来 『告別』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」アジアの未来 『告別』 父が末期ガンに侵されているというのに、 一家は誰もがあらぬ方向を向いている。 一緒に食卓を囲んでも、 携帯電話に目が釘付けでは、視線は噛みあわないままだ。 彼らの行き違う心模様は、その会話からもありありと察せられる。 ...続きを見る

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2016/01/10 20:49
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『モンスター・ウィズ・サウザン・ヘッズ』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『モンスター・ウィズ・サウザン・ヘッズ』 怒りに駆られたソニアは、衝動的に“罪”を重ね、 抜き差しならない状況に自らを追い込んでいくが、 その端緒はちょっとしたはずみにすぎない。 ちょうど、メキシコ版『人生スイッチ』の一挿話と言いたいような 怒りの連鎖に底流するのは、暴力だけではない 彼女と息子ダリオとの、ラテンらしい母子の濃密な関係性だ。 ...続きを見る

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2016/01/03 23:16
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」CROSSCUT ASIA 『罠〜被災地に生きる』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」CROSSCUT ASIA 『罠〜被災地に生きる』 「皆、生きているのには理由があるの」。 人はどれ程の苦難に立ち向かえば、 神の恩寵を得ることができるのだろう。 ...続きを見る

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2015/12/30 21:39
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『神様の思し召し』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『神様の思し召し』 「奇跡はない、技術があるだけだ」。 大手術の成功に平然とそう言い放つトンマーゾは 傲慢な完璧主義者だが、偏見に満ちた差別主義者ではない。 息子アンドレアがゲイだと鼻っから疑ったときは、 「月並みだが、大切なのは愛だ」と言い含めるように 家族を説得するとおり、 人の良い愛すべき父親の一面も持ち併せている。 ただ厄介なのは、その完璧主義ゆえに “自分に厳しく、他人にも厳しい”ことだ。 自分の主義から外れた人間に対して無関心どころか、 見下しているところがあるトンマーゾは、 ... ...続きを見る

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2015/12/25 22:58
200w REVIEW '15 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『FOUJITA』
モンパルナスにひちりきが鳴り響き、 金髪で腰高な花魁道中の“フジタナイト”は、 時代の仇花のような倒錯美だが、 その時代、「絵を売るため名前を売る」と 東洋人画家として一世を風靡した彼の、それは処世術だ。 巴里時代、ベッドに眠るユキの白い肌が 闇の中からほんのり浮かぶのに対して、 太平洋戦争最中の日本では水墨のような黒味が銀幕に沁みる。 「アッツ島玉砕」の絵に一婦人が泣き崩れる。 「絵には人を感動させる力がある」。 そんな彼の「俺は20年間、磔のキリストを見てきたのだ」との ... ...続きを見る

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2015/12/18 01:55
200w REVIEW '15 「第28回東京国際映画祭」日本映画スプラッシュ 『ケンとカズ』
父になろうとする男と、母の呪縛から逃れられない男。 ボスが揶揄するように、カズはケンを“愛していた”のだろう。 だからケンと早紀の新生活に嫉妬し、 真面目にと務める彼を挑発する。 幼児虐待のトラウマに苦しむカズは愛し方を知らないが、 その咎で母を罵倒し続けても何の解決にもならない。 「まともな父になれるはずない」「乳離れできないマザコン」。 現実を誤魔化すようなカズの自暴自棄は、 あたかもケンだけを閉塞的な現状から抜け出させないように 暴力の渦中に陥れるが、 男のちっぽけな虚... ...続きを見る

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2015/12/12 04:36
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『残穢−住んではいけない部屋−』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『残穢−住んではいけない部屋−』 「霊の噂が繋がったら、ヤバい話になる」。 中村監督は、『白ゆき姫殺人事件』でもそうしたように、 一通の読者投稿から始まる“体験話”に幾人もの証言を積み重ね、 遥々「話しても聞いても祟られる」“ヤバい話”、 奥山怪談を手繰り寄せるその語り口は、極上のミステリーさながら、 隔世の時を意外性に満ちたミッシングリングで スリリングに結びつけるが、 結局のところ、霊に“呼ばれて”自死に至る者がいる一方で、 それを“感知”することなく日常生活を過ごせる人との差異は 何なのだろう。 ... ...続きを見る

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2015/12/10 02:13
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」CROSSCUT ASIA #02 『インビジブル』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」CROSSCUT ASIA #02 『インビジブル』 仏映画『サンバ』でサンバは叔父に 「不法移民は目立つな」との処世術を叩き込まれる。 しかし、それはフランスに限らず日本においても然りだ。 在留許可証を持たない外国人は、誰もが“存在”を消して、 世の片隅で息を殺すように生きている。 ...続きを見る

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2015/12/07 23:30
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」アジアの未来 『少年バビロン』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」アジアの未来 『少年バビロン』 空を見上げれば 工場からの排煙ばかりが目につく地方都市で、 シャオルーの「どうせ見習い工だ」という 将来への閉塞感は致し方ないとしても、 その彼の“最も腐っていた青春時代”の 虚無的な自暴自棄が、 そんな社会体制を笑い飛ばすだけの 狂気的な凄みに繋がらないのが歯がゆい。 官僚主義と人員過剰による職務怠慢は、 近年の中国工場火災の理由を想起させるせいか 素直に笑えず、 工場爆発で空を飛ぶ牛魔王のコミック的描写に唖然。 塩素ガス爆発の風上にあえて立つバイランは 映画的に... ...続きを見る

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2015/12/06 10:52
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『ボーン・トゥ・ビー・ブルー』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『ボーン・トゥ・ビー・ブルー』 チェット・ベイカーが本人役を演じる劇中映画で、 「エレイン役が理解できない」と語っていたジェーンが、 まんまとチェットのパートナーに収まってしまう運命の悪戯。 “I’ve Never Been in Love Before”で口説き、 何事にもせっかちな性格で、ボーリングもプロはだしな彼には、 たとえ破滅の危機と背中合わせの危険を察しながらも、 女性を虜にする理屈では割り切れない魅力があるのだろう。 「最大の敵は自分ね」とチェットに言い放ったジェーンもまた、 彼女の目の前で借... ...続きを見る

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2015/11/20 22:29
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」日本映画スプラッシュ 『七日』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」日本映画スプラッシュ 『七日』 彼方に一本の大木が屹立する道をただ歩き続ける男の後ろ姿を、 モノクロームの映像はひたすら追う。 堆肥を運搬し、牛に餌を与え、 郵便箱から新聞を取り出した手で食事を作り、 ゴミ捨て場への長い道のりを辿る 彼の規則正しい日々の営みからにじむ原初的な人間の生命力。 そんな銀幕の平穏が、ノイズのような音楽と、 高らかな女性の民話調の歌声で突如として破られるように、 それは決して退屈な反復ではないと、渡辺監督は示唆する。 平山青年は孤独だ。 食事から洗濯に至るまで 家事の一切を彼... ...続きを見る

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2015/11/14 22:25
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『地雷と少年兵』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『地雷と少年兵』 第二次世界大戦中、デンマーク人にとっても ナチスが忌むべき存在だったことに疑問の余地はない。 帰国の行進を続けるドイツ兵に 無慈悲に殴りかかるカール軍曹のそれは過剰反応にも映るが、 終戦直後だけにその行き場のない怒りの噴出だとしたら、 理解できなくもない。 空腹にあえぐドイツの少年兵が身を寄せる宿舎の傍で暮らす 農家の主婦は、彼らを一瞥してこう吐き捨てる。 「いい気味だわ」 ...続きを見る

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2015/11/12 23:23
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『家族の映画』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『家族の映画』 「退屈を避けようとして、ますます退屈になる」。 大人不在の高級マンションの一室で “Truth or Dare”に興じる思春期の姉弟たちは、 『恐るべき子供たち』を想起させる思春期の無軌道を孕みながら、 オメルズ監督の語り口は クリスマスシーズンにヨット旅行するセレブ夫妻が 全裸で日光浴する優雅な休暇を スプリットスクリーンで映し出した直後、 嵐の夜に行方不明となるサスペンスに、 エリクの難病発覚によって血縁をめぐる家族の疑念へと 小気味良く二転三転させる。 義弟と適合... ...続きを見る

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2015/11/11 23:41
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」アジアの未来 『レイジー・ヘイジー・クレイジー』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」アジアの未来 『レイジー・ヘイジー・クレイジー』 一見、清純そうな少女が何の躊躇いなく身体を売る。 その外見と行動のアンバランスが、 香港郊外の新興住宅地に生きる若者たちの孤独の闇なのだろう。 ...続きを見る

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2015/11/07 23:35
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『ルクリ』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」コンペティション 『ルクリ』 「じきすべてが無くなる」。 エヴァが断言する、そんな世紀末的な厭世観が、 閉塞感に身動きできない人々を精神的に追いつめてゆく。 食料は足りなくなり、電力が失われ、街が消える。 恐ろしいのは、戦闘機や爆音ではなく、 「どこかで大勢が死んでいる」実体の稀薄さだ。 空に広がる黒雲は、 やがてこの村にも避けられない不穏な空気を運ぶかもしれない、 その恐怖の掴みどころのなさ。 犬と日向ぼっこする自給自足の穏やかな日常を踏みにじる 紛争の気配の前には、作家のヤンも画家のマリアも、 ... ...続きを見る

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2015/11/05 23:27
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」CROSSCUT ASIA #02 『サービス』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」CROSSCUT ASIA #02 『サービス』 “FAMILY(家族座)”の混沌もここに極まれりだ。 老朽化していても清潔感を保った映画館は世にあまた存在するが、 古いうえに清掃も行き届かず、 トイレが詰まって水浸しの映画館ともなると、 思わず眉をしかめてしまう。 しかも構造が複雑で、万が一、火事ということにもなると 多大な被害は免れない。 なんといっても、可燃性のフィルムを扱っている映画館だ。 ...続きを見る

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2015/11/01 22:01
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」ワールド・フォーカス 『百日草』
REVIEW 「第28回東京国際映画祭」ワールド・フォーカス 『百日草』 ミンは日にち刻みの法要を、 「死を受け入れる準備段階」とユーウェイに語る。 そのとき、彼らはお互いが 交通事故の被害者と犠牲者だとは知る由もない。 ただ、同じ日に肉親を亡くしたから、 初七日も、四十九日も、同じ日に寺の法要で顔を合わせる、 単なる“顔見知り”程度の認識だ。 ...続きを見る

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2015/10/20 02:49
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」コンペティション 『ザ・レッスン/授業の代償』
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」コンペティション 『ザ・レッスン/授業の代償』 ナデジガに財布を取ったと疑われた生徒たちの彼女に対する眼差しは、 敵対的と言っていい程、醒めきっている。 そこに恩師への敬愛や信頼関係を感じ取ることはできない。 彼女はこれまでも生徒たちの心を踏みにじるかのごとく、 こうして彼らを一刀両断してきたのだろう。 彼女の容赦ない追及の刃は、 当事者である被害者の女生徒さえも気遅れさせる程だ。 「もう一度、チャンスをあげる」と、生徒たちが悔い改めることを期待して、 ナデジガが吊り下げた袋の中には、 盗まれた財布ならぬ吸殻が投げ入れら... ...続きを見る

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2015/08/31 22:43
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」コンペティション 『ナバット』
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」コンペティション 『ナバット』 老女は、ひたすら歩き続ける。 先行きの見えない未来を、それでも前を向いて。 ...続きを見る

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2015/08/16 22:42
200w REVIEW '14 「第27回東京国際映画祭」コンペティション『神様なんかくそくらえ』
NYの路上で、日々を物乞いとドラッグで浪費し、 あえて破滅的な道を邁進する自傷的な若者たちには 安直な共感など無用というように、 映画はぶっきらぼうなまでに刹那的だ。 「愛しているなら死ね」と足蹴にするイリヤに縋り付きつつ、 男たちを渡り歩くハーリーの、 「翌朝、貰えるなら今、欲しい」とドラックを強要する“屁理屈”には 唖然を通り越し、失笑だ。 風景の中で俳優をありのまま撮影することで シネマヴェリテな臨場感が満ち、 窃盗にも事欠かない飽食の国で、 ドラックに溺れても死ぬこ... ...続きを見る

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2015/08/10 21:41
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」ワールド・フォーカス 『リアリティ』
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」ワールド・フォーカス 『リアリティ』 あの青いビデオテープに何が映っているのか。 少女リアリティのみならず、観客の好奇心もこの1点をめぐって、 映画の世界観に引きずられてゆく。 しかし、カンタン・デュピュー監督はどこまでもその真相をはぐらかし、 大いなる逸脱に戯れ、 ジャゾンと映画プロデューサーとの禅問答のようなやり取りで、 観る者をのらりくらりと煙に巻く。 テレビが電磁波で人間を攻撃するという、 80年代のシュールなホラー映画をパロディにしつつ、 英語とフランス語が混在するカリフォルニアという舞台自体が、 ... ...続きを見る

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2015/07/13 05:33
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」アジアの未来 『ノヴァ〜UFOを探して〜』
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」アジアの未来 『ノヴァ〜UFOを探して〜』 この世で“自分らしく生きる”ことは、どれほどの至難の技だろう。 バークが追う“UFO”とは、彼が“自分らしく生きる”志を象徴する。 監督のニック・アミール・ムスタファは、 バークが監督する自主映画のバカ騒ぎに満ちた珍道中に、 そんな易々とは許されない自由奔放さを、 少年さながらの茶目っ気あふれる笑いで包み込むと同時に、 酸いも甘いも噛分けた大人の苦い挫折を感傷的に落とすことなく、 愛すべき友情物語としてノスタルジックな共感を銀幕に注ぎ込んだ。 ...続きを見る

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2015/06/28 00:28
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2015」 『海へ行こう!』
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2015」 『海へ行こう!』 トムは「キャメラだから真実が判った」と父に迫るが、 それがもたらす結果は、たとえ真実が明らかになったところで、 彼にとっても両親にとっても、必ずしも心晴れやかでいられない。 映像が突きつける事実は、相手の抗弁を許さない容赦のなさを伴う。 両親がトムに語らずにいた、 その真実をめぐる彼らの優しさを台無しにし、 事を性急に運ばせる暴挙となることもあるのだ。 ...続きを見る

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2015/06/20 23:09
200w REVIEW '14 「第27回東京国際映画祭」コンペティション 『1001グラム』
路地裏のいびつな喫煙コーナーで、 厳めしい社交辞令を交わす老人がマリエの実父だとは。 ハーメルは空撮で捉えた北欧の原風景や 青い電気自動車といった独特のミニマムな様式美で、 測量さながらの厳格さを遵守するマリエの単 調で孤独な日常生活を淡々と炙り出す。 「父が恋しいわ。人生の基準が崩れてゆくよう」。 父のベッドのくぼみに頬を寄せるマリエは、 師でもあった彼の後継者となることで、 同僚も居眠りする無味乾燥な自身の世界を“測量”し直す。 自然の営みに身を任せるパイとふれあうにつれ... ...続きを見る

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2015/06/07 01:40
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2015」 『メイド・イン・ハンガリー』
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2015」 『メイド・イン・ハンガリー』 冷戦時代、アメリカから帰国したハンガリー人は、 それだけで祖国の異端者と見なされても致し方なかっただろう。 体制派からは扇動者と敵視され、 反体制派には“アカのスパイ”がばれて アメリカを追われたに違いないと、根拠のない誹謗中傷に晒される。 ...続きを見る

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2015/06/06 02:37
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2015」 『ハンガリー大使人質事件』
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2015」 『ハンガリー大使人質事件』 1958年8月10日、スイスの首都ベルンの 閑静な住宅街に居を構えるハンガリー大使館を、 多くのハンガリーからの移民が取り巻き、 「カーダールを倒せ」とシュピレヒコールが巻き起こる。 その中には、ハンガリー動乱の際に、 スイスに密入国した人も多かったはずだ。 ...続きを見る

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2015/06/05 12:58
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」コンペティション 『ロス・ホンゴス』
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」コンペティション 『ロス・ホンゴス』 監督のオスカル・ルイス・ナビアは、 肌の色も生活環境も対照的なRASとカルビンを通して、 スケートボードやパンクロック、グラフィックアートといった コロンビアのポップカルチャーの現在を俯瞰して見せる。 日常生活をドキュメンタリーのように映し出すことで、 その中から彼らの青春劇を抽出しているようだ。 ...続きを見る

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2015/05/27 22:00
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」ワールド・フォーカス 『ハングリー・ハーツ』
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」ワールド・フォーカス 『ハングリー・ハーツ』 結婚披露パーティの夜、 ニューヨークの路上で馬を射殺するカウボーイの悪夢を見たミナの、 それはやがて狂気に満ちた正夢となる。 ...続きを見る

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2015/04/11 21:19
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」CROSSCUT ASIA #01 『コンクリートの雲』
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」CROSSCUT ASIA #01  『コンクリートの雲』 アジア通貨危機に見舞われた後のバンコクの繁華街には、 建設途中のまま放置された高層ビルが 至るところに乱立していた。 激しいスコールが降り注いだ後、濁った雨水が溜まり、 それが廃墟さながらのわびしさを強調していた光景は 今も私の記憶に生々しく刻み込まれているが、 兄弟の暮らす団地の屋上に据え置かれた 貯水タンクから漏れ落ちる水滴が、 そんな時代の閉塞感をありありと私の脳裏に甦らせる。 ...続きを見る

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2015/03/27 23:08
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」コンペティション 『メルボルン』
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」コンペティション 『メルボルン』 赤ん坊は未来を担う存在だ。 ならば、その死は将来の希望を失うことを意味しないだろうか。 「どうしてこうなった」。アミルは嘆く。 息もしない赤ん坊を前に、渡豪直前の浮わついた彼の昂揚感は、 たちまち萎える。 「お前が引き受けたのが悪い」「なぜ嘘をついたの?」 。 気が動転するあまりなのか、若夫婦はその罪をなすりつけあうが、 そうこうしているうちにも時は無為にすぎてゆくばかりだ。 ...続きを見る

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2015/03/19 03:04
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」コンペティション 『マルセイユ・コネクション』
ピエールが私生活を投げうってまで職務に忠実だったのは、 子供たちの未来の社会のためだ。 異動前、児童担当だった彼には、 麻薬から足を洗うことができずに、 絶命した多くの子供たちがいた。 短い生涯を麻薬コネクションに絡め取られた、 そんな彼らの死と親の嘆きに報いるためには、 その供給源を断つことが最重要だと。 ...続きを見る

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2015/03/13 23:14
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」コンペティション 『遥かなる家』 Part.2
(つづき) いくら旅を続けども、 兄弟の眼前には どこまでも砂の海となった大地が広がる。 かつて町の記憶を留めた回廊は 今やもぬけの殻となり、 かろうじて生活の実態を留めた そこかしこに砂は容赦なく浸食している。 アディカーは驚く。 「1年前に通ったときには、人が住んでいたのに」。 草原の砂漠化は、 私たちの想像以上に急速に進んでいるのだ。 ...続きを見る

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2015/02/24 00:38
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」コンペティション 『遥かなる家』
内モンゴルの乾いた大地に、 少年たちの凛とした気概が晴れやかに映える。 対照的な今を生きる幼き兄弟は、 放牧民のルーツと近代化の波に板挟みになった “ユグル族”の現在そのものだ。 草原は砂漠化の一途を辿り、 草原を探して放牧する彼らの暮らしも先細りで、 そこに希望を見い出すのは困難だ。 それでも彼らは、ここで生き抜くべく自分たちの未来に 大らかな覚悟を決める。 ...続きを見る

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2015/02/23 23:40
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」ワールド・フォーカス 『アトリエの春』
ヴェトナム戦争直後の60年代末は、 韓国社会でも女性が独りで生きるには困難な時代だったのだろう。 食事の配給には2度並んでシラを切る 母のふてぶてしさを隠そうともしないミンギョンも、 家に帰れば、博打とギャンブルに明け暮れる 夫からの暴力にひたすら耐える日々だ。 そんな母の惨状を、 涙を堪えて目を逸らすことしかできない幼い娘たちが哀れだ。 夫から妻への家庭内暴力は、 子供たちにとっても悲劇以外の何ものでもない。 しかし、ミンギョンには逃げ場がないのだ。 彼女は彫刻... ...続きを見る

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2015/02/19 22:21
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」アジアの未来 『マンガ肉と僕』
ワタベは3人の女たちと深く関わりあい、 やがて“男らしく”変貌する。 しかし、その“男らしさ”は あくまでも男社会での価値観だ。 ...続きを見る

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2015/02/16 23:50
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」コンペティション 『来るべき日々』
「キャメラは厄災を引き起こす」。 まるでメキシコ時代のブニュエル作品さながらのシュールな台詞だが、 いにしえの懐かしさの残るパリの路地裏で、 ロマンの歩いたすく直後にピアノが落下するのを、 彼はキートンさながらの無表情でやり過ごす。 そんなドタバタ喜劇にノンシャランと潜り込む無頓着な軽やかさは、 むしろタチ的と言うべきかもしれない。 ...続きを見る

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2015/02/14 23:33
REVIEW 「ポーランド映画祭2014」 『真夜中のふたり』
「こんな出逢い、諦めていた」。 クバはミハウの耳にこう囁き、貪るように彼の身体を求める。 対するミハウも、友人に「理想の男と出逢った」と告白していた。 それまで抑制していた欲望を一気に吐き出すかのような、 そんなふたりの男たちの裏町での肉体のぶつかり合いは荒々しく、 それゆえに男たちの激しい性の衝動が生々しく露わになる。 ...続きを見る

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2015/01/14 18:43
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」コンペティション 『紙の月』
ガラス窓ひとつ隔てた向こう側は、未知なる別世界だ。 梨花はその窓を破り越えた。 常識人の隅には、たとえ強く誘われようとも 決して踏み越えることのできない、それは無謀な冒険だ。 たしかに、梨花の横領は疑いようのない犯罪だが、 息がつけない閉塞感に包まれた現実に風穴を開けるのは、 そんな後先を考えない衝動であり、 それは隅ならずとも誰もが心に秘めた欲望だろう。 私たちと梨花との違いは、それを実行に移すか移さないかだ。 しかし、その厳然と引かれた境界線にこそ、 梨花のピカレスク... ...続きを見る

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2015/01/03 22:30
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」アジアの未来 『北北東』
冴え冴えとした晩秋の深夜の森での一大捜査線の最中、 綿帽子のような風花が幻想的に降り注ぐ映像美に目を見張らされる。 そのミステリアスな非現実感は、 この事件の迷宮入りを詩的に暗示するかのようだ。 ...続きを見る

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2014/12/26 16:43
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」アジアの未来 『メイド・イン・チャイナ』
居酒屋で女店員に絡む酔客を「腐ってる」と押し留めた検察官は、 友人のはずの彼に殴られ、こう罵倒される。 「韓国はどこも腐ってる」。 それはチャン室長も同じことだ。 廃棄品のはずの汚染されたウナギを密売する男たちが、 中国人のチャンを蔑む態度に耐えかねて、 「資本主義の奴隷、金の亡者」と罵詈雑言を投げかけても、 彼女自身、彼らから賄賂を受け取っているのだから同じ穴の貉だ。 ...続きを見る

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2014/12/20 22:04
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」ワールド・フォーカス 『共犯』
ホアンは孤独だ。 傷つき、ささくれ立った指の爪に巻かれた絆創膏は、 彼のついた嘘の数そのものだ。 「嘘も信じれば真実になる」。 そううそぶくホアンの“発言”には、掴みどころがない。 投身自殺の現場で、血まみれになった女子高生シアに 目が離せない彼は、死に魅了されているかのようだ。 ...続きを見る

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2014/12/16 19:18
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」アジアの未来 『遺されたフィルム』
出来事には、当事者の数だけ真実がある。 ソポンが“不良”のヴィエスナと付きあっているのは、 何も軍人の父に対する反撥だけではない。 「何を望んでいるのか判らないけど、何を望んでいないかは判る」。 それは、未だに「女は脱脂綿」と男尊女卑の考えが蔓延る社会で 息ができない、ひとりの若い女性の普遍的な自由への渇望だ。 ...続きを見る

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2014/11/18 12:17
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」ワールド・フォーカス 『黄金時代』
蕭紅は振り返る。 「20歳から根無し草だった。幸せではなかった」と。 まるで彼女は、幸福を探して激動の中国大陸を “根無し草”のごとく放浪し続けたかのようだ。 子供の頃、樹の枝から燕の卵を取ろうとして、 巣ごと地面に落として台無しにしてしまうように、 彼女の幸福は掴みかけたと思った途端、 いつも掌からこぼれ落ちてしまうのだ。 初恋でさえも不倫の逃避行の果てに、 家族そろって追われるように故郷からの出奔を余儀なくされる。 ...続きを見る

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2014/11/09 16:45
REVIEW 「第27回東京国際映画祭」CROSSCUT ASIA #01 魅惑のタイ 『稲の歌』
農業とは、取りも直さず神との営みの成果だ。 そのことを誰よりも農民たちは熟知しているからこそ、 あれほど全身全霊で祭を寿ぐのだ。 それは、「シャワーも浴びるのも忘れ」て水田と格闘した彼らの 1年に及ぶ苦役からの束の間、解き放たれた歓びでもある。 田植えシーズンの始まりには、飾り立てられた水牛が村を練り歩き、 夏には男たちが水田を走る水牛レースで妍を競う。 スタート前の緊張感たっぷりのスローモーションから レースの火ぶたを切られると同時に、 一気呵成のスピード感は迫力満... ...続きを見る

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2014/11/02 22:18
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2014」 『ロッカー』
「俺を轢くつもりか?救急車も来ないのに!」。 あやうく接触しかけた車の運転手にヴィクトルは叫ぶ。 それは社会から見捨てられた男の悲痛な怒りだ。 けれど、彼はそれをぶつける相手を間違っている。 これでは単なる八つ当たりだ。 もとよりこれに関しては、激情に駆られて 無防備に車道に飛び出したヴィクトルにも落ち度はある。 ...続きを見る

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2014/06/23 20:52
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2014」 『塀の中のジュリアス・シーザー』
囚人たちを映し撮るモノクロームの映像はコントラストが際立ち、 その光と影の陰影が彼らの表情に深い色あいを落とすと同時に、 これまでの彼らの人生経験の重みを劇的に銀幕に刻み込む。 重罪刑務所に収容された囚人たちは 当然のことながら誰もが刑期は長期に及び、 オーディションに参加する者は、 総じて20年から終身刑の受刑者がほとんどだ。 稽古中、「時間を無駄にするな」と囚人たちに発破をかける演出家に、 「20年も刑務所にいる俺に、時間を無駄にするなとは」とは 自嘲たっぷりだが、切実... ...続きを見る

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2014/06/21 21:37
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2014」 『ホット・ホット・ホット』
人は誰でも、何かしら他人とはどこかが違う“変人”だ。 最大公約数の“普通の人”など存在しない。 対人恐怖症のように振る舞うファーディナンドの 自信のないおずおずとした態度に苛々させられるのは、 そこに自意識過剰が見え隠れするからだ。 「お魚ランド」の休館に際して、小魚の水槽を覗き込む彼は、 まるで彼自身が水槽の中で息を潜めて周囲を窺っている小魚だ。 ファーディナンドがその自意識過剰を脱ぎ去るには、 その安全な水槽の中から飛び出さなくてはならない。 ...続きを見る

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2014/06/19 01:38
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2014」 『ブランカニエベス』 Part.2
(つづき) 人気沸騰のブランカニエベスは、 「私は闘牛士の血を引いた」と雑誌の表情を飾るが、 実はそれが、エンカルナが表紙を条件に取材を受けた 同じ雑誌というのが観る者の胸をすく。 ブランカニエベスが表紙で凛々しく微笑む一方、 自分の記事は雑誌の後ろのほうに、 しかも顔さえ写っていない背中からのショットが 掲載されているのを目の当たりにして、 一度は厄介払いしたはずのカルメンシータへの殺意が、 エンカルナの胸中で再び芽吹く。 ...続きを見る

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2014/06/18 00:13
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2014」 『ブランカニエベス』
セビリアの人気闘牛士アントニオ・ビヤルタが 決闘前、観覧席に座る妻カルメンに投げ渡した帽子が、 観客席の鉄柵に阻まれて、彼女の手から零れ落ち、 地面に落ちた瞬間、その後の彼らの悲劇は予告される。 闘牛士をめぐるジャンル映画を、「白雪姫」を換骨奪胎して、 サイレント映画の形式で独創的に飛翔させたベルヘル監督は、 なかなか野心的で才気渙発なエンタティナーだ。 ...続きを見る

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2014/06/17 23:14
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2014」 『二番目の妻/KUMA』
監督ウムト・ダーは才気あふれるストーリーテラーぶりを発揮する。 現代のウィーンに暮らすトルコ系一家で起きる カルチャーショックや世代間格差を活写しつつ、 フェイドアウトの暗転の裡に、 物語を予想もつかない方向へと展開させ、 観る者の好奇心をとらえて離さない。 ...続きを見る

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2014/06/10 23:50
REVIEW 「EUフィルムデーズ 2014」 『バロン』
モノクロームの映像の中で、 途端に老け込んだような深い皺を その蒼白の顔に刻んだバロンは、 査察官に後継を託し、静かに息を引き取る。 映画はまるでその刹那の、一瞬の極彩色のために、 すべてのベクトルが向かっていたかのようだ。 ...続きを見る

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2014/06/07 23:58
REVIEW 「第26回東京国際映画祭」アジアの未来 『今日から明日へ』
「怖いのは人に見下されることじゃない。夢を失うことよ」 ランランの言葉は、先行きの見えない日常をあてどなく漂うちに、 目的を見失った若者たちの心の叫びだ。 日々、将来性の無い裁縫屋で働きながら、 ランランが端正に手を掛けて マネキンに着せかけてデザインしたドレスは、 いつしか時代遅れのレッテルを貼られてしまう。 ...続きを見る

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2013/10/19 03:46
REVIEW 「第25回東京国際映画祭」コンペティション 『ティモール島アタンブア39℃』
ジョアオがニキーアに重ね見るのは、 母の面影か、それとも純情な初恋か。 彼は毎朝、深夜に酔っぱらって帰宅した父の吐瀉物を 始末することが日課になっているのと同じように、 彼女のために水を汲んだタンクを運ぶ。 しかし、そこに何らかの言葉を添えることはしない。 ...続きを見る

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2012/11/07 01:46
REVIEW 「第25回東京国際映画祭」コンペティション 『メイジーの知ったこと』
子供なら誰もが親の愛を希求する。 たとえ経済的に恵まれなくても、 そこに無償の愛が存在すると実感できれば、 それだけで幼い不安に揺れる心も安定する。 スザンナはメイジーに子守唄を唄うが、 そのゆりかごが落ちるという歌詞は、 今まさに直面している彼らの家庭のことだ。 ...続きを見る

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2012/10/26 00:11
REVIEW 「第25回東京国際映画祭」アジアの風 『ゴールデン・スランバーズ』
激化する未完成に終わった『海馬、現る』を 撮影中だったティ・リム・クァンは、 意匠を尽くしたこの壮大な大作の制作秘話を告白し、こう呟く。 「映画を見たいけど、見せられる映画がない」。 その無念さこそがカンボジア映画史の欠落そのものであり、 映画ファンとしては、この作品自体の物足りなさともなる。 ...続きを見る

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2012/10/25 02:13
REVIEW 「第25回東京国際映画祭」アジアの風 『スギヤ』
ガリン・ヌグロホは、オランダの占領時代の1940年から 独立を勝ち取った1949年までのインドネシアの“変化の時”を、 印象的なインドネシアの音楽を散りばめつつ、 それぞれの人間関係を紡ぐ。 ...続きを見る

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2012/10/24 03:22
REVIEW 「第25回東京国際映画祭」コンペティション 『シージャック』
社長はまるで日本人ビジネスマンと価格交渉するように、 ソマリアの海賊たちと取り引きする。 「無関係な人間に交渉を?」。 彼はプロの交渉人を押し留めて、 その強気な態度で自らその席に臨むが、 ビジネスなら意に染まらなければ その場から立ち去ればいいだけが、 海賊相手にはそういうわけにはいかない。 船に金銭的な価値が少ないなら、 その代償となるのは船員たちの生命だからだ。 ...続きを見る

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2012/10/21 23:29
REVIEW 「フランス映画祭2011」 『消えたシモン・ヴェルネール』
郊外の森の中で一体の死体が発見されたことがきっかけに、 物語の時制は10日前に遡り、 4人の高校生の日々が平行して積み重ねられる語り口に、 ガス・ヴァン・サントの『エレファント』を想起させない者はいないだろう。 しかし、監督のファブリス・ゴベールが ソニック・ユースの人工的な音楽とともに炙り出すのは、 90年代初頭のフランス郊外のキャンパスにはびこる“不安”ではなく、 噂が噂を呼ぶ人の思惑と、先入観に絡め取られた真実の危うさだ。 ゴベール監督は、4つのエピソードを錯綜させるこ... ...続きを見る

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2011/07/05 23:37
REVIEW 「フランス映画祭2011」 『匿名レンアイ相談所』
アンジェリクがおずおずと裏道を往く、 ジャン=ルネの“家族的”なチョコレート工場の外観は、 まるで映画の書割セットそのもののおとぎの国風の可愛らしさだ。 監督のジャン=ピエール・アメリスが紡ぎ出す映像もまた、 チョコレート色や褐色を基調とした甘やかな色あいであり、 その寓話的なタッチは いい年齢をした“あがり症”の男女のファンタジーに相応しい。 ...続きを見る

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2011/06/29 00:41
REVIEW 「フランス映画祭2011」 『マムート』
バイクのスピ―ドに眼前の風景は瞬時にしてかき消されるが、 ふと彼方へと視線をやると、それは穏やかに変化していく。 定年を迎えたセルジュのこれまでの人生は、 そんな野を走るバイクからの眺めのようなものだったのかもしれない。 出発のとき、バックミラーに映る妻カトリーヌは、 いつまでも不動のまま彼を見送っている。 戻るべき場所は、彼女の待つ自宅という暗示だろう。 ...続きを見る

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2011/06/27 14:29
REVIEW 「フランス映画祭2011」 「短編映画特集」Part.2
『ピアノ調律師』(写真) 緊張のあまりピアノコンクールに失敗したピアニストが、 ピアノ調律師に転じる。 しかも、顧客のプライヴェートを覗くために、 盲目のふりをするという“実験的な試み”を 知人に自慢する青年に、そんな暇があれば 他にやることがあるだろうと呆れてしまうが、 彼が言うにはこういう訳だ。 「何かを失うと感受性が豊かになる」。 しかしその実、だらしない格好で部屋を歩いたり、 彼のピアノに合わせて 下着姿でバレエする少女の姿といった、 他人には窺い知れない光景... ...続きを見る

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2011/06/19 00:14
REVIEW 「フランス映画祭2011」 「短編映画特集」Part.1
『ロープ』 どんよりと重く沈んだ映像に、血やドレスの赤、 ジョッキの中のビールの黄色といった原色が、 写実的に観る者の眼に映る。 首から延びた触手で声にならない声を発する女は、 まるで陸に上がった人魚姫のようだ。 その理解できない彼女の悲痛な声に、 窓拭き青年セバスチャンの孤独が疼いたのだろう。 ボスを殴って、彼女を誘拐したセバスチャンは 女を自室に閉じ込めるが、 彼女は老母の介護のようには セバスチャンの愛情に応えない。 むしろ、視界に中につねに男の存在を意識し、 ... ...続きを見る

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2011/06/18 22:52
REVIEW 「フランス映画祭2011」 『6階のマリアたち』
未知の感情に目覚めるのは刺激的な体験だ。 マリアと出逢うまで、ジャン=ルイは隣国スペインで、 フランコの独裁政権による弾圧の事実さえ知らなかった。 株式投機に関しては敏腕だが、 社会情勢にはまったく疎いジャン=ルイの身体には、 彼自身も知らなかった熱い情動が眠っていたというわけだ。 ...続きを見る

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2011/06/14 23:34
REVIEW 「フランス映画祭2011」 『トムボーイ』
ロールがリザに名前を聞かれて、 反射的に「ミカエル」と答えてしまったのは、 天使の性別不詳が脳裏をよぎったからかもしれない。 5年生になったばかりの彼女には、 まだ自身の性的アイデンティティは確立されていないのだろうが、 必ずしも男性になりたいと思っているわけでもなさそうだ。 家で妹と愛情たっぷりにじゃれあっている姿は、 年相応の少女の無邪気さそのものであり、 何よりまだまだ甘えた盛りだ。 母に微笑みつつはにかんで抱きつき、 父には「親指しゃぶり」をからかわれる。 彼女... ...続きを見る

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2011/06/12 22:49
REVIEW 「フランス映画祭2011」 『美しき棘』
プリュデンスは母の死に直面した自分自身の感情を、 姉のように吐き出すことができず、裡に留めてしまっている。 その事実を受け入れるのが怖いからかもしれない。 彼女の万引きを見咎めた女性警備員の 「お母さんが見ていたら」という叱責に、 「どうせ見られないわ」というプリュデンスの開き直りに 彼女の孤独を慮ることは、その時点では難しい。 「こんな部屋に住めて邪魔をする人がいないなんて」。 マリリンにそう羨ましがられるまでもなく、 カナダからの父の国際電話をやり過ごし、 プリュダン... ...続きを見る

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2011/06/11 23:42
REVIEW 「フランス映画祭2011」 『パリ猫の生き方』
鋭角的に描かれた猫のディノが、 ジャズとシャンソンを融合させた秀逸な音楽に乗って、 小粋に大胆不敵に躍動する。 “外出先”からゾエのお土産にトカゲを咥えて帰るディノは、 怪盗のニコからはダイヤ付きのブレスレットを 平然と受け取る審美眼の持ち主でもある。 ゾエとニコの家を往復するうち、 ディノは刑事と泥棒という好対照なジャンヌとニノの それぞれの孤独を誰よりも熟知していたのかもしれない。 “それぐらいの知性はあるよ”と、吠えたてる犬を無視して、 威厳たっぷりに塀の上を通り過... ...続きを見る

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2011/06/10 22:47
REVIEW 「第23回東京国際映画祭」WORLD CINEMA 『ハンズ・アップ!』」
子供たちにとって、ミラナを守るための “攻撃”の立てこもりは、 ブルターニュでの自給自足のヴァカンスからの延長線上の 子供じみた思いつきに過ぎなかったのかもしれない。 彼らが現実を認識するには、幼すぎる。 しかし、その偏見や既成概念も囚われない純粋さが、 今の社会は何かがおかしいと彼らに直感させたのは間違いない。 不法滞在の級友たちが次々と逮捕され、 警察との追跡劇の最中、ズー夫人がアパートから飛び降り自殺した。 ミラナをそんな目に遭わせたくはない。 ブレーズは彼女にこう告... ...続きを見る

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2011/05/13 22:40
REVIEW 「第23回東京国際映画祭」アジアの風 『4枚目の似顔絵』」
オープニングで、なぜ日本の童謡 「おぼろ月夜」が聞こえるのかと訝しんだが、 やがて小翔の通う小学校の用務員の張さんが、 日本軍侵攻時の上海に住んでいた少年時代、 日本兵が唄っていた忘れられない曲だったことが判る。 空襲で両親を亡くし、独りで人生を切り拓いた張さんは、 彼が用意したご飯を泣きながら食べる小翔の頬をぶって、こう言う。 「なんで泣く。不幸ぶるな」。それは張さんの生きてきた矜持だが、 小翔がその言葉の意味を理解するにはまだ幼すぎる。 父親との二人暮らしの頃から、小翔... ...続きを見る

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2010/11/29 23:40
REVIEW 「第23回東京国際映画祭」コンペティション 『フラミンゴ No.13』」
流刑地さながらのイランの山間の村に 辿り着いた詩人は、村の取締官にこう述懐する。 「ここは世界の果てだ。来てしまったら戻れない」。 年に1度の住民登録のため、 書類に拇印捺印するのが青いインクというだけでも 私の眼には新鮮だが、その辺境の地の佇まいもまた、 映画の寓話的なファンタジーを醸し出す。 赤いシャツを着た男が、 4人の男によって引っ張られた2枚の布の狭間で踊り、 やがてその身体に巻いてゆくまでを 生命力を感じさせる賑やかな音楽で彩り、 「シャクタババ(雪の精)に... ...続きを見る

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2010/11/22 22:35
REVIEW 「第23回東京国際映画祭」コンペティション 『ビューティフル・ボーイ』」
両親は息子の最後の電話を振り返って、 幾度となく「あのとき何かできたのでは?」との 後悔の念に苛まれたことだろう。 けれど、モーテルの主人が言うように、「だが、何ができた?」。 たしかに、サムの暴挙は崩壊直前だった夫婦生活を一変させた。 モーテルの一室でふたりの感情が爆発する。 批判ばかりの妻にうんざりしながらも、 息子のために夫婦生活を持続させていた夫。 そんな真情吐露は夫婦生活の中では、当然皆無だったはずだ。 その感情のすれ違いが、夫婦の溝をいっそう深めていった。 夫... ...続きを見る

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2010/11/20 23:02
REVIEW 「第23回東京国際映画祭」コンペティション 『小学校!』」
誰もいないアパートの一室で、 居るはずのない息子の「パパ」と呼ぶ声に表情を曇らせる ホセ・マリアの過去は、映画は明らかにしない。 面接の際に、校長が「本当に小学校の教師になりたいの?」と 彼に問い質すように、美術研究の道を歩んできたその経歴は、 教育とは畑違いのように見える。 しかし、担任に「子供に慣れるのには数ヶ月かかる」と アドヴァイスされた彼が、 いつしか放課後の教室で問題児のホセ・ホアキンに無言で手を握られ、 思わず瞼を涙で濡らすように、 彼のその決意の根底には幼... ...続きを見る

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2010/11/18 02:35
REVIEW 「第23回東京国際映画祭」コンペティション 『僕の心の奥の文法』」
アハロンの母ヒンダは、頑ななまでに反抗心を露わにし、 手に負えなくなった息子をなだめるように、こう訴える。 「私たちには親もなく、教養もないから、 あなたにどう接していいか判らないの」。 ちょうど、ヒンダの年代はホロコーストの生き残りだ。 過酷な現実を生き抜くことに必死で、 芸術や文学などに触れている精神的な余裕はなかったのだろう。 父のモシェはこう言う。 「インテリたちは“あの場所”という現実があることを信じなかった」。 “あの場所”、つまりユダヤ人収容所から 生き延び... ...続きを見る

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2010/11/17 02:28
REVIEW 「第23回東京国際映画祭」コンペティション 『サラの鍵』」
生きたいという願いは無惨にむしり取られ、 ようやく授かった我が子は中絶の決断に迫られる。 人間の生命とは何と思うに任せないことか。 サラの運命も、まさにそうだ。 ユダヤ人収容所から脱出したとき、 彼女は納戸に隠した弟のミシェルを救い出そうと、 無我夢中で生きる道を模索したはずだ。 そうして、それを実現したときに突き付けられたあまりにも非情な現実。 それでも、少なくともしばらくはサラも 現実を生き抜くことに懸命だったに違いない。 しかし、時が経ち、田舎暮らしの素朴で情に厚い... ...続きを見る

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2010/11/07 23:39
REVIEW 「第23回東京国際映画祭」コンペティション 『そして、地に平和を』
荒廃のローマ郊外。 映画はその地に“帰還”した男の後ろ姿を延々と映し撮る。 かつては最先端だったであろう団地には、 もはや人影はまばらで、コロッセオに似せた中庭は 仕事の無い若者たちが暇つぶしにたむろしている寒々しさだ。 いや、もしかするとここは最初から 貧困層の救護施設のようなものだったのかもしれない。 大金を掴んだフェデリコの父のように、 野心に燃える働き盛りの大人たちは すでにこの地から去ってしまった。 将来の希望もなく、彼らを導くべきロールモデルのいない若者たちは... ...続きを見る

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2010/10/31 23:17
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『台北24時』 Part.2
「煙」 18時。教師から娘の“自主転学”を勧められた父親が、 基隆川の河川敷で娘と顔を合わせる。 煙草をくわえ、不貞腐れて 彼の顔を見ようとしない娘に、 父は後ろから蹴りを入れる。 娘は父に挑みかかるが、 眼と眼が合うと再びしゃがみ込み、 父も娘の傍に座り、煙草を吸う。 肩を並べて、煙草を交換し合う父娘の背後で、 榕樹が風に揺れる。 そんな父娘の葛藤を、引きの位置で淡々と長回しを続けるキャメラは、 うなだれる娘と無言の父をとらえるだけで、 時の流れるに任せて不器用に... ...続きを見る

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2010/07/12 00:03
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『台北24時』
「ステキな朝」 朝6時、木の上に登ったまま下りられない猫を誰が助けるのか。 通学直前の小学生が、母に携帯電話をかけて 現われたのは女優のメーガン・ライ。 その彼女は、昔の恋人ウー・チュンティエンをやはり携帯で呼び出す。 よりを戻す電話かと誤解して、喜び勇んで現われた男の純情が哀れだが、 それでも自身の面子を保とうと、 網を手に木によじ登って猫を追い払おうとする。 次第に野次馬が集まってきて、 チアリーダーの少女たちが気のない応援をしたり、 好き勝手な批判をする中年男女にチ... ...続きを見る

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2010/07/11 23:16
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『白タク』
レイテ島の桟橋で、天真爛漫に海へ飛び込み、 フェリーの縁にしがみついては、乗客からチップをねだる子供たち。 誰もが子供の頃はこのように自由だったはずだ。 しかし、生きているうちに、 さまざまなしがらみがその身にまとわりつき、 気がつけばその重みで身動きが取れなくなっている。 制服をビシッと着こなし、 鏡に映る自分に向かって「人の役に立とう」と呟くシモンは、 その何ものにも代えがたい大切な制服に付いた滲みを 歯ブラシで洗い落とす几帳面さと同時に、 警官としての理想に燃える野... ...続きを見る

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2010/07/10 23:37
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『私は太陽を見た』
「男が戦争を欲し、女が泣かされる」。 故郷を捨てた辛い彷徨の果てに、 ラモは娘たちが収監された保護施設の院長にこう手紙を書き送る。 彼らアルトゥン家の不幸の一因は、 イスラム教の男性至上主義にあると私は思う。 敗北感を噛みしめるようなそんな彼の言葉は、 故郷であっても都会であっても安住の地を与えられることなく、 人生の辛酸を舐めた男の実感だろう。 彼は故郷で平和と牧畜を失くし、都会で息子と弟を失った。 5人の娘を持つラモは、息子の誕生を待ち望み、 妻ハヴァルの体調不良を考... ...続きを見る

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2010/07/04 22:32
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『風のささやき』
“伝言係”の老人は、軍によって蹂躙されたクルド人のメッセージを、 ラジカセに録音して、ブルーのトラックに乗って荒地を往く。 フセイン政権下では、18万人余のクルド人が殺害されたという。 「ここで話すことはできない」と老女が嘆くように、その現実は凄絶だ。 あるサッカーチームの少年たちが ライヴァルの強豪チームに再戦を要求する。 今度は勝つという勇ましいメッセージとともに。 しかし、その届け先のサッカー場に選手の姿は見えない。 代わりに、土の下から顔を覗かせた 色とりどりのユ... ...続きを見る

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2010/07/01 00:52
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『キングコングを持ち上げる』 Part.2
しかし、初めての大会で満足な指導も受けられず、 惨敗したとき、負け犬根性でいじけるばかりだった 彼女たちの心に初めて反骨心が目覚めるのが、 私の心をも昂揚させる。 深夜、それぞれの心の頼りなさを持ち寄るように、 誰とも知れずひとりひとり合宿所を訪れ、 再会した仲間たちとひっしと抱きあい号泣しあうとき、 個人競技であるはずの 重量挙げのチームワークが結ばれた。 そうして、ヨンジャはジボンに叫ぶのだ。 「家と食事を与えたなんてお情けではなく、 練習を教えてください」と。 ... ...続きを見る

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2010/06/20 01:00
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『キングコングを持ち上げる』
ジボンは猛特訓に満身創痍のヨンジャをこう励ます。 「諦めずに頑張った人生は金メダルだ」。 そしてそのメッセージは、ジボン自身が彼女たち教え子と出逢って しみじみと痛感した本音だろう。 たとえオリンピックの晴れ舞台でも、ウェイトリフティングは サッカーや他の花形スポーツのように注目されない。 ましてや、メダルを獲得したとしても、 それが金メダルでない限り、 賞賛の言葉も、社会的な保障も与えられることはない。 そんな悪環境にも関わらず、 ヨンジャはオリンピック出発前に記者に囲... ...続きを見る

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2010/06/19 23:51
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『旅人』
少女の記憶に刻みついたのは、 自転車の後部座席で感じた父の背中の広さと温かさ、 そしてペダルを踏み込むたびに深まる鼓動と息遣いだ。 当初は、「ここにはいたくない」と孤児院の門柱によじ登ったジニが、 「ここから動かない」と態度を翻すのは、 決して孤児院での暮らしに順応したというわけではない。 ここでしか父と再会できる可能性がないことを痛感したからだろう。 たとえ院の門を開いて貰ったところで、 彼女には行き場がないのは明らかだ。 住所も判らない父を闇雲に探すより、 父が自分を... ...続きを見る

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2010/06/18 23:36
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『よく知りもしないくせに』 Part.2
それから12日後、ギョンナムは先輩の大学教授に招かれ、 済州島の映画学校で特別講師を務めることになった。 『映画館の恋』でもホン・サンスは2部構成に挑み、 それらが交錯する入れ子形式を採ったが、 本作ではギョンナムの辿った2つのエピソードとして描かれるものの、 シチュエーションに共通点は見い出せる。 それは、人は幾度、過ちを繰り返したところで 本性は変わらないというホン・サンスの実感だろう。 自作の映画上映会にもかかわらず、 映画会社から“サンプル”文字の表示入りDVDしか... ...続きを見る

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2010/06/15 01:18
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『よく知りもしないくせに』
ホン・サンスの描く男たちは、 人当たりの良さそうな柔らかな物腰にどす黒い欲望を隠し持っている。 そして、それまで装っていた知性をかなぐり捨て、 剥き出しの本能をナイフの切っ先のように 相手に突きつけたときに浮かびあがる男のずるさと情けなさ。 私がホン・サンス映画に興奮させられるのは、そこだ。 どうしようもない男たちを一刀両断しない、 むしろおおらかに肯定する開き直りだ。 とかく、たいしたドラマは起こらない。 ぐだぐだと無為な日常にさんざめく人間の本音や欲望を 非日常に転じ... ...続きを見る

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2010/06/14 23:27
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『法の書』
適齢期の娘たちの顔写真をためつすがめつしながら、 あけすけに品定めをする女たち。 監督のマズィヤール・ミーリーは、その顔写真をコマ送りで捉えた オープニングに女性たちの声をかぶせて、 その声の主の顔を映し撮ることはしないが、 そこに“女の敵は女”の底意地の悪さを強調するようだ。 若い娘は、年輩の女性を敬い、決して逆らってはいけない。 たとえそれがイスラム教の教えだとしても、 こんな姑や小姑のいる家に来る嫁は、並々ならぬ覚悟が必要だろう。 40歳を過ぎて独身のラーマンが哀れだ... ...続きを見る

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2010/06/05 23:56
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『夜と霧』 Part.2
ヒウリンの実家に結婚の挨拶に行ったとき、 建築現場の作業人なのに有名建築家と誤解されて、 気が大きくなったのだろうか、 レイ・サムは妻の実家を新築して、 そこで食堂を開くことを決意する。 そのとき、彼はこの山奥の田舎の我が家を、 妻と生まれくる子供たちのための 終の棲家にと考えていたのかもしれない。 しかし、食堂は閑古鳥が鳴き、 彼女の両親の浪費で、新居は未完成のまま、 一家は香港に“出稼ぎ”に戻らなくてはならなくなった。 そんなレイ・サムの絶望も理解できる。 彼はそ... ...続きを見る

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2010/06/01 00:12
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『夜と霧』
何事も起きてから、その深刻さに思い至る。 それまでは異変を感じたとしても、 誰も大事には発展しないだろうと高を括っている。 しかし、それでは後の祭りだ。 テレビニュースの三面記事的な語り口を皮切りに、 香港の川沿いの町、天水圍に暮らすレイ・サムとヒウリン夫妻を 取り巻くさまざまな人々の証言を重層的に重ねながら、 やがて彼らに訪れる悲劇の“その時”へとじわり加速度を増してゆく アン・ホイの作劇は堂々たるものだ。 当初は、ヒウリンとは親しい付きあいではなかったと弁明する 隣人... ...続きを見る

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2010/05/31 22:59
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『青い館』
厳粛な葬儀が瞬時にして、殺人事件のミステリアスな最前線へと転じる。 ただでさえ悲劇と喜劇が紙一重の“儀式”の席で暴かれる 家族の秘密と剥き出しの本音は、 伊丹十三の『お葬式』を彷彿させるアイロニーたっぷりに、 観る者の好奇心をスリリングに刺激する。 オープニングで“The Blue Mansion”と記された屋敷を 舐めるように捉える監督グレン・ゴーイの語り口は大胆だ。 そうしてキャメラは、「マン・オブ・ザ・イヤー1997」「不動産王」など 数々の賞賛のフレームが飾られた部屋... ...続きを見る

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2010/05/26 23:14
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『シーリーン』
キアロスタミは前作『10話』でも女たちの顔に拘ったが、 本作ではより徹底的にそれらをアップで積み重ねる。 思わず、かつて成熟した女性像を銀幕で映し撮ることが 法律によって禁じられていた イラン社会に生きた映画監督キアロスタミの、 それは老いてからの反動かもしれないと穿ちたくもなるが、 女性たちの中には老婦人や中年女性もいるが、 キアロスタミが注視するのは、 そのほとんどが若い美女であることは明らかだ。 そんな彼女たちの視線の対象となるのが、 シーリーン姫の愛の悲劇ともなれ... ...続きを見る

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2010/05/23 00:05
REVIEW 「フランス映画祭2010」 『クリスマス・ストーリー』 Part.2
そんな愛憎渦巻く家族関係に、 末弟のイヴァンは幼い頃から晒されてきたのだろう。 冷徹な姉に反して、イヴァンはアンリを慕っていた。 彼が物心ついたとき、長兄のジョセフはすでにこの世にはいなかった。 唯一の男性兄弟であるアンリとの共犯関係は、 彼の妻シルヴィアをめぐる“企み”からも判る。 彼女に恋をしたとき、心を病んでいたイヴァンを案じる従兄のシモンは、 自らのシルヴィアへの思いを封印し、 アンリとともに彼の恋の成就を願ったのだ。 シモンのシルヴィアへの思慕は、今もその視線の端... ...続きを見る

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2010/05/05 00:04
REVIEW 「フランス映画祭2010」 『クリスマス・ストーリー』
クリスマスの朝、アンリは雪の道をポールと走りながら、 「俺と同じ遺伝子の持ち主なんて」と今さらながらに驚いてみせる。 それは、これまで居心地の悪かった一家の中で、 ようやく彼自身が何らかの共通項を持つ肉親の登場によって 家族の絆を認識したかのような安堵感だ。 幼い頃からヴュイヤール家とは無縁な余所の家の子供だと 疎外感を噛みしめていたアンリは、 恋人のフォニアにもこう言われていた。「あなたに家族はいないわ」 アルノー・デプレシャンは、いつものようにナレーションと モノローグ... ...続きを見る

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2010/05/04 23:15
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『心の魔』
何かがおかしい。エゴイスティックな親子関係、いびつな学園生活、 すべては金銭づくで処理され、他人に対して無関心な世の中。 そんな日常生活に淡々と積み重なる幾つもの不穏が、 まるで時限爆弾が爆発するかのような衝撃のクライマックスに向けて、 ひたすら緊迫感を高めてゆくホー・ユーハンの演出は、 前作『Rain Dogs』に勝るとも劣らぬパワフルさだ。 ふてぶてしい音楽センスを随所にちりばめながら、無駄な描写を排し、 台詞さえも最小限に留めたそのスタイルは、リアリズムを貫きつつ、 ラ... ...続きを見る

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2010/04/27 23:47
REVIEW 「フランス映画祭2010」 『バス・パラディアム』
公衆電話にレコードのターンテーブル、 ピガール界隈を肩を並べて歩くバンドメンバーが スタジオで食するファストフードといえば “クイック”のバーガーというように、 監督のクリストファー・トンプソンは自身の 思い入れの詰まったに違いない80年代、 “運命の女”の登場によって翻弄される 男同士の友情とバンドの崩壊を、 時代を反映させた印象的な風俗描写とともに綴るが、 それらが悲劇的な愛の王道ともいえる男たちと女の 三角関係の既視感を払拭する程の斬新さには至らず、 それゆえ映画... ...続きを見る

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2010/04/23 01:00
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」 WORLD CINEMA 『二つのロザリオ』
その年格好にしては不釣りあいな程の初々しい純愛だ。 イスラム教の見習い聖職者が恋したのはカソリックの見習い尼僧。 イスラム教とキリスト教。このふたりの関係は、 東洋と西洋の狭間に位置するトルコという国そのものを想起させる。 ふたりは別れを惜しむ旅で、ポラロイド写真を撮ってもらうが、 写真の端っこに所在なげに佇むだけだ。 とりわけ純朴なムサは、その姿が見切れても満足なように、 クララの心に強引に飛び込むことはしない。 嵐の夜、ひとりの女が教会の扉を叩く。 身重の彼女は、赤ん坊... ...続きを見る

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2010/04/22 13:25
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」 WORLD CINEMA 『小さな山のまわりで』
飄々としたユーモアに満ちたジャック・リヴェットの新作は、 同時に老いていっそう映像と戯れる作家の実験性も垣間見られ、 それが作品に若々しいみずみずしさをもたらしている。 そして、清澄な明るさの裡に観る者の心にじわり浮かびあがるのは、 巨匠の達観ともいうべき軽やかなエスプリだ。 それは、まずオープニングから感じられる。 山道でバンがエンストし、立ち往生している女が、 やって来たスポーツカーに満面の笑顔を見せる。 しかしそれは彼女を一顧だにせず通り過ぎ、 悄然とする女の前に、去... ...続きを見る

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2010/04/15 00:08
REVIEW 「フランス映画祭2010」 『テルマ、ルイーズとシャンタル』
人生は、映画のように恰好良くはいかない。 絶望に晒された女3人が、ラ・ロシェルの断崖で 『テルマ&ルイーズ』のように 車ごとここから飛び降りようかと額を突きあわせても、 そこに彼女たちを追う警官隊が存在しなくては ナルシシズムが満たされないのも当然だ。 ガブリエル、リリー、そしてシャンタルの3人は、 一台の車に同乗して、青春時代の憧れの存在だった フィリップの何度目かの結婚式に出席するため、 ブルゴーニュからラ・ロシェルまで旅をする。 その小旅行に、それぞれに憤懣を抱える... ...続きを見る

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2010/03/18 04:28
REVIEW 「フランス映画祭2010」 『あの夏の子供たち』
子供たちは、父の死という“不在”を通して、父の存在を再確認する。 その手探りの慎ましやさが、ミア・ハンセン=ラヴ監督の感受性だ。 かつて父がその歴史背景を長広舌で説明した テンプル騎士団の修道院を、父亡き後、彼女たちが再訪するとき、 沈黙の裡にふと上空を見上げると、 娘に「梯子を登るなよ」と命じた父のその口調が、胸中に甦るはずだ。 父のオフィスで管財人が遺品を整理する中、 次女ヴァランティーヌは父がプロデュースした 大ヒット作「ジャックポット」からカットされたフィルムを収めた... ...続きを見る

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2010/03/11 00:16
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『麦田』
一面に麦の穂が揺れる黄金色の麦畑に男ふたりをただ置く。 シンプルかつダイナミックなハー・ピン監督の画の中に、 勇者で美丈夫な暇と臆病者で小太りな輒が、 珍妙なバランスの凸凹コンビとなることを予感させる。 故郷で今が盛りの麦の穂を刈るため、 ただそれだけを口実に戦場から逃亡する暇の後ろを、 なぜか輒が引っ付いて歩く。「お前が前を歩いているだけだ」。 お定まりのコメディのパターンに、 緊迫感の中に肩の力が抜けた笑いがこぼれる。 何とか輒を振り払って、秦の関所の前の草叢に身を潜め... ...続きを見る

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2010/02/21 23:12
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『ヤンヤン』
確たる覚悟もないままふらふらと、何をやらせても中途半端で、 挙句の果てに「逃げたら悪い?」と開き直るヒロインの彷徨に、 2時間近くも付きあうのはたまらない。 おまけに、メリハリを利かさず頼りなく揺れ続ける 手持ちキャメラがその苛立ちに拍車をかける。 ヤンヤンはアスリートの逞しさと陽気さの陰に、 台湾とフランスのハーフとしての葛藤や、 親友を裏切る恋の苦悩を押し隠している。 けれど、その理由を告げることもなく、突拍子もない行動を取ったり、 悪態をついたり、しかしその理由を探る... ...続きを見る

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2010/02/16 23:47
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『時の彼方へ』
空港からナザレまでの長距離タクシーが突然の雷雨に見舞われ、 視界不能で往く手を阻まれてしまう。 暗闇の中で、薄ぼんやりと後部座席に浮かびあがる乗客が、 本作の監督エリア・スレイマンだ。 開巻、「イスラエル人から見たパレスチナの歴史」と 字幕が挿入されるように、 これはスレイマンの両親の物語であり、彼自身の成長の物語だ。 パレスチナがイスラエルに降伏した1948年7月16日、 ナセル大統領の死が報じられた70年9月28日前夜。 スレイマンの青春時代の80年。そして、現在。 ... ...続きを見る

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2010/02/14 17:39
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」アジアの風 『ベスト・オブ・タイムズ』
「覚えていたいことは忘れ、忘れたいことは思い出す」とは ソムピットの唄う歌の歌詞だが、 ゲンとファイはお互いに初恋の未練を引きずったまま、 現在の自分の思いに素直になれず、 一方のジャムラットとソムピットは人生最期になるに違いない恋を、 年齢の壁によって邪魔される。 ジャムラットとソムピットは老年の域に達したとはいえ、好奇心旺盛だ。 ゲンがふたりに逢うきっかけになったのも、 飲酒運転のボランティアで彼が講師を務めることになった “老人のためのパソコン教室”だ。 バンコクま... ...続きを見る

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2010/02/13 00:09
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」コンペティション 『激情』
ホセ・マリアはふざけ半分でローサが昔の恋人の 数を数える素振りを見せると、途端に不機嫌になる。 それまでの愛に満ちた穏やかな表情が、 憤怒へと豹変するホセ・マリアに狂気の予兆はあった。 彼は通りすがりにローサをからかう男を、 彼女を屋敷に送り届けた後、 わざわざ引き返して半殺しになるまで殴打するのだ。 彼の怒りの本質は何なのだろう。 ラテン男性らしい直情径行だけではなく、 ローサへの愛ゆえの嫉妬だけでもない。 それは自分の思うままに任せない 世の中に対する身勝手な八つ当... ...続きを見る

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2010/02/06 23:39
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」 WORLD CINEMA 『キング・オブ・エスケープ』
それ以前から、アルマンの視線の片隅には カルリの存在がちらついていたのだ。 路地裏で男といちゃつくブルーのジャケットを着た エキゾティックな16歳にアルマンが目を留めたとき、 それは私には単調な日々を送るゲイの中年男にとって 無防備に愛しあう若いカップルへの羨望かとも思えた。 少なくとも、不良グループに絡まれ、 あわやレイプされそうな彼女を救出しようとしたとき、 アルマンには衝動的な性の欲求はなかったはずだ。 それが邪心のない彼の素朴な正義感ゆえであることは、 自分の腕っ... ...続きを見る

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2010/02/04 22:13
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」 natural TIFF特別上映 『イニスフリー』
イェーツが「立ちあがって行こう」と 詩に謳ったイネスフリーで、 ホセ・ルイス・ゲリン監督が見つめるのは、 『シルビアのいる街で』と同じように、 そこで生きる老若男女の顔、顔、顔であり、 ジョン・フォードが1951年の『静かなる男』を 撮影した頃と変わらぬ美しさと厳しさを併せ持つ アイルランドの原風景だ。 この映画が撮影されたのは、 1988年の9月5日から10月10日と 字幕が挿入されるから、 『静かなる男』が完成してから 37年の歳月を重ねたことになる。 人気なく... ...続きを見る

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2010/01/25 23:10
REVIEW 「第16回大阪ヨーロッパ映画祭」 『リトル・ソルジャー』
ロッテが、リリーに向かって拳銃を振り回した客の顔面を殴打し、 男を撃退した夜、「独りは淋しい」と 彼女に部屋に泊まるよう誘うリリーに、こう言う。「人間は孤独よ」。 しかし、ロッテはその“孤独”に対して、 折りあいをつけることができずにもがいている。 最愛の父との間柄も、「自慢の娘だ」と褒められ、 親密感を確かめあうように互いに腕を叩きあっても、 ふとした瞬間に、幼い頃、仕事の忙しさにかまけて 堅礼式に出席しなかった父への恨みが甦り、 ぎこちない感情に苛まれてしまう。 母が... ...続きを見る

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2010/01/02 20:04
REVIEW 「第16回大阪ヨーロッパ映画祭」 『タンドリーラブ〜コックの恋〜』
主人公がインド映画のスイスロケに同行した インド人シェフというアイディアが秀逸だ。 それによって“ボリウッド”ミュージカルへの 愛すべきパロディとインドの美食の融合が、 観る者の好奇心をくすぐると同時に、 ヨーデルとインド音楽の出逢いという 奇妙なミスマッチが斬新な驚きをもたらす。 何より、青天に広がるスイスの白銀の雪山を、 原色鮮やかなインド衣裳がエキゾチックに彩り、 油で炒められ、スパイシーに味付けされた食材が、 涎がこぼれそうなインド料理へと生まれ変わるといった ... ...続きを見る

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2009/12/26 23:45
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」日本映画・ある視点 『つむじ風食堂の夜』
箱庭細工を思わせる北国の街並みに ノスタルジックな匂いが立ち込めるのは、 そこに今は亡き父親の影がちらつくせいだろう。 喫茶店「タブラ」の息子は再開店の日に 父が愛用していたエスプレーソ・マシンが壊れ、 「自分の味でやってみろ」の合図だと納得するが、 “僕”にとってそれは、 つむじ風の夜に消えた、父の袖口となる。 「種も仕掛けもございません」。 “僕”の脳裏に甦るのは、手品師だった父の定番の決め台詞だ。 映画は、「食堂」「エスプレーソ」「月舟アパートメント」「星と唐辛子」... ...続きを見る

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2009/12/19 22:50
REVIEW 「第16回大阪ヨーロッパ映画祭」 『絆』
監督のガブリエーレ・サルヴァトレスは、 オープニングから若い父子、リーノとクリスティアーノの 他に類を見ない強固で独特な関係性を観る者に印象付ける。 その濃密な関係こそが、プレッシャーに晒されながらも 父のために格闘するクリスティアーノの雨の長い一夜に説得力を添える。 父の窮地を救うためには、彼は命を賭けることも厭わないだろう。 クラスメートのファビアナたちから 「クラスで一番可愛い」とからかわれながらも、 女嫌いさながら彼女たちを寄せつけない クリスティアーノの世界はあま... ...続きを見る

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2009/12/15 00:47
REVIEW 「第16回大阪ヨーロッパ映画祭」 『カメレオン』
孤児のガーボルにとって、精神科医のオフィスから 盗み出したDVDに映るハンナは、 彼が欲しくても手に入らないものをすべて手中に収めた 理想の女性のように思えたのかもしれない。 ガーボルは孤児院仲間で、詐欺の相棒のティビにこう言う。 「成功と金と育ちの良さ。彼女のその匂いを嗅ぎたい」。 診察室に備え付けられたキャメラに勝負を挑むように向きあう 美貌のバレエダンサー、ハンナは、 これまでガーボルが手玉にとってきた、 ただ“王子さまが現われることだけを待つ” コンプレックスを... ...続きを見る

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2009/12/08 06:05
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」コンペティション 『ボリビア南方の地区にて』
監督のフアン・カルロス・バルディビアは、 ボリビア南方地区の豪邸を俯瞰でとらえ、 その3つの窓からそれぞれ、パトリシオ、カロラ夫人とウィルソン、 ベルナルダとマルセリナの顔を覗かせる。 この宙に浮かぶキャメラの視線は、 手作りの青い羽根で空を飛ぶアンドレかもしれない。 まだ社会の偏見に染まっていない彼だけが、 この屋敷の窓から顔を出していない。 バルディビア監督が舐めるようなキャメラワークで映し撮る この屋敷に象徴させるのは、現代のボリビアの縮図だ。 その空撮も、屋敷の周... ...続きを見る

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2009/12/06 23:13
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」 natural TIFF 『石油プラットフォーム』
1949年の建設当時、カスピ海に浮かぶそれは ソ連の社会主義体制の威容を誇る象徴的な建築物だったのだろう。 プラカードに記された“世界八番目の不思議オイル・ロックス”。 海上の油田掘削所という国家的プロジェクトは、 ソ連の国力と人海作戦なくしては成り立たなかったに違いない。 世界最大というこのプラットフォームに到着するまで、 船で6時間かかる。 当時のニュースフィルムは、この油井に働く人々を 高らかなプロパガンダで謳いあげ、 銀幕には勇ましい主題歌が鳴り響く。 それから6... ...続きを見る

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2009/11/20 23:38
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」コンペティション 『マニラ・スカイ』
監督のレイモンド・レッドは、 マニラに“フィリピン・ドリーム”は存在しないことを宣言する。 この街で息を潜めて暮らす労働者たちは、 天井裏を走るネズミや床を這いずる回るゴキブリさながら、 誰からも目をかけられないゴミ同然の存在だ。 にもかかわらず、マニラから遠く離れたロンブロン島の貧しい農夫は、 幼い息子に「教育を受けて、マニラに行け。 そしてここには帰ってくるな」と言い含めるように諭す。 少年の幸せは、母とともに竹籠作りで日銭を稼ぎ、 よく働いたと父に頭を撫でられるだけで... ...続きを見る

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2009/11/19 01:12
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」コンペティション 『永遠の天』 Part.2
2000年。北京大学に進学したシンチェンは、 杭州の美術学校に通うユエンに、 北京でのオリンピック開催が決定した夜、 興奮して電話をかけるが、ふたりを阻む距離のように、 感情の溝は電話では埋められない。 醒めたユエンの傍には、 彼のために進路を変えたジアがいた。 打ち上げ花火が夜空を豪奢に彩るが、 いかに美しいものでも儚く消えてしまう。 そんな無常感が、03年4月1日、レスリー・チェンの自殺と重なる。 その追悼に浸る間もなく、中国全土を襲ったのがSARSだ。 無機質に近... ...続きを見る

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2009/11/18 01:53
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」コンペティション 『永遠の天』 Part.1
ラジオニュースが伝える、 レスリー・チャンが『さらば、わが愛/覇王別姫』の撮影していた 1985年から、北京オリンピックの開催決定、 そのレスリーの自殺、SARS、そして2008年の北京オリンピックまで、 急速に近代化の進む現代中国を舞台にした愛の物語に、 レスリーの曲が重なりあうとき、 それだけでドラマティックな愛の感慨が胸に沁み入り、 不覚にも映画とは関係なく私の胸を揺さぶる。 それは無常感の哀愁だ。 この20年余に、中国でも愛や犠牲は軽んじられ、 富と成功ばかりが追... ...続きを見る

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2009/11/17 22:43
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」コンペティション 『テン・ウィンターズ』
11年間に10回の再会。 シェード付きランプを抱えてヴェネチア行きの船に乗ったカミッラと、 柿の苗木を携えたシルヴェストロは、 1999年の初対面から互いに魅かれあっていたのだろう。 明らかに人の良さそうな好青年のシルヴェストロは、 船席で柿の実を子供たちの顔の前にちらつかせてからかい、 カミッラの関心を誘う。 そして、カミッラが船員と話し込んでいる隙に、 彼女の読んでいた本と帽子、眼鏡をかけて ふざけてみせるシルヴェストロに、カミッラもまんざらではなさそうだ。 さもなけ... ...続きを見る

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2009/11/12 04:58
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」コンペティション 『NYスタテンアイランド物語』
ハドソン川に視線をやれば、 嫌でも視界に飛び込んでくるマンハッタンのスカイラインに、 男たちは“ニューヨーク州の予算計上からも忘れられてしまう地区”と 冗談口を叩かれる程、影の薄いスタテンアイランドという土地に 鬱屈を覚えると同時に、栄光とは無縁なこの場所で、 人生の成功を掴もうとあえいでいたのだろうか。 監督のジェイムズ・デモナコは、 オープニングでニュース映像を紐解きながら、 スタテンアイランドの歴史と現在を自虐的に伝える。 今もここはマフィアの最大の巣窟であり、 地... ...続きを見る

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2009/11/11 01:07
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」コンペティション 『ロード、ムービー』
小高い丘から青壁が重なる街を見下ろすヴィヌシュは、 父親の経営するヘアオイルの会社を嫌い、「ここを出たい」と呟くが、 たとえ今は業績不振にあえごうとも、 彼は自分の恵まれた境遇に無頓着な世間知らずにすぎない。 叔父に頼み込んで、海辺の博物館にクラシックな映写機を 42年型シボレーで運ぶ、その荷台に起死回生をと 父が託したヘアオイルとともに、ヴィヌシュの母は飲料水を積み込む。 ヴィヌシュはそれを当たり前のように受け取り、 道中、見渡す限りの砂の大地に赤い衣裳が美しく映える 水... ...続きを見る

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2009/11/09 23:33
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」コンペティション 『エイト・タイムズ・アップ』
気まぐれのように週1回の面会の約束さえすっぽかす 母の愛情を確かめるかのごとく、 海へのドライヴ中に立ち寄ったスーパーで万引きしてみせ、 「警官になりたい子が万引きだなんて」と 母からの関心を引き出したことに満更でもないエティエンヌは、 海に辿り着いても陰鬱な表情で沈み込む母を鼓舞させようと、 海辺のボール投げに誘い込む。 にも関わらず、そんな彼の気持ちに応えてやれないエルザがもどかしい。 彼女には、目の前の息子よりも就職面接の合否のほうが心配なのだ。 たしかに収入が安定す... ...続きを見る

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2009/11/05 22:09
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」コンペティション 『見まちがう人たち』
「そのままが一番いいことがある」「でも、それに自信が持てない」。 マヌエラの豊胸手術失敗の報を受けて、 偶然顔を合わせたダビとフアンは、 病院の椅子に座り込みこんな会話をするが、 人は誰もが喪失に恐れ、同時に自分の持たざるものに憧れる。 映画は幾つもの人間関係を交錯させながら、 まさにその言葉の真意をシニカルに浮かびあがらせる。 オープニングの映像はピントが合わない。 それは、角膜手術を受けたばかりのフアンの主観だからだ。 それは後々、医療サービスの民営化10周年を機に、 ... ...続きを見る

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2009/11/01 10:11
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」コンペティション 『イースタン・プレイ』
夜明けの街に一斉に街灯が消えて、路面電車の線路を彷徨うイツォに、 グレン・グールドのピアノが重なる。 古いものは朽ち果て、新しく変わりつつある街にも、 まだ美しさが残されている、その詩的光景に見惚れてしまう。 そのある種の神聖さを感じさせる街角で、 イツォはダンボールの束を運ぶ老人に声をかけられ、 鞄を持って欲しいと頼まれる。 その老人に付いていくまま、彼の部屋に上がり込んだイツォは、 居心地の良さそうな部屋に置かれた椅子に座ったままうたた寝してしまう。 ふと目覚めて、彼の... ...続きを見る

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2009/10/30 02:34
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」コンペティション 『ストーリーズ』
もともと小説家志望だったのか、 それとも不安に駆られた眠れない夜を 紛らわせるために始めたのか、 いずれにせよロサリオにとって小説を書くことは、 カウンセリングを受けるより余程、効果があるようだ。 彼女の執筆活動は、 その日、感じた不安を昇華させる行為となるからだ。 監督のマリオ・イグレシアスは、 突然のズーム映像や移動撮影の揺るぎといった ドキュメンタリータッチで追うロサリオの日常生活に、 彼女の小説世界をモノクロームの映像で 挟み込むことで、独特のリズムを銀幕に刻み... ...続きを見る

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2009/10/27 02:57
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」コンペティション 『ダーク・ハウス/暗い家』
殺人が起きた1978年10月と、 その事件の状況検分に着手する1982年2月。 社会主義時代と、連帯から戒厳令下に至る時代という ふたつの時制を併行させながら、 それらをクライマックスで混然一体と溶け合わせる監督 ヴォイテク・スマルゾフスキの手腕はなかなかのものだ。 青天に輝く雪に覆われた路肩に停めたパトカーの傍に 3人の男が立つオープニングは、『ファーゴ』を彷彿させ、 ミステリーのお膳立てとしては上々だ。 そうして彼らの眼前に曰くありげに佇む廃屋が、 4年前の惨劇の舞台... ...続きを見る

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2009/10/26 21:31
REVIEW 「第22回東京国際映画祭」コンペティション 『少年トロツキー』
ロシアの政治家トロツキーの生まれ変わりを 自認するレオンがストライキを決行するのが、 他ならぬ彼に豪勢な邸宅での贅沢な暮しを もたらしている父の工場というとんちんかんさが、 理想と行動がアンバランスな 彼の世界の狭量さを物語る。 いくら工員たちの前で威勢の良い演説をぶちまけても、 それは冷え冷えとした空気感の中で、 妹のサラが引き連れた 気のないチアリーディングのように、 見せかけだけのパフォーマンスとなって空回りする。 中東からの出稼ぎ労働者にとっては、 労働者の権... ...続きを見る

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2009/10/25 16:54
REVIEW 「EUフィルムデーズ2009」 Part.2
『永久機関』『ラプソディ・イン・ホワイト』(写真) ...続きを見る

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2009/06/21 23:42
REVIEW 「EUフィルムデーズ2009」 Part.1
『ファイター』『耳のないウサギ』(写真) ...続きを見る

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2009/06/15 02:36
REVIEW 「フランス映画祭2009」 Part.8
ヴェテラン女性監督の健在ぶりも フランス映画の醍醐味だが、 ジョジアーヌ・バラスコの『顧客』は、 そんなジェンダーレス社会を逆手に取った 現代風刺が痛快だった。 年下の男娼マルコとの刹那の恋に破れた 「嫌みと小切手で武装」した キャリアウーマン、ジュディスの 「私は今も自由な女だ」の覚悟の独学の傍らに、 バラスコはネイティヴアメリカンの曲芸師ジムと結婚し、 あっさりキャリアを捨てた、 彼女演じる姉イレーヌの愛の普遍を据える。 あけすけなセックスコメディの裡に潜むのは、... ...続きを見る

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2009/05/08 17:11
REVIEW 「フランス映画祭2009」 Part.7
会期中、“13日の金曜日”と重なったことで、 その夜、異例のフレンチホラーの オールナイト上映が実施された「フランス映画祭2009」。 ともあれ、昨今の日本映画界において 興行的な苦境にあえぐフランス映画の最新作が総覧できる貴重な機会。 日本公開未定の注目作を、2人の新進監督インタヴューとともに振り返る。 ...続きを見る

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2009/05/08 16:51
REVIEW 「フランス映画祭2009」 Part.6
『伯爵夫人』『美しい人』(写真) ...続きを見る

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2009/04/08 03:26
REVIEW 「フランス映画祭2009」 Part.5
「短編映画特集」 ...続きを見る

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2009/03/18 01:50
REVIEW 「フランス映画祭2009」 Part.4
『コード』 ...続きを見る

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2009/03/17 18:56
REVIEW 「フランス映画祭2009」 Part.3
『ジョニー・マッド・ドッグ』(写真)『ミュータント』 ...続きを見る

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2009/03/10 04:21
REVIEW 「フランス映画祭2009」 Part.2
『シークレット・ディフェンス』 ...続きを見る

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2009/03/08 23:19
REVIEW 「フランス映画祭2009」 Part.1
『サガン―悲しみよこんにちは―』『顧客』(写真) ...続きを見る

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2009/03/07 22:43
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」 natural TIFF Part.3
『ストーリーズ・オン・ヒューマン・ライツ』 ...続きを見る

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2009/01/31 00:08
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」アジアの風 Part.9
『ポケットの花』(写真)『モーツァルトの街』 ...続きを見る

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2009/01/30 03:18
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」 natural TIFF Part.2
『セイヴィング・ルナ』『ザ・サード・ウェーヴ』(写真) ...続きを見る

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2009/01/29 00:21
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」 WORLD CINEMA Part.3
『パルケ・ヴィア』(写真)『ジャミル』『スリー・モンキーズ』 ...続きを見る

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2009/01/28 00:27
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」アジアの風 Part.8
『十年の愛』 ...続きを見る

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2009/01/27 22:09
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」アジアの風 Part.7
『九月の風』『二匹のロバの物語』(写真) ...続きを見る

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2009/01/26 23:41
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」コンペティション Part.6
『がんばればいいこともある』(写真) 『パブリック・エナミー・ナンバー1(Part1&2)』 ...続きを見る

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2009/01/24 23:10
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」 WORLD CINEMA Part.2
『クスクス粒の秘密』 ...続きを見る

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2009/01/21 01:28
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」 WORLD CINEMA Part.1
『ホーム 我が家』『シルビアのいる街で』(写真) ...続きを見る

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2009/01/20 00:18
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」アジアの風 Part.6
『ライラの誕生日』(写真)『夏休みの宿題』 ...続きを見る

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2009/01/12 23:57
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」アジアの風 Part.5
『ワンダフル・タウン』(写真)『ビューティフル・クレイジー』 ...続きを見る

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2009/01/11 23:27
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」 natural TIFF Part.1
『フェデリコ親父とサクラの木』(写真)『ビューティフル・カントリー』 ...続きを見る

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2009/01/08 21:21
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」アジアの風 Part.4
『些細なこと』(写真)『陽もまた昇る』 ...続きを見る

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2009/01/06 01:41
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」アジアの風 Part.3
『私のマーロンとブランド』『少女ライダー』(写真) ...続きを見る

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2009/01/04 23:09
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」日本映画・ある視点
『buy a suit』 ...続きを見る

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2008/12/23 23:45
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」アジアの風 Part.2
『私のマジック』『ムアラフ−改心』(写真) ...続きを見る

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2008/12/17 20:39
REVIEW 「第3回大阪ヨーロッパ映画祭 in 東京」 Part.2
『ジョジーの修理工場』(写真)『リングの果てに』 ...続きを見る

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2008/12/14 06:44
REVIEW 「第3回大阪ヨーロッパ映画祭 in 東京」 Part.1
『ソフィアの3つの運命』『モードの花道』(写真) ...続きを見る

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2008/12/13 03:40
REVIEW 「第15回大阪ヨーロッパ映画祭」 Part.3
『氷の仮面舞踏会』『ザ・ウェーヴ』(写真) ...続きを見る

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2008/12/11 00:10
REVIEW 「第15回大阪ヨーロッパ映画祭」 Part.2
『ティラミス』(写真)『ハンドルネームはベンX』 ...続きを見る

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2008/12/08 01:29
REVIEW 「第15回大阪ヨーロッパ映画祭」 Part.1
『モーリス・ジャールの軌跡』 モーリス・ジャールは作曲家よりも、指揮者志願だった。 まず、そのことに驚かされた。 91年のデヴィッド・リーン追悼コンサートの 様子が収められた『LEAN by JARRRE』で、 オーケストラに相対して情熱的にタクトを揮う、 それはジャールの本望だったのだろう。 映画音楽家として約半世紀の キャリアを誇るジャールは、それでもその駆け出し時代の50年代、 フランスのTNP(国立民衆劇場)でジャン=ルイ・バローやジェラール・フィリップといった... ...続きを見る

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2008/12/06 23:14
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」アジアの風 Part.1
『銀河解放戦線』『生きていく日々』(写真) ...続きを見る

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2008/11/10 23:49
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」コンペティション Part.5
『ハーフ・ライフ』『プラネット・カルロス』 『ダルフールのために歌え』(写真) ...続きを見る

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2008/11/07 03:14
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」コンペティション Part.4
『親密』(写真)『オーシャン』 ...続きを見る

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2008/11/06 04:03
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」コンペティション Part.3
『トルパン』(写真)『超強台風』 ...続きを見る

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2008/11/03 11:35
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」コンペティション Part.2
『アンナと過ごした4日間』『8月のランチ』(写真) ...続きを見る

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2008/10/28 09:21
REVIEW 「第21回東京国際映画祭」コンペティション Part.1
『アンダー・ザ・ツリー』『ハムーンとダーリャ』(写真) ...続きを見る

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2008/10/27 09:13
REVIEW 「フランス映画祭2008」 Part.3
6月の横浜から3月の六本木へ、時期と会場を移して早や3年。 今年のフランス映画祭の来日団長ソフィー・マルソーは、 94年の第2回フランス映画祭横浜でもこの大任を務めているが、 それは急遽、来日中止となったジャンヌ・モローの代役であり、 それゆえ主演作の上映さえなかった。 それから14年、アンジェイ・ズラウスキとの 私生活をモチーフにした短編“L'Aube à l'envers”(95)、 その愛の破局を赤裸々に抉った 初長編“Parlez-moi d'amour... ...続きを見る

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2008/05/07 17:55
REVIEW 「フランス映画祭2008」 Part.2
『パリ』(写真)『ランジェ公爵夫人』 ...続きを見る

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2008/03/20 11:04
REVIEW 「フランス映画祭2008」 Part.1
『水の中のつぼみ』(写真)『ドーヴィルに消えた女』 ...続きを見る

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2008/03/19 02:02
REVIEW 「フランス映画祭2007」 Part.2
『逃げろ!いつか戻れ』『待つ女』(写真)「短編映画特集」 ...続きを見る

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2007/03/19 23:55
REVIEW 「フランス映画祭2007」 Part.1
『暗黒街の男たち』『心配しないで』『恋愛睡眠のすすめ』(写真) ...続きを見る

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2007/03/17 18:48
REVIEW 「第19回東京国際映画祭」アジアの風 Part.10
(続き) 『マクシン』の前作に当たる『ガブラ』(写真)は、 『細い目』の続編であり、出演者も前作に引き継いで同じ役を演じている。 『細い目』で、意を決したオーキッドからジェイソンへの携帯電話は、 結局、彼は聞くことはなかったが、アハマドはその“落とし前”を 『ガブラ』で決着させる。これは『細い目』のアンサームーヴィーだ。 あれから幾年が経ったのだろう。 オーキッドはビジネスウーマンとして都会で働き、 エリートサラリーマンのアリフと結婚している。 今のオーキッドの生活に、もは... ...続きを見る

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2007/01/13 07:09
REVIEW 「第19回東京国際映画祭」アジアの風 Part.9
≪マレーシア映画新潮〜ヤスミンの物語≫ 『マクシン』『ガブラ』『ラブン』 ...続きを見る

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2007/01/13 05:31
REVIEW 「第19回東京国際映画祭」アジアの風 Part.8
『一年の初め』『四大天王』(写真)『ヌーヒン』 ...続きを見る

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2007/01/10 03:43
REVIEW 「第19回東京国際映画祭」アジアの風 Part.7
『シルク』『永遠の夏』『イザベラ』(写真) ...続きを見る

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2007/01/04 08:58
REVIEW 「第19回東京国際映画祭」アジアの風 Part.6
『夏が過ぎゆく前に』『家族の誕生』(写真)『多細胞少女』 ...続きを見る

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2007/01/02 19:56
REVIEW 「第19回東京国際映画祭」アジアの風 Part.5
『おばさんのポストモダン生活』(写真) 『アリスの鏡』『青春期』 ...続きを見る

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2006/12/30 02:23
REVIEW 「第19回東京国際映画祭」アジアの風 Part.4
『Rain Dogs』(写真)『父子』 ...続きを見る

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2006/12/13 02:15
REVIEW 「第19回東京国際映画祭」アジアの風 Part.3
『バイト・オブ・ラブ』(写真)『不完全恋人』 ...続きを見る

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2006/12/12 20:27
REVIEW 「第19回東京国際映画祭」アジアの風 Part.2
『グッバイ・ボーイズ』(写真)『八月的故事』 『サイゴン・ラブ・ストーリー』 ...続きを見る

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2006/12/05 15:33
REVIEW 「第19回東京国際映画祭」アジアの風 Part.1
『私たちがまた恋に落ちる前に』 『愛は一切に勝つ』『鳥屋』(写真) ...続きを見る

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2006/11/22 23:08
REVIEW 「第19回東京国際映画祭」コンペティション Part.3
『十三の桐』(写真)『チェンジ・オブ・アドレス』『クロイツェル・ソナタ』 ...続きを見る

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2006/11/11 07:14
REVIEW 「第19回東京国際映画祭」コンペティション Part.2
『アート・オブ・クライング』(写真) 『OSS 177 カイロ、スパイの巣窟』『フォーギヴネス』 ...続きを見る

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2006/11/02 02:06
REVIEW 「第19回東京国際映画祭」コンペティション Part.1
『魂萌え!』『考試』(写真)『グラフィティー』 ...続きを見る

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2006/10/29 04:04
REVIEW 「フランス映画祭2006」 Part.2
『カルメン』「短編映画特集」 『ハウス・ウォーミング!』(写真) ...続きを見る

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2006/03/24 03:38
REVIEW 「フランス映画祭2006」 Part.1
『シェイタン』『パレ・ロワイヤル!』(写真) 『愛する勇気』『Toi et moi - トワ・エ・モア』 ...続きを見る

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2006/03/24 01:40
REVIEW 「第12回大阪ヨーロッパ映画祭」
『ひとすじの温もり』『永久(とわ)の愛』(写真)『凍える太陽』 ...続きを見る

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2005/12/06 02:06
REVIEW 「第18回東京国際映画祭」アジアの風 Part.7
『恋人』『チョコレート・ラップ』『浮気雲』(写真) ...続きを見る

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2005/12/05 23:27
REVIEW 「第18回東京国際映画祭」アジアの風 Part.6
『Aサイド、Bサイド、シーサイド』『恋愛は狂気の沙汰だ』『一緒にいて』(写真) ...続きを見る

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2005/12/04 23:58
REVIEW 「第18回東京国際映画祭」アジアの風 Part.5
『シチズン・ドッグ』(写真)『雨降る日の水彩画』『月光の下、我思う』 ...続きを見る

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2005/12/02 08:22
REVIEW 「第18回東京国際映画祭」コンペティション Part.5
『ダラス地区』『ヒトラー・カンタータ』『恋愛の目的』(写真) ...続きを見る

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2005/11/29 02:04
REVIEW 「第18回東京国際映画祭」アジアの風 Part.4
『ジョニの約束』(写真)『非婚という名の家』『台湾黒電影』 ...続きを見る

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2005/11/14 23:41
REVIEW 「第18回東京国際映画祭」コンペティション Part.4
『私たち』 ...続きを見る

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2005/11/14 02:43
REVIEW 「第18回東京国際映画祭」アジアの風 Part.3
『マンデー・モーニング・グローリー』『長恨歌』『細い目』(写真) ...続きを見る

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2005/11/09 01:58
REVIEW 「第18回東京国際映画祭」コンペティション Part.3
『シレンティウム』『ゲルマニウムの夜』『サングレ』(写真) ...続きを見る

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2005/11/09 01:11
REVIEW 「第18回東京国際映画祭」アジアの風 Part.2
『おまえの勝手にしやがれ』『愛シテ、イマス。1941』 『飛び魚を待ちながら』(写真) ...続きを見る

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2005/11/07 01:47
REVIEW 「第18回東京国際映画祭」コンペティション Part.2
『落第』(写真)『13人のテーブル』『女たちとの会話』 ...続きを見る

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2005/11/06 03:07
REVIEW 「第18回東京国際映画祭」アジアの風 Part.1
『ゴールと口紅』(写真)『AV』『バージン』 ...続きを見る

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2005/11/05 07:46
REVIEW 「第18回東京国際映画祭」コンペティション Part.1
『3日間のアナーキー』『ドジョウも魚である』(写真)『バイ・バイ・ブラックバード』 ...続きを見る

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2005/11/05 06:06

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